予想外の出来事
続きです。
――― 平和。
そう呼ぶにふさわしい日々が1週間ほど続いた。 あまりにも平和すぎて、1週間前の噂などとうに忘れ去られている……
―――何があったんだ……!?
和弥はそう考えずにはいられなかった。
毎日のように何かしら事件が発生するこの学園。 なのに、あの出来事以来何も起きないなんておかしすぎる。
「なぁ啓、本当になにも感じないのか?」
隣で寝ていた少年に、この1週間幾度となく尋ねた質問を繰り返す。
「……あぁ。何も視て無いよ……」
目を開けもせず、いつも通りのそっけない最低限の返事。
最近いつも授業をサボって屋上で寝ている少年を追って今日だけは、和弥もサボっているのだった。
―――あ、またあいつに何か言われるかも……
あいつ……。
この学校の生徒会長であり、和弥の天敵である由佳のことだ。 最近は事件が起こってないせいか、何かと理由をつけては絡んできていた由佳が何も言ってこない。
「浅野がどうかしたか……?」
「……。」
どうやら和弥は声に出したいたらしい。
「なんでもねぇよ。……さてと。俺はそろそろ授業行くとするか。お前は?」
―リーン…リーン…―
言い終わると同時にチャイムが鳴った。
この学園のチャイムはまるで鈴を鳴らしたかと思うほどに儚く、小さな音だ。いや、音楽と言った方がいいかもしれない。 なんでも、学園長の趣味だとか……
「俺は今日の授業は出ないよ」
―――何の為に来たんだよ!
今度は声に出さないように心でひそかに突っ込んだ和弥は、
「わかった。じゃ、またな」
そう言い残すとその場を去っていった・・・・
この後、和弥の運命を変える事件が起ころうとは知る由もなく・・・・
翌日。
事件は起き、学園中に瞬く間に伝わり屋上にさぼっていて昼寝をしていた和弥の耳にも届いた。
昨日の放課後警備員がいつもどおり学園内を巡回していたら突然何者かに襲撃され命を落としたという。
これはさすがに和弥には予想外だった。
「マジか・・・?」
和弥はそう呟かずにはすまなかった。
まさか殺人が起こるとは予想だにしていなかったからだ。
「あぁ・・・面倒だな・・・・・」
啓はのんきにそんなことを言ってきた。
「おい!どういうことだ!?啓、本当に何も感じなかったのか!」
和弥は激昂し啓を問い詰めるがいつもの調子で啓は言葉を返す。
「………あぁ。感じなかったよ。そのかわり、相手がかなりのやり手ということだ、って言うお前の予想は間違ってなかったってことだな……」
「…………」
「だったら……これは今まで以上に危険だな………。俺が視えないどうこう抜かしても」
和弥はその言葉に信じられないという顔をしたが啓はいつもと変わらず言った。
「……啓、お前も関わってくるだろうな。例え視えなくても」
「そうだな。現に間接的だが、もう俺は関わってるしな」
今までない大事の事だが、啓は顔色を変えずに頷いた。
「……だな。これ以上あいつに目をつけられたくないから、一応あいつに知らせるぞ。お前と同じ能力のやつはこの学園にごろごろいるが、お前以上に先見をできるやつはいないからな」
「……勝手にすればいい」
和弥はまず生徒会室に向かうことを決心した。
たとえどんな報復が待っていようとも知らずに向かう。
また読んでくれるとうれしいです。