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【夕刊シチ】デイリー両晋南北朝  作者: ヘツポツ斎
【〇三月】三三六年〇六月~三六五年〇七月

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72/80

【12日 346年08月】桓温征西! 手違い転じて

【346年08月】

 資治通鑑原文1423文字(276/365位)


【登場人物】

・メインキャスト

 2/3-石虎-3/14

 3/3-冉閔-3/18

 3/4-慕容垂-5/3

 3/8-桓温-4/9

・準メインキャスト

 2/14-慕容皝-3/14

 2/14-拓跋什翼犍-4/13

 2/28-慕容儁-3/26


【あらまし】

 西方の南北で重要な戦いが展開します。南では桓温がわずか一万強の兵力で漢を滅ぼし、北では麻秋が十二万の兵を率いて謝艾にズタボロにされました。あまりにも南北での明暗が鮮やかすぎる年でした。



【できごと】


 漢討伐に向かう桓温のことを、ほとんどの人たちは失敗するだろうと見ていました。なにせ率いた兵力、わずかに一万。これには二十万弱の兵を率いた鄧艾も鍾会もびっくりです。この遠征、劉惔という人物だけは成功すると確信していましたが、同時にこの先桓温がアンコントローラブルにもなっていくだろう、と予見していました。なお劉惔の妻は明帝の娘、つまり桓温の妻の姉妹です。


 そんな桓温の遠征はどのようだったでしょうか。破竹、と言っていいでしょう。各地で漢将を撃退、またたく間に成都にまで押し寄せます。この最終決戦にはやや苦戦し、桓温の乗る馬にまで矢が届くほどでした。これは一回態勢を立て直すべき、と桓温が後退の太鼓を叩かせようとしましたが、誤って進軍の命令が下ってしまいます。そこで桓温、開き直って突撃を掛け、むしろ兵らの鼓舞に成功。成都城を陥落させました。李盛は一度北に逃れましたが、間もなくして投降。桓温もまた李盛を受け入れ、ここにいわゆる成漢が滅亡します。李盛は命を助けられ、建康に送られます。また桓温は現地の賢才をよく取り立てたため、大いに蜀人の支持を得ました。ちなみにこのとき桓温は李盛の妹が美しく賢かったので妾として囲い、後に奥さんに睨まれています。


 南から届いた漢滅亡の報せは、麻秋を大いに焦らせたことでしょう。石虎より派遣された増援も込みの、総勢十二万という大軍で前涼に押し寄せます。浮足立つ前涼諸将を尻目に、しかし謝艾は涼しい顔。防具もまともに着込まず、守りも薄い城にて、どっかりと椅子に座り、陣頭指揮をとります。はじめ麻秋は舐められているのだといきり立ちかけましたが、それにしても堂々としすぎているそのふるまいを前に、ついに伏兵を疑い始め、動けなくなります。そこに後方からの伏兵が襲いかかり、大敗。麻秋はほうほうの体で逃亡しました。以降幾度となく攻撃を仕掛けるも、のきなみ謝艾に跳ね返されてしまいました。


 この年は、本当にこのふたつくらいしか特記されていません。それだけ重要な戦いであった、ということなのでしょう。ただ、その白黒については実にあざやかな差が出てしまいました――あたかも翌年以降の各国の運命を占ったかのように。

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