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北条義時  作者: 恵美乃海
43/70

43 頼家による、安達景盛の愛妾略奪

開始された十三人の合議制に対して、第二代鎌倉殿、源頼家は反発した。


頼家は蹴鞠を好み、武芸好きでもあったので流鏑馬をしばしば行っていた。


これらの遊興を行う中で、頼家には主従関係はあっても遊び仲間と言える同世代の五人の友人がいた。


比企宗員、比企時員、小笠原長経、中野能成、和田朝盛(五人めが誰だったのかは分かりませんでした。この人物にしておきます)である。


比企宗員、時員は兄弟で、比企能員の息子である。


比企能員が乳母父で、能員の邸で産まれ、そこで育った頼家にとってはこの兄弟は幼馴染であった。


和田朝盛は、和田義盛の孫である。


頼家はこの五人に、取次、狼藉不問の特権を与えた。


頼家に面談を望む際は、必ずこの五人を通せ。

この五人に若さにまかせた乱暴や周りに対する迷惑行為があっても罪には問わない、大目に見るということであろう。


彼らは頼家も含めて、度々現在でいう「飲み会」を実施する。

その際の話題としてよくあがるのは、鎌倉で彼らの周囲にいる女性たちの品評である。


御家人たちの妻や娘のなかで、誰々が美しい、というような話である。


「おう、そう言えば、安達景盛が最近妾にしたおなごは大層美しいと評判ですぞ。何でもあの北条義時殿の正室、姫の前殿によく似ているそうな」


「ほほう、姫の前殿に似ていると言われるのであれば、それは大変な美女ではないか」


安達景盛は、十三人の合議制を行っている内のひとり安達盛長の嫡男である。


会話を聞いていた頼家の目が光った。


「そのおなご、奪え」


(昭和54年(1979)年に放映されたNHK大河ドラマ「草燃える」では、この女性は、安達景盛の愛妾ではなく妻の瑠璃葉としています。


「草燃える」の主人公は北条政子ということになると思いますが、その時代背景は、来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とほぼ一致します。

この時代の流れについてその概略を簡便に知りたいと思われる方は、ウィキペディアで「草燃える」を検索して、その「あらすじ」を読まれたらよいと思います。


「姫の前」は愛称でしょうから、本名は別にあったと思いますが不明です。この「草燃える」では、姫の前は、「野萩」という名前になっていました。

風情があって、綺麗な名前だなと思います。


本小説では姫の前を華麗なイメージの美女としましたが、この名前にもっと早く気付いていたら、美麗ではあっても可憐なイメージにしたかもしれません。


「草燃える」が放映されていた昭和54年、作者は大学三年〜四年でしたが、その頃は、前年サークルの友人ふたりと行ったヨーロッパ旅行の借金返済のための八百屋と蕎麦屋のアルバイト。さらには友人たちとの飲み会、麻雀。友人たちの下宿を泊まり歩くなどで忙しくしており(彼女はいなかったので、デートというのが無いのが残念です。3月と9月にそれぞれ別の女の子とデートしてもらいましたが、どちらも一回限りでした)、この「草燃える」は全くと言っていいほど観た記憶がありません。)



安達景盛が留守をしているときを狙って五人はこの愛妾を奪い、頼家が居する大倉御所に連れ去った。


邸に戻り、このことを知った景盛は激昂する。


ー 御所は、何と無体なことをするのか


と、この所業を周囲に触れ回った。


景盛が怨んでいると知らされた頼家は兵を発した。


ー安達景盛に謀反の心あり、討て。


頼朝の死により、出家して尼となっていた政子は、調停のため景盛の邸に入った。


使者を送って頼家を強く諌めて「景盛を討つならば、まずわたしに矢を射ろ」と申し送った。


政子は景盛を宥めて謀叛の意思のない起請文を書かせ、一方で頼家を重ねて訓戒して騒ぎを収めさせた。


この愛妾がその後、どうなったのかは分からなかった。結局、大倉御所にとどまり、頼家の愛妾となったのかもしれない。


尚「草燃える」では、安達景盛の妻、瑠璃葉は頼家の妾にされ、後に御所内で舌を噛み切って自決した、としている。








比企の邸で育った頼家は、比企能員の姪にあたる姫の前を、物心がついたときから知っていて、幼いころから、この年上の美女に憧れていた、という可能性はかなりあるのではないかと思います。


(姫の前は生年不詳ですので、義時より9歳年下。頼家より10歳年上の年齢設定にしたのは作者です。その後の姫の前の出産歴、当時の医療技術を考慮すると、そのあたりかな、と判断しました。)


この安達景盛の愛妾との事件と合わせて、このあとの伏線として、頼家と姫の前との間にも何かことを起こそうかな、ということも考えたのですが、結局、それはしたくないな、と思いました。


で、この事件の当事者となってしまった愛妾が、

「姫の前に似ていた」ということにしました。


追記

昭和54年の春休み、帰省したときに、もうひとり別の女の子ともデートしてもらっていたのを思い出しました。

2回めでしたけど、やっぱりそれっきり。


この年は、3人の女の子とデートしてもらっていたのですね。みんなそれっきりで討ち死にしましたけど。













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