第12章 北海道
第12章 北海道
給油の後は273号で『糠平湖』の横を抜けて白樺の並木『白樺ロード』に入る、しばらく安全そうな道なので陽菜を先導させると、
「素敵、ここをずっと走っていたい」
と言っている、全く同感だ。そして『三国峠展望台』で撮影、少し寒いのに何故かカフェでソフトクリ=ムを頼む陽菜、敬純は当然暖かいカフェラテだ。
「感動の景色だったね」
「途中の橋も良かったですね、綺麗でした」
ここからはまた峠なので敬純が前に出て、絶景の層雲峡、大雪ダムを抜けて39号で『銀河の滝駐車場』へ『流星・銀河の滝』も、北海道お約束のポイントだ。そして上川町で給油して旭川紋別道に入り、『愛別IC』で降りて、140号で旭川に入って本日の宿『森のゆ ホテル花神楽』に到着する。
今晩は北海道最後の夜なので、露天風呂付きの和洋室と言うスイートルーム的な部屋を予約している、
部屋に入って荷物を置いて、早速二人で露天風呂に。
陽菜は甲斐甲斐しく背中を流してくれて、湯船ではピッタリと密着して離れない。
「明日はもうフェリーに乗るんですね、帰りたく無いです、このままずっと北海道を走っていたい」
「そうだね、僕もあの白樺並木の所はそう思ったよ」
「また一緒に来られますか?」
「もちろん、今回は函館とか行けないからね、次はそっちの方から回ろう」
「はい、楽しみです」
「それにしても、こういう大きいお風呂が家にあると良いですね」
「そうだね、家の辺りも温泉出ると良かったのにね、箱根とか伊豆の方に別荘でも買おうかな」
まぁこれは軽い冗談だ。
風呂から上がって、お食事スペースに向かう、今夜の料理は『料理長厳選御膳』と言うコース料理だ、海の幸がメインだが一応和牛もコースに入っていたのは有り難かった。
食事が終わって、ホテル内を散策していたら、『リラクゼーションルーム』が有り、マッサージチェアが有ったので座ろうとしたら。
「お部屋に戻りませんか、マッサージなら私がします」
と陽菜に手を引っ張られる。
「そう、それは嬉しいな流石に腰が少し張ってるなと思ってね」
と言う事で、部屋に戻るとシャツを脱いで、ベッドの様な布団にうつ伏せになった。
「ここですか?」
「そう、もう少し下、あ、そこ、もう少し強く押して」
そんな感じでマッサージをして貰っていたら、陽菜が身体を合わせて来た。
『あ、やっぱりそうなるのね』
と言う事で……
そして、また部屋の露天風呂へ、本当は大風呂に行こうと思ったのだが、また陽菜に泣かれても困るので、二人で入る事になる。陽菜はまたピッタリ密着。
「私、もう一生敬純さんの側から離れませんから」
「それはとても嬉しいけど、僕はもう来月55歳になるんだよ、良く考えた方が良くない?、陽菜はまだ20歳でしょ、これからももっと良い出会いもあるかもしれないよ」
「敬純さん以上の人なんて存在しません、そんな事言って、私の事を邪魔だと思うんですか?」
『あ、やばい地雷を踏んだ』
「そんな訳ないよ、おいで」
と抱きしめて……
『これは今夜二度目のお勤めコースだ』
ツーリング七日目
今日は、夕方には苫小牧のフェリーターミナルに戻らないといけない、なのであまり長距離は走れない。
朝から露天風呂に浸かって、朝食バイキングへ、もう定番になった陽菜は和食、敬純は洋風。
どう考えても、和食の方がカロリーが高い様な気がする。
今日は朝から良い天気で気温も上がりそうだ、なのでライディングスーツはダウンの三層を外して
荷物に仕舞う。
そして、フェリーに乗るのに携行缶を空にする必要があるので、ガソリンを全てバイクのタンクに入れてから出発。
旭川を抜けて北海道縦貫道で、途中で給油をして登別まで、先に『登別熊牧場』へ行く
まぁただの時間潰しだ。
陽菜はあまり興味なさそうなので(敬純もだが)早々に切り上げて、次の時間潰しスポット『登別伊達時代村』へ、陽菜はここは楽しそうにしている、そして陽菜の希望で姫と殿様と言う仮装で写真を撮られる羽目になった、そして今日のちょっと遅めのランチもここ、『満腹亭』で、まぁ観光地なので味はそこそこ、ずっと豪華な海鮮料理だったので、こんな感じも有りだと思う。
「私、来年が成人式なんです、着物を着るのなんて諦めていたから、この写真嬉しいです」
と言う事らしい
「成人式って今は住民票が葉山だから、葉山で出るんだよね?着物着たいなら仕立てあげるよ」
