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ネコのような居候とミルクセーキ

 十三章より前の話です。ネタバレは特にないと思いますが、ネタバレが嫌だという方は十二章までを読んでから読むことをおすすめします。

 これは、蓮が五十四回目の周回の話。

 りゅうを改心させて、二学期に入ったある日。藤森が蓮にメニューは何がいいかと尋ねてきた。

「メニュー……ですか?」

 確かにレシピを頼まれているが、また増やさないといけないのだろうか?そう思ったのだが、

「たまにはりゅうに別のもの作ってやりたくて聞いてみたんだけどよ、カレーしか言わねぇんだ。だからお前の意見も聞きたくてな」

 なるほど、そういうことか。蓮は少し考えた後、

「……簡単に作れるものと言ったら、お好み焼きとか焼きそばですかね。お好み焼き用の粉もありますし、焼きそばもソースと一緒に売っているものがありますから」

「それじゃあありきたりすぎるんだよな……もっといいものを食わせてやりたいというか……菓子や飲み物でもいいんだけどよ」

「お菓子や飲み物、か……」

 ケーキは慣れないと難しいし、クッキーもありきたりだろう。ゼリーやプリンもありきたりだし……。そこまで考えて、ふと思い出す。

「……ミルクセーキとかどうですか?」

「ミルクセーキ?」

「はい。卵を使うのでそれなりに贅沢だと思うんですけど……」

 作り方も簡単ですし、と彼女は笑う。藤森はなるほど……と考え込んだ。

「何か思い入れがあるのか?」

 そんな注文をするなんて珍しいと思ったのか、藤森は尋ねる。それに一度は首を横に振ったが、

「……あ、嘘です。本当は、ボクの思い出の飲み物なんです」

 兄に作ってもらったものが懐かしくて、つい……とはにかむその姿は、年相応の少女だった。

「そうか。まぁ、詳しくは聞かないでおく」

 しかし、その笑顔に陰りを見た藤森は何があったかなど聞かなかった。

 その時、りゅうがファートルに入ってきた。

「しょうへい!カレー食べたい!」

「はいはい、すぐ作るからよ」

「あ、ボク、用事があるので今から出ます」

 蓮がスマホで時間を見ると、七時過ぎだった。実はアザーワールドリィで鍛えた後にバイトに行く予定なのだが、もちろんそんなことを二人が知るわけでもなく、

「そうか?飯はいらねぇのか?」

「ボクにお気遣いなく。適当に食べるので」

 彼女がそう言う場合、大抵食べないことを知っている藤森は呆れながらもサンドイッチを作った。そして、水筒に入れたコーヒーと共に蓮に持たせる。

「ほら、これを持っていけ」

「え、でも……」

「いいから。これなら公園で食べられるだろ?」

 そう言って心配する様はまさに父親だった。蓮は「確かにそうですが……」と渋っている。するとりゅうが無理やり手に持たせた。

「持って行って。しょうへいの作るものはおいしいんだから!」

「まぁ、りゅうがそこまで言うなら……」

 弟分には弱いのだろう、蓮は躊躇いながらもカバンの中に入れた。

「では、行ってきます」

「バイト、頑張ってね」

 りゅうがその後ろ姿を見送ると、藤森が「あいつ、バイトなんてしてるのか?」と聞いてきた。

「うん、そうだよ。やっぱりつき合いとかあるし、学校でも必要なものがあるみたいだから掛け持ちしているんだって」

「そんなの、俺に言えばあいつの生活費用から出すってのに……そもそも、小遣いもやってるのに、そんなに必要なのか?」

「蓮は人気者だからね。それに、自分のことは自分でしたい主義だから」

 そんなこと、知らなかった。それなりに一緒にいるというのに、聞いたこともない。学校のことも話さないし、どんな交友関係を持っているかも教えてくれない。彼女なりに線引きしているのだろうか?

 だが、そんなにお金がかかるものだろうか?疑問に思いながら、藤森はりゅうにカレーを出した。


 修学旅行から帰ってきて、彼女の飼っているネコがいなくなった。ヨッシーがいなかった期間、蓮がやつれていくのをただ見ているしか出来なかった。

「……蓮、ヨッシー探しに行こう?」

 りゅうが心配そうにしながらも、このままではいけないとそう誘うのを聞いた。蓮は「そうだね……」と元気なく頷いた。

 二人が外に出ると、藤森はため息をついた。

 ……あいつにとって、俺は何だろうか。

 藤森にとって彼女は、りゅうをあの暗い部屋から救い出してくれた恩人だ。もう、家族の一員になりつつある。彼女にとってはそうではないのだろうか。他人と一線を引き、決して近付かせない。だが、放っておけば勝手に近付いてきてくれる。だがら、分からないのだ。

