a1.いつかの日
あぁ…あの日は、熱くて、優しくて、悲しくて、泣いて、大切な人達とお別れをした日。
覚えてる事は余りに少なく、当時の事などぼんやり霞んでるけど。
家族旅行…だった。
泊まったホテルで夕食に出てきたオレンジジュースが美味しくて、はしゃいで、喜んで。
父さんも母さんもお姉ちゃんも居て。
あんまりにも私が豪華なバイキングの中でオレンジジュースばっかり飲んでるから、呆れながらも娘に甘い父親代表みたいな父さんは、部屋に戻る時にはお姉ちゃんに小銭を渡して二人で自販機に売ってるオレンジジュースのお使い頼めるかな?って。
うん!
できるよ?お姉ちゃんがいるから任せといて!
ポシェットの中に貰った小銭を突っ込んでお姉ちゃんは答えた。
じゃあ、母さん達お部屋で待ってるからね。
って、それがもう顔さえ覚えてない両親と…つまりは家族全員での最期の会話だった。
…両親と最期になるともあの日の私は知らずに別れて、ホテルの中の自販機でジュースを買った、その直後。
厭に不気味な非常音とスプリンクラーの水が降ってきた。
熱、焦げ臭さとともに幼い私には灰色の雲の様なものが見えて、あれは思えば、火事によって起こった不完全燃焼の煙だったんだろう。
姉はあの頃小学3年だったから、3歳年下の私が知らない事を知っていた。…多分姉は頭の良い子供だったのだろう。
私が火事ともわからないうちにハンカチで口元を抑え真似するように言った。
…非常口はね、コッチ。
チラリと後ろを…推測の域を出ないが両親のいる部屋の階段かなにかを姉は見たんだと思う。
…私は何か言ったが、姉の大丈夫だよ。という言葉に安心していたと思う。
…なんてことない希望的な願望。
非常口に向かって走ってる私達は火がどこで発生したかも知らなかったー当然の事ではあったけど。
危ないっ!
姉の声がした時には上の階の床なのか火花と共に瓦礫が降ってきて。
重くて、熱くて…あとなんだっけ?
…酷く右脚と脇腹が痛くて、今でも薄く傷が残ってる。脚に至っては長時間歩けなくなり杖が必要になった。
姉は瓦礫の下敷きにならなかったのか私を必死に助け出そうとして。
…確か姉はあの時ケガをしたのか赤い血が見えてた気がする。どこだったか…。
あの後、動く事のできない私の側に座って泣いてた姉。
…死を待つだけの空間に、男の人の声がして
…君に…、…選択肢、……。
私……に君…事。……選べ…、我々は………仕事をし ………優秀な人材………だ…。
賢い君なら……か分かるだろ?」
「… 美紅を助け……。…私は……」
途切れ途切れの会話は…私が聞き取れなかったんだろう。もしくはただ覚えていないだけなのかもしれない。
意識を無くした私は非常口の一つである外のパイプ階段のとこに一人で座り込んでいるのを消防士に発見、保護されたらしい。
…姉の姿は無かった。
それからは、施設、両親の遠縁の親戚の家をたらい回しにされ、海外に住んでいたらしい母の妹が迎えにきた時はその事件から3年経っていた。
この記憶は曖昧で幼い頃の混乱状態の中のものだから、色々事実とは違って覚えている所もあるだろう。
…だけど確かめる術はもう、無い。
お読み頂きありがとうございます(*´ワ`*)♪
地震雷火事親父…には遭いたくない。
キーワドとジャンルがこれで良いのか自信ない誰かヘルプ、私の脳内覗いて判断してくれ…