b3.姉の部屋
「ただいまー、ってお姉ちゃんいないや。」
この前…
「…あれから三ヶ月たったけど事件どうなった?」
そう聞いた私に、事件の事は詳しくは言えないけどやっと片付いたよ〜〜?などと姉は言っていた。
それから数日は夕方、私が学校から帰る頃には姉はすでに帰宅しているのが常だったがー…また忙しくなったのか、姉の姿はこの数日見ていない。
テレビでも付けようかとリモコンを探す自分の動作が無意識に止まった。
姉の部屋のドアが開いてる…?
ー姉の私室には入らない事ーそんな約束が頭を掠めた
そしてまた、兄の事の資料がもしかしたらあるんじゃないかーとも。
姉より5歳年上、私とは19歳も離れた兄の事
5歳ぐらいの頃から会ってない、兄。
結構優しい兄で私も好いていたが突然実家に来なくなりそのまま。
「お姉ちゃん…お兄ちゃんを探してるんだよね…?」
少なくとも昔の姉の発言からはそう思えた。
にもかかわらず、私には兄に関して一切を言わなかった。
私が兄…を匂わせる発言をしても、ポーカーフェイスですっとぼけて。
きっと姉なら何か情報を得ていても私を守るという意思の硬さで教えてはくれない。
…知るなら、今。
ドアノブを握る手が少し震えた。
キィーッ
「…。」
姉の部屋は…案外質素だった。
八畳の部屋にベット一つ、机一つ本棚、テレビ…机は資料なんてなく、綺麗に片付いていて。仕事柄なのか…まぁ、秘匿情報を机に散らばらせる事もないか。
…けど、写真立てが机の上に一つあった。ううん、重要なのは写真立てじゃなくその中身、もっと言えばその写真の中の人物。
私の母と姉…それから5歳ぐらいの私。あと、だから…その優しげな表情で爽やかに笑うのは、きっと兄。
パシャ
私は無言で写真を一枚撮った。
アルバムを開いて無表示に設定する。
「…ふぅ。」
あたりを見回してそれ以外に兄の情報なんてなさそうだった。
「…姉の所持するパソコンが一番情報入ってるよね、そりゃ。」
興味本心で姉の本棚を見る。
…うん、文豪それから哲学者…難しそうな本が並ぶ。
「お姉ちゃん帰ってくる前に、出よっと。」
収穫というほどではないけど、兄の写真なんてもうないと思っていたから。
「…こんな人だったんだなぁ〜。」
私は自分の部屋に戻って夏休みの宿題を机に取り出す。
…これもやっとかないとね。