 その日、ヨッシーが戻ってきた。その顔には少し痩せてしまったが、笑顔が戻ってきていた。


 ヨッシーが戻ってきて数日後、蓮は険しい顔をして帰ってきた。それは咲中に予告状を出すと決めていたからだったが、藤森が知るハズもなく。

「お前、そんな険しい顔をしてたか?あんま気負いすんなよ」

「あぁ……うん……」

 曖昧な返事が返ってきたのでこれは聞いてないなと思った。蓮は二階に上がり、ヨッシーを置いてきた後下に降りてきて、りゅうに「ごめん。ヨッシーにご飯をあげていて」と言って外に出た。りゅうは頭にはてなマークを浮かべながら二階に上がった。

 九時過ぎになっても戻ってこないので、りゅうと共に家に戻る。鍵も渡しているし、大丈夫だろう。

 寝ていると、急にバタバタとりゅうが何かに慌てている音が聞こえてきた。藤森は起き、りゅうの部屋に向かった。

「どうしたんだ?りゅう……」

「しょうへい……!早く、ファートルの鍵を貸して!」

 りゅうは藤森を見るや否や藤森にしがみつき、そう言ってきた。その様子に藤森も慌てだす。

 一緒にファートルに向かうと、そこにはボロボロになった蓮の姿があった。

「蓮!どうしたの!?」

 りゅうは真っ先に蓮に近付いた。しかし、蓮は「大丈夫……敷井さんに、手当てしてもらったから……」とりゅうの頭を撫でた。

「蓮、どうしたんだ?その怪我……」

「いろいろ、あって……」

 その怪我は日頃の疲れのせいでエネミーに不覚をとってしまい、ついたものだった。しかし、それを話すわけにもいかないと蓮は沈黙を貫いた。何も話さない彼女に藤森はため息をつき、

「変な輩と会っていないんだろうな?」

 そう聞いた。それには首を横に振る。りゅうも「蓮がそんな奴らとかかわりを持つわけないじゃん!」と言った。

「それならいいけどよ……それにしてもひでぇ怪我だな。えっと、切り傷に、すり傷に……何があったらこんななんだよ」

 藤森が呟いた言葉を聞いて何かに思い至ったのか、りゅうは目を見開く。しかしすぐに目を伏せた。藤森はそれに気付くことは出来なかった。


 学園祭二日目の日。藤森はりゅうの部屋を勝手ながら掃除しているとあるものを見つけてしまった。

 ――そう、予告状だ。そこにはこう書いてあった。

 海野 りゅうは大罪を犯した。憤怒に飲まれ、己を見失っている。だから、その歪みを盗むことにした。その歪んだ心を頂戴する。

 これを見て、蓮が関わっていることはすぐに分かった。そして、りゅうが怪盗に「改心」されたことも。

 藤森には心当たりがあったのだ。蓮と会わせた後、りゅうの母親である裕美の命日の日に突然外に出ることが出来るようになったのだ。それから、りゅうのおじが突然金はいらない、りゅうのことも諦めると言い出した時も、蓮にしか話していなかった。

 ――あいつ、なんで殺人犯と会わせたんだ!

 もちろん外に出してくれたことは感謝しているが、いくら何でも、殺人犯と会わせることはなかろう。というより、なんでそんな奴と関わりがあるのか。

 学園祭から戻ってきた時、藤森は蓮とりゅうに問いただした。すると蓮が怪盗であると驚きの真実を告げられたのだ。この少女が怪盗と聞いて妙にしっくりきた。同時に、彼女が人殺しをしないということも。

