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ある日の猫  作者: 星乃夢


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第十話 見守り


 今日も俺はこの家に来た……ミイとの約束だからな。ある時窓からそっと中を覗いてみたんだ……覗きの趣味はないから変な意味にとらないでくれよな。

 部屋の中には、二人の人間がいたがミイの姿はやっぱりなかった。見守るって、誰の事を見守るのかな……。俺はその日から、見守りにきた事が分かるように印を残すことにしたんだ。

 いつものように縄張りの見回りを終えて、ミイの家に寄った。『ミイ、見てくれているかな』と思いながら、印を残そうとした瞬間、人間がほうきを持って何やら怒鳴りながらやってくる。俺は慌てふためいて変な走り方になったけど、無事逃げ切れた。『ミイの飼い主さんって怒りん坊なのかな?』と俺は思ったよ。

 それからも、約束だから毎日家に通った。ただ家の窓際をゆっくり歩いて中にミイがいるかどうかを確認するだけだったけどね。それに、印を残そうとしたら追いかけられるから、それはやめたけどね。

 しばらくの間、その人間はほとんど家の中で居たけど、だんだん元気になったのかな……庭に出てきたり庭木の手入れなんかをするようになっていったな。ミイに報告したかったが、できなかった……。その人間は、すっかり元気になったみたいで、俺の姿を見ると走って追いかけてくるようになったんだ。俺は軽く走って逃げて居たけど、ちょうどその頃ボスの役目が忙しくなった。仕方ないので仲間に代理で見守りをしてもらうようにした。その家に代理で行ってくれたのは……5匹くらいだったかな?交代でその家の人間を見守り続けた。


 ある日、俺は夢を見た……。夢の中にキラキラ輝く場所でミイがいた。俺は懐かしくて嬉しくなった。

『毎日見守ってくれて……約束を守ってくれて本当にありがとう』

『いや……別に。俺は……縄張りの見回りのついでに、ちょっと寄ってるだけだよ。それに最近は俺もそれなりに忙しくなって、俺の代わりに仲間が行ってるし……』

『お願いばかりで悪いんだけど……またお願いしたい事が出来たの』

『ん?俺に出来る事なら、やるけど……』

 ミイがおかしな事を言う。猫は最期の時に何も考えなければ、すぐに他の体に生まれ変わる、そして記憶がリセットされる。でも、強く願えば……生まれ変わる時期や場所を指定出来るかもしれないのだと言った。

『はぁ……それをやれってこと?』

『そう。ミイを大切な人(千紗のパパ)に会わせてくれた千紗が数年後に大変な事になるの。私は千紗に恩返しがしたくて……。知らないフリが出来なくて……手伝ってくれないかな?私が出来るといいんだけどタイミングが合わなくて……』

 夢の中とは言え、今生きてる俺に俺の最期の時やその後の事を手伝えって……訳が分からないぞ。でも、不思議なことにミイのいう事に何故か俺は従ってしまうんだが……。とりあえず、その時が来たらミイが言ってた事を思い出すようにしよう……。


 

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