第二十五話 ユーレイ
キズナとミイは、まるで千紗のボディーガードのようだ。どちらが必ず千紗の近くで丸くなって眠っている。千紗が歩き出すと、もう一匹も合流して……一人と二匹がまとまって動く事になる。
今日は、千紗が買い物のついでに散歩をすると言って出掛けていった。家の中ではボディーガードができるが、家から出たら千紗を見守る事が出来ない……とキズナは思った。ミイは『散歩だと言ってるけど、きっとアオを探しながら歩くのね』と思っていた。
アオが逃走してから1週間が過ぎた。次の日には戻って来るだろうと気楽に考えていたキズナも、だんだん心配になってきた。
『アイツ、方向音痴だったっけ?』
『迷子になったってこと?』
『近くにいるなら顔くらい出すはずだが……あれ以来、気配もないからさ』
『千紗も心配してるし、早く帰ってきてほしいよね……』
キズナとミイが話している横で、他の猫たちはいつものように窓際で日向ぼっこをしてくつろいでいる。
『お前ら、いつも窓際にいるんだから、アオや野良猫を見かけたらすぐに報告するんだぞ』
『了解』
『うん、わかった』
『はい、わかりました。ボス』
三匹の猫が慌ててキズナに返事した。キズナは、ミイのところに戻って話を再開する。
『ミイは、ユーレイについてどんな事を知ってる?』
『私は生まれ変わっても飼い猫ばかりだったから……最初の記憶の白猫だった時は野良猫だったけど、かなり昔の話になっちゃうよ』
『それでもいい、聞かせてくれ。俺は関心なくて……なんかいるなって程度だからさ』
『そうね……生きてる人間の近くにいて一緒に行動しているユーレイ。ユーレイ単体では……特定の場所にずっと居るのとか……。神社やお寺に居たり通っているユーレイを見た事があったかな』
『そうか……ユーレイって生きてる人間とあまり変わんねぇんだな』
『そう、生きてた人間がユーレイになっただけだから……やる事や考え方もそんなに変わらないんじゃないかな』
『神社やお寺に通うユーレイって……元々信心深い人間だったからユーレイになってもお参りしてるのか?』
『もちろんそういうユーレイもいるけど。ユーレイになってから……お経を聞きたくなるユーレイもいるみたい……今のユーレイは違うかもしれないけどね』
『へぇー、ミイは人間だけじゃなくてユーレイの事もよく見てたんだなぁ』
……そろそろ千紗が帰ってくる時間だ……今日は、どんな話をしてくれるのか楽しみだ……