 ならなぜ殺人犯と言われるようになったのかと聞いたが、蓮は「分からない」と一点張りだった。

 ――だが、藤森は気付いてしまった。彼女は何かを隠していることに。だが、それは聞かぬが仏だろうとあえて聞くことはしなかった。


 その日から、藤森は度々蓮のことを聞くようになった。しかし、手を伸ばそうとすると蓮は煙たそうにしていた。

 そんなある日、蓮が皿洗いをしている時だった。

「最近、どうなんだ?その……活動の方は……」

 その言葉に手が止まり、蓮はため息をついた。

「……別に。どうだっていいじゃないですか、あなたには関係ない。……どうせ助けてくれないくせに」

 ぶっきらぼうに言うものだからさすがの藤森も怒鳴ってしまった。

「あぁ悪かったよ!確かに俺には関係ねぇよ!」

 そして、そのまま帰った。蓮の顔に、表情は宿っていなかった。


 次の日から、蓮は遅くに帰るようになった。藤森が帰った後にファートルに戻っているようだ。

「……あいつはネコか」

 何もしなければ擦り寄ってきて、手を伸ばすと毛をたてて威嚇する。まるでネコだ。いや、彼女の飼っている本物のネコの方がまだ可愛げがある。

 だが、こうなってしまったのは、

「俺のせいかよ……」

 ――どうせ助けてくれないくせに。

 その言葉を思い出す。そうだ、自分は今まで彼女と向き合おうとしてこなかった。助けられるだけ助けられて、自分は彼女を救うことが出来ていない。

 どうすれば彼女と向き合えるのか?そう考え始めた時、突然電話が来た。スマホを見ると、そこにはりゅうと書かれていた。

「……もしもし」

 何の用だろうと電話に出ると、養子は『僕は怪盗だ』と言った。何をふざけたことを、と言おうとしたが、ここは乗ってやろうと「今話題の怪盗が、こんなしがない喫茶店のおやじに何の用だ?」と聞いた。まさか乗るとは思っていなかったのか、戸惑っている雰囲気が電話越しでも伝わった。

『あ、えっと……成雲 蓮と話がしたいか?』

 しかし、あくまで怪盗という設定は貫くつもりらしい。いや、事実そうなのだがこんなことで使っていいのか。……蓮なら許してくれそうだな。

「……どうすれば、彼女と向き合える?」

 聞いた後、藤森は自分の息子に何を聞いてるんだと自嘲した。だが、りゅうはそんな彼を否定しなかった。

『蓮の前歴が冤罪であることは既に知っているな?』

「そうだな。あいつは暴力なんて振るわねぇ。もしやったとしても、それには絶対に理由がある」

『それをしっかりと受け止め、彼女と話し合う……それこそが、彼女を連れ戻す唯一の方法ではないか?』

「……そうか」

 今まで面倒だからと避けてきた。今こそ、彼女とちゃんと話して分かり合うべきだろう。

「それで、報酬は?」

『え?』

「怪盗だから、報酬がいるんだろ?蓮を連れて来てくれるなら、何でも聞いてやるよ」

 予想外だったのだろう、怪盗は『報酬、報酬……』とブツブツ呟いて、

『カレー!』

「それ、いつも通りじゃねぇか!」

 その会話を最後に、通話は切れた。藤森は冷蔵庫を見て、材料があることを確認した後作り始めた。


 一方、蓮は渋谷の駅前でうろうろしていた。

「なぁ……ゴシュジンも心配してるだろ?もう帰ろうぜ?」

 ヨッシーが蓮に言うが、彼女は口を開くことなくスマホをいじっていた。

「レン、聞いてるのか?」

「あぁ……うん……」

「聞いてないだろ!だから、早く帰ろうぜ!?」

 ヨッシーが叫ぶが、彼女はファートルとは別の方向に歩き出した。

「どこ行くんだよ?」

「あぁ、そうか。ヨッシー、お前だけで戻ってていいよ」

 その言葉にヨッシーは「お前が戻らねぇなら、ワガハイも戻らねぇよ」とため息をつきながら言った。それを聞いて蓮は再び歩き出そうとした。

「蓮!」

 聞き覚えのある声が聞こえてきて、蓮は振り向く。そこにはりゅうの姿があった。

「どうした?りゅう」

「どうした、じゃないよ!しょうへい、ずっと蓮を待ってるんだよ!?」

 りゅうが走り寄ってきた。蓮は目を伏せ、「……どうせ迷惑とか思ってるんだろ?」と卑屈に答えた。

「そんなことない!」

 それをすぐに否定する。しかし、人間不信の少女はそれを信じることが出来ない。

「藤森さんに言ってて。ボクはもう出ていく。一人で生活出来ないほど子供じゃないし、心配しないでって」

 新しいアジトの場所、チャットで送るからと言って蓮は立ち去ろうとする。

「逃げるのかよ!」

 しかし、りゅうにそう言われ、蓮は止まった。

「ジョーカーともあろうものが、あんなおやじ一人に向き合うのが怖くて逃げるのかよ!」

 そして、蓮の右腕を掴み、かじった。

「いたっ」

 さして痛くもなさそうに呟くが、放す気配はない。どうやら強制的に帰らせようとしているようだ。このまま放っておくのも出来ないと蓮は渋々ファートルに戻った。りゅうは極悪人を捕まえたかのように満面の笑顔を浮かべていた。

