b6.姉の部屋(姉)
トントン
「入って…いい?お姉ちゃん。」
「どうぞー。あ、机の上の物は触らないでね?」
私はこっちおいで。と妹を布団の上に呼ぶ。
「布団乗って嫌じゃないの?」
「ぜんぜ〜ん。ゆめちゃんだからいいの!」
「変なの。…お邪魔します。」
《私はふっと笑って妹の身体を腕で囲んだ。
…緊張してるな、、、
もうっ、嘘付いてるってバレバレだよ…!こんな嘘下手っぴで大丈夫かな。》
私は一呼吸置いて話し出した。
…ちょっと、この事を話すには勇気が必要。
「…見たことなかった、でしょう?覚えてるかなー?兄貴。」
「…う、うん。ねぇ、どうして…わかったの?」
「一枚も二枚も上手なのが姉ってものでしょ?…まぁ、守らせて欲しいってのはこっちの願望で。ゆめちゃんは自由にしていいんだよ?」
《ここまで言ったら、もうわかっちゃうだろうな。賢いゆめちゃんの事だもの。…でも、明言はしない。》
「…今回の件は私の不注意だからね。気にしないでいいの。ゆめちゃんは兄貴の事について写真を見せられて私から教えられただけ…ただそれだけ。」
《負い目を負わせたくはないから。
…ゆめちゃんは少し困ったように、私を見上げる。無意識の内か少し唸って。》
「んー。私がお兄ちゃんの写真以外見てないって信じての事?」
夢ちゃんがしてしまった事に対しては私から情報開示すればいいだけの事。
「まぁ、ここにあるもの…って言ったらそれぐらいしかめぼしい物はないでしょう?…それにいつかは知らせないととは思っていたから、ちょうど良かったなぁ〜ってお姉ちゃん思うなぁ?」
「うん、」
「あとは本棚ぐらいかなぁ?見られたの。」
「うぇっ、なんでわかったの!?」
「ふふふっ…姉は一枚上手なのさ。まぁ、埃のトコに手型が付いてただけだけど。