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第20章 イタリアへ

第20章 イタリアへ


 三台の『Streetfighter V4 』は良い音を立てて、峠道に入っていった、ここから10分程の『森の駅箱根十国峠』まで行ってそこで折り返して帰ってくるらしい。

 少し待っていると、陽菜が最初に戻ってきた、どうやら楽しくて少し飛ばしたらしい。

バイクを降りると直ぐに敬純の所に来て

「このバイク凄い楽しいです、ツーリングには向いて無いかもですけど、峠道を走るのは最高ですね」

と報告してくる、陽菜のそんな所を、ちゃんとカメラが撮影していて、敬純もしっかり映ってしまっている。

「そうか、楽しそうで良かった、ほらその話は僕では無くて、向こうの人達と話さないと」

そう言って陽菜を他の二人の所に戻す。

「あの渋川さんも試乗しませんか?、結構良い絵が撮れると思うのですが」

「いや僕は今日はツーリングスーツだから、ネイキッドに乗ったらイメージが合わないでしょ、それより、あの台上のグレーの方、特別仕様なんだって?、二台欲しいんだけどなんとかならないかな?」

 敬純は『Streetfighter V4 SP2』を二台買って、別荘に置いておき、それで伊豆や箱根のワインディングロードを走ったら楽しいだろうと思ったのだ、陽菜も気に入った様だし良いアイデアだと思う。

「二台ですか?渋川さんと「ゆかりん」さんがプライベートで乗っていただけるって事ですね、ちょっと上と確認して連絡いたします」

 トークショーは、一般に解放されていて、いつの間にか、ステージの前は凄い人だかりになって居る、DUCATIのサイト等で、今日の事はイベントとして告知されていた様だ。

 司会の女性が、三人にうまく話を振って、三人とも卒無くこなして、新型の『Streetfighter V4 』の魅力を語っている。

「S字コーナーの切り返しが、すごく楽ですね、機敏に反応してくれる所は、私のPanigale V2Sと同じかそれ以上です」

と陽菜はそれらしい事を話している、サーキットをちゃんと走れた事で、自信が持てたのだろう。

250ccのR25でフラフラと走っていた頃の面影はもう全く無い。

「ゆかりんさんは、Panigale V2Sでサーキットを走られているんですよね」

とここで、後ろのスクリーンに敬純が提供した陽菜のベストラップの時のオンボード動画が映し出される、

「『Streetfighter V4 』でサーキット走ってみたく無いですか?」

「もちろん機会があったら走りたいですね、峠と違ってアクセル全開にしても誰にも怒られないですから」

と陽菜が最後に答えて、トークショーは終了した。

「敬純さん、私ちゃんとできてましたか?」

 陽菜が直ぐに敬純の所に駆け寄って来て感想を求めた。

「うん、良かったよ、ちゃんと撮って置いたからね」

とそこに

「ゆかりんちゃん、その方が噂のお父様?」

 今一緒にステージに居た二人が敬純に挨拶をしにきた。

「私、『ワム』と言います、今度私ともコラボしてください」

「私は、『瑞稀菜緒』です、よろしくお願いします、私にもバイクの乗り方教えてください」

と何故か敬純は急に二人の美女に言われて、陽菜はムっとした顔をしている。

「はい、ありがとういつか機会があったらね」

と二人に言って、

「着替えておいで、少し峠を走って帰ろう」

と陽菜に言うと、陽菜は頷いて、またツーリングウェアに着替えに行った」

帰路は普通に箱根ターンパイクで帰宅する事になる。


 今回のイベントは大成功だったらしく、後からDUCATI の広報担当からお礼を言われて、V4SP2を二台確保してくれる事になった、もちろん購入と言う形になるが、優先して回してくれる条件として二人でそのバイクでサーキットを走って欲しいと言うリクエストが付いた。

 翌週には、ディラー経由でナンバープレートが付けられた二台のV4SP2が、二台のサーキット仕様のPanigaleをバックに富士のパドックに並べられて、陽菜と敬純がサーキットを走る様子の動画が撮影された。敬純はリクエストに答えて『ウィリー』と『ジャックナイフ』を披露した。

 この動画はDucatiのサイトで『Ducatista』として各国語で公開された。

 これで、敬純の家のガレージにはツーリング用のMultistrada、サーキット専用のPanigale、峠用のStreetfighterと二人分で合計六台のバイクが並ぶ事になった。