 ファートルの電気はまだついていた。蓮が中に入ると、りゅうはヨッシーの入ったカバンを素早くとって「じゃ、ごゆっくり」と家に帰っていった。

「あ、ちょっと……」

 追いかけようとするが、「おい」と後ろから声をかけられ、恐る恐る振り返る。そこには不機嫌な顔の藤森がカウンターに立っていた。

「……お店、閉めないんですか?」

「最後の客が来たからな」

 とっとと座れ、と言われ、引くに引けなくなった蓮はおとなしくカウンター席に座る。藤森はそんな彼女の前にマグカップを置いた。

「これ……」

「お前が注文したやつだろ?」

 そう、ミルクセーキだ。兄との、思い出の飲み物。

「……いただきます」

 マグカップを持ち、一口口に含む。兄に作ってもらったものほど甘くはないが、安心出来る味だった。

「……大人の女性が好みそうな味ですね」

「そりゃどうも」

「まさか、本当に作るとは思ってなかった」

 正直な感想を告げると、「せっかくお前が提案してくれたんだ、試作品くらい手伝え」と言われた。

「お前、ここに帰ってくるまで何を考えてた?」

 突然聞かれ、蓮は俯く。

「……ここを出て行こうと思いました」

「なっ……なんで」

「別に、考えたのは今に始まったことではないです。何度も考えていました。大きく分けて一回目は、ヨッシーをここに連れてきた時。二回目は怪盗と知られた時。……これ以上、迷惑はかけられないと思って」

「迷惑だと思ってねぇって。別に、どちらも否定しなかっただろ?」

 そう言って笑ってやると、「だから疑っているんです」と睨まれた。それはまるで悪人に向けるようなものだった。

 何となく、彼女が怪盗活動をしている時にどんな表情をしているのか分かった。こんな風に睨みつけて、嘲笑うような表情をしているのだろう。りゅうが「蓮は普段優しいけど、怒らせたら怖いんだよね……」と言っていた理由が分かった。確かに、ほぼ別人だ。

「もうこれ以上、ボクに関わらないでください。あなたがりゅうと関わるなと言うのなら、ボクも関わりになったりしないので。とにかく、ボクはここから出ていきます」

 はっきりと、そう言われた。それに一瞬何かが切れた音が聞こえたが、ここで怒鳴ると本当に出ていくだろう。藤森は頭を冷やし、冷静になる。

「……なんでだ?」

「ボクはまた、あなたに迷惑をかける。りゅうにも悲しい思いをさせてしまう。そんなボクが、ここで平和に暮らしていいわけない」

 それは、何かを知っている口ぶりだった。

「……俺に迷惑をかける、ってどういう意味だ?」

「……死ぬ、と言ったら?」

 時が止まったような気がした。実際には数秒と短い時間だっただろうが、藤森には数十分にも、数時間にも感じられた。

「なんて、冗談です。ですが、この活動をしている間はどうなるか分からない。だから、出来るならりゅうを巻き込みたくない。……だから、早く出て行かせてください」

 そうだ、この少女は今、そんな険しい道を歩んでいる。今は周りが全て敵であるような状態なのだ。しかも、リーダーであるこの少女だけが懸賞金をかけられている。それはどれ程孤独で、どれ程不安にさせているだろうか。

 だが、彼女は決して弱音を吐こうとしない。むしろ、皆を守るためにこんなことを言っているのだと気付いた。威嚇して、突き放されて、一人で抱えて行こうとしているのだ。

 ――そんなこと、させるかよ。

「……娘を、たった一人でそんな厳しい道に進ませるかよ」

「えっ……?」

 するりと、その言葉が出てきた。それに蓮は驚く。だが、藤森が一番驚いていた。そして、納得する。

 ――あぁ、こいつはもう家族なのだと。

「だから、ここから出ていくなんて言うな。いいな?」

 その言葉に蓮は俯く。そして、

「……ボク、前歴がついてよかったって思っているんです。それで、皆を救うことが出来た。だから、意味を見出すことが出来たんです」

 そう言って、小さく笑った。強がっている……ようには見えない。本心から、そう思っているようだ。

「だから、もしボクに何かあったら……皆を匿ってください」

 その強い意志は、りゅうの母親の裕美が最期に見せたものと同じものだった。


 夜、ヨッシーを撫でながら笑う。

「……お前も、りゅうと一緒に聞いてたんだろ?」

「……あぁ」

「悪かったな。自分のことしか考えてなかった」

「全くだぜ。あのまま出て行ってたら、リュウは自分のせいだってずっと責めてしまうところだったぜ?」

 今回は、本当に自分のことしか考えていなかった。まだまだ未熟だな……と思う。

「でも、「前歴に感謝してる」……か。お前らしいぜ」

「そりゃどうも」

 もうすぐで、自分は死んでしまう。その前に、出来ることはしておかなければ。

 だが、もう、必要以上に藤森を困らせたりはしない。そう誓った。



「……ってことがあったよな」

 愛良が笑いながらそう言った。蓮は「……なんで昔のこと、掘り返したかな……」と呆れた。

「あの時のお前、本当にネコみたいだった」

「警戒心マックスのネコで悪かったな」

 そう言って思い出を語りながら笑い合った。そんな二人に藤森はミルクセーキを渡す。

 あれから三年。今、二人は大学生になっていた。それと同時に結婚もして、蓮のお腹の中には双子の赤子が宿っている。

「お前らの子供、元気に生まれるといいな」

 藤森は笑って二人を見守っていた。

 ファートルの外は太陽が照らしていた。

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