羊が一匹
空っぽな頭で眠りたいから
浮いては消える思考を追い出して
羊を数えていたのだけど
ふわふわもこもこ
真っ白な雲のようなまあるい羊に
いつのまにか鈍色の思考がぐるぐる絡みついて
泣き出しそうな曇り空になってしまった
瞼の裏で羊が回る
僕を取り囲んで時計回り
バラバラの声が細い糸で繋がって
手に手を取りつつ僕を追い詰める
逃げ場はないの、なんてとっくに知ってる
自分で吐き出した糸に足を絡めとられて
転ばないように精一杯踏ん張って
目は閉じたけど口は開いたまま
縫い付けようにも糸は使えないし
言葉が言葉を手繰り寄せ
どんどん隙間を埋めていく
向こう側にほんの少し見えたはずの暗がりも
気づけばなくしてしまって
沈むしかないの今はもう
明日がまた追いかけて来るとしても