 そして陽菜にはDUCATI専属のモトブロガーにならないかと言うオファーが来たが、来年はMFJの地方大会に出場する予定がありDUCATI 以外のバイクに乗る事になるかもしれないので一度は断ったが、なんと地方選手権に他社のバイクで出場する事を特例で認めるので是非に、と言う好条件を提示してもらった。陽菜は、正式にDUCATI専属のモトブロガーと言う事で、チャンネルにもDUCATI 協賛と表示されてロゴも入れられる様になった。ちなみに敬純の方は、もうかなり前から『Shonan Sports Riders』のレーサーとして協賛を受けている、だからレース用のスーツにも、スプリンターにも『Ducati Corse』の文字とロゴを使用しているのだった。

 

 熱い八月も終わり、9月になると、いよいよイタリア行きの準備をする事になる。

Ducatiの広報には二人でサンマリノGPを見に行くと言う事で、パドックパスとピットパスを発行してもらった。もちろん配信用の動画を撮る事になる。

「一応フライトと現地のホテルを教えていただけますか?」

と言う事なので。ボローニャ空港の到着時間とホテルを教えた。

 日本からイタリアに行くのは、ローマへ直行便で行くのが普通だが、今回の様にそこから他の都市に行くとなると話は別になる、イタリアの空港のサービスレベルと治安が悪すぎるからだ。

 ローマからトランジットで国内空港までとなるとかなりの確実で荷物が紛失されるか盗難に遭う。

敬純はほぼ毎年イタリアにMoto GPを観戦に行っていたので、一番トラブルの無い方法を学習している。羽田からドバイまで『Emirates航空』でフライト、数時間のトランジット待ちを過ごして、ドバイからボローニャまで同じEmirates航空の直行便でフライトと言うルートだ。

 これだと、荷物やフライトの乗り継ぎでトラブルになる可能性を最小にできるのだ。

そんな訳で、今回も陽菜と同じコースで行く事になるのだが、せっかくボローニアに行くので、そこで二泊して、Ducati museumへ行ったりするつもりでいた。

 すると広報さんから連絡があり、ちょうど同じ日程で、ボローニャ近郊の『イモラ』サーキットで

「『DRE Racetrack Day 』が開催されるので、それに参加してみませんか?」

と言うお誘いがあったので、受ける事にした。

レーシングスーツや装備一式は現地で揃えてくれるとの事なので、重い荷物を運ぶ手間も要らないのがありがたい。

 

 羽田発は深夜なので、夜になってからEmirates航空の送迎サービス車で向かう、車はまぁ普通のハイヤーだ。

 チェックインをして、出発までラウンジでのんびりと、ここ数年敬純はファーストクラスに乗る様にして居る、これなら途中で完全に横になっ寝られるので疲労度が全然違うからだ。

 陽菜は飛行機に乗るのも海外に行くのも初めてなので、少し興奮して緊張して居る様だ。

ラウンジのバーで飲み物を待っていると、後ろから声を掛けられた

「親父?」

「おう、翔か」

「どこへ……あ、またイタリアか」

「ああ、ドバイ経由でボローニャだ、お前は」

「ドバイの家に帰る所だよ」

 同じフライトに乗るので、翔と合流する事にした、陽菜の分のカクテルも持って翔の居るソファーに行くと、また新しい彼女の様だ、例によって全身ブランド物で固めた港区女子らしい。

「紹介するよ、親父と……妹だ」

「親父、これは華」

「初めまして、滝川華と申します、あのお父様もドバイに行かれるんですか?」

「いや、親父達はトランジットで寄るだけ、イタリアに行くそうだ」

「まぁ、イタリア良いですね、私も行きたいなぁ」

とクネクネして居る。

陽菜を見ると、まるで別世界の生き物でも見つけた様な表情だ。

「ああ、そうだ丁度良い、陽菜ちゃんの投資アカウント、今こんな感じ」

「え、なんですか?これ」

「ああ、配信の収入ねほぼ全部ここに入っている、それを翔が運用して居るんだ、お既に一億超えか

相変わらず優秀だな」

「これでも親父の指示通りリスクが最低になる様にコンサバティブに運用して居るんだ、もっとアグレッシブにすれば、この五倍以上のリターンになっているよ」

「でも、その代わりゼロになる危険もある、って事だろ、ゼロならまだ良いがマイナスになる事もある」

「いや、流石に今はそんな運用はしていないって」

と言う話に陽菜も華も全然理解できないのか、黙っていたが

「ねぇ、それって妹さん一億持っているって事? 凄いけど、じゃなんでこんな格好しているのバックだって……うーん聞いた事の無いブランドだし、っていうか私も一億欲しい!」

「良いよ、最初に1000万あればすぐに一億にしてあげる」

「えーその1000万が無いのに」

『息子よ、良い加減もう少しまともな女と付き合え……まぁ俺には言う資格が無いが』

と敬純は心の中で息子に声をかけた。

 そして搭乗時間になる。敬純達の席は2E、2Fと隣同士で、パーテーションを下げれば、会話は可能だ。翔達は、何故か前後に離れて席を取っている様だ、翔の事だから長いフライトを一人で過ごす方が楽だと思っているのだろう。

「翔さん、本当に違う彼女になってましたね」

「ああ、あれね、華さんって言ったかな、彼女の方は恋人になりたい様だけど、翔は、動くアクセサリー位にしか思ってないからね、前の子もそうだったけど」

「それ、結構酷いです……あ、私もそうなんですか」

「馬鹿、陽菜はそんな安い女じゃ無いよ、僕の宝物だからね」

「本当ですか、嬉しいです、でもこの席豪華過ぎて私、落ち着かないです」

「食事の時は、一緒に食べられる様にしてもらうから安心して」

と、言う感じで12時間ほどのフライトを過ごしてドバイに到着、ドバイは朝7時前になる、ここで翔達と別れて、そのままファーストクラスのラウンジに向かう、トランジットは二時間だ。

ラウンジの中の店を覗いて

「陽菜は、こういうバッグとか全く興味無いの?」

「女の子ですから興味ありますよ、メイドカフェでバイトしていた時にはお客様からプレゼントされた事もありますけど、でもあまり欲しいとは思いません、ほとんど使いませんし」

「そうか、じゃ時計とかアクササリーは?」

「うーん、時計はアップルウォッチで……敬純さんもそうですよね、あとはバイクに乗るから指輪とかは

持っていてもしないですから」

「さっきの子も少しは陽菜を見習えば翔ももう少し優しくなるんだろうけどなぁ」

「ええ?それは逆じゃ無いですか、翔さんがそうじゃ無い女性を選べば良いだけだと思うんですけど」

「ああそうとも言うね。でも、あいつは派手な女性が好きなんだ、だから仕方が無い」

「あ、そう言えばラウンジで翔さんが言っていた、一億円って何の事ですか、私全然理解できなくて」

「会社を作って配信収入をそこに入れたでしょ、で余剰資金を株とか為替に投資しているって言えばわかる?」

「はい」

「その投資のおかげで、元本が一億を超えたって話しだよ、陽菜のお金だ」

「え、えええええ……」

 陽菜はあまりの事で声を失った、確かに配信者で登録者が100万人を超えている様な人達は年間でそれ位収入がある人も居る、だが陽菜は自分がその仲間になれると言う事が信じられなかった。

「帰ったら、陽菜のアカウント確認してご覧、事務所からの給与の他に投資の配当が入って居るから、前より増えているよ」

「は、はい」

後は時間まで、ラウンジでのんびとする、ここは豪華な食事もワインも全てが揃っているので、陽菜はまた感動していた。

 ドバイからボローニャ・ボルゴ・パニゴーレ空港に到着すると、午後の2時位だ、時差の関係で羽田を出た日の昼過ぎと言う事になる。

 空港にはDucati本社の日本語を話せる広報の担当者が迎えに来てくれていて……迎えの車はLamborghini Urusだった。

 そのまま敬純がボローニャに来る時はいつも利用している『Royal Hotel Carlton』にチェックイン、

部屋は『Presidential Suite』だ、歴史を感じさせる部屋のインテリアに陽菜は

「映画みたい」

と喜んでいる。

 荷物を置いて、広報の案内で『Ducati Museum」に向かい見学、敬純は何度も来ているが当然陽菜は初めてで、ここでも感動していた。

 陽菜はここで売っているDucatiのセパレーツの水着が気に入って購入していた。

そして、すぐ近くのDucati本社で、明日着るレーシングスーツやヘルメットのサイズ確認。

事前にサイスは連絡してあるので問題は全く無いしDucatiオリジナルのこのスーツは基本的には敬純達のスーツと同じ物なので安全面でも問題無い、日本には入ってきてないレディースのスーツやブーツ、グローブを見て陽菜が欲しがっていた、そしてヘルメットだけは、今のDucati純正は日本製のヘルメットなので、敬純は我儘を言っていつものAGVの物を用意してもらった。

 ホテルまで送ってもらって、軽く食事をしてワインを飲んで寝る、明日は朝早めに迎えに来るそうだ。

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