「え、本当ですか、でも着物って高いんですよね?」
「うーん、そうでも無いと思うけど、戻ったら店に行ってみようか」
「嬉しいです、本当に敬純さん大好きです」
そんな感じで、ここでのんびりとして、フェリーターミナル近くで北海道最後の給油をして
乗船手続きをして、また乗船まで待機。行きと同じ様に乗船して、部屋に荷物を置いて……部屋は帰り便もスイートだ、部屋着に着替えて、また大浴場に行く。
そして、レストランに行って夕食を食べて、あとはもう何もする事も無いが、
「ビールとおつまみ買いますね」
と、陽菜は二人で部屋で過ごせるのが嬉しそうだ。
ビールを飲みながら、陽菜は今後に上げる予定の動画の話をする。
「納車の動画を最初を上げて、次に千葉、それで日光、1000km点検、車も上げて良いですか?、そのあと今回の北海道ですね、これは何回かに分けて上げないと……」
「そうだね、僕は陽菜が上げた後に千葉や日光からあげようかな」
「千葉も日光も敬純さんと一緒って編集しても良いですか?」
「僕は構わないけど、きっと登録者とかメンバーの人が減ると思うけど大丈夫?」
「はい、もう変なキャラを演じるのは嫌なので、正直に彼氏と走ってますって言おうと思います」
「そうか、それでその彼氏が僕だとバレて、僕が炎上するのか、なんか楽しいね、もう今から『ジジイが若い女に手を出すな』とか『パパ活とか最低』みたいなコメントが山の様に来るって想像できるな」
「本当に、ご迷惑をおかけしますけど……」
「良いよ、全然迷惑って思ってないから、むしろみんなの反応が楽しみでもあるかな」
「敬純さんのそう言う所が好きです、本当に頼れる人って感じで安心します」
「そう言えば、僕はずっとネット見ていないけど、陽菜はSNSでなんか書かれていないの、北海道での目撃情報とか?」
「熊じゃないですから、目撃情報は酷いです、でもほら、バイクもヘルメットもウエアも前と違いますからね、私だって気が付かれなかったのかもしれませんね、泊まった所もホテルだったし」
「そうね、ライダーハウスとかに泊まっていたら、囲まれて質問攻めにされたかもね」
「でも高そうなホテルで部屋も良い部屋だったんですけど、大丈夫なのですか?」
「全然大丈夫だよ、それは気にしないで」
「はい」
ビールを2本ずつ飲んでいるので、陽菜は少し酔っている様だ。
妙に色っぽくなっている。
そしてツーリング8日目の朝だ、昨夜は敬純はかなり頑張った。
大洗到着は14:00 と言う事なので、それまではのんびりとする。
陽菜を起こして朝食に行き、荷物の整理をして準備だけして、もうアルコールは飲めないので
あとは、ベッドでダラダラと
「フェリーの中って暇ですね」
「そうだね、海外の客船だとジムとか劇場とか映画館とかカジノまであるんだけどね」
「あ、知ってますクルーズ船って言うんですよね、横浜港に見に行きました」
「そう言えばGWにクインー・エリザベスが来てたんだっけ、あれはこの船の倍以上あるんだよね」
「敬純さんは乗られた事あるんですか?」
「ああ、違う船だけどね、イタリアの会社の新車発表会に招待されて、横浜から上海まで乗った事がある、あの時は半分仕事だからあまり寛げ無かったけど、さすがイタリアの会社だなぁって思ったね、全部がお洒落なんだよね」
「イタリアの車には乗らないんですか?」
「流石に、前の会社に居た時は乗れないからね、あ、そうだ上の息子がイタリアの車に乗っているな、たまに遊びに来るからその時に紹介しよう」
「息子さんって私より歳上なんですよね、緊張します」
とこんな感じで取り止めも無い話をしながら時間を潰して、軽くランチを食べて少し昼寝をして大洗港に
到着した。
下船して、常磐道で葉山まで帰る事になる。のんびりと走って守屋SAで給油して、ここで時間調整の為に、ちょっと早い夕食にする、このまま走ると、丁度首都高速の帰宅ラッシュ渋滞にぶつかるからだ。
「どの店が良い?」
「そう言えばチキン全然食べて無いですよね」
「そうだね、じゃ『鶏三和』だね」
と言う事で並んで、陽菜は『名古屋コーチンの親子丼』敬純は『鶏南蛮御前+塩唐揚』をフードコートで食べる事になる。そして陽菜は食後にソフトクリームを買って食べていた。
「長距離ツーリングは楽しいですけど、この高速を走るだけは詰まらないですね、眠くなります」
「うん、だから僕は長距離の時は、あのバンにバイクを積んで、目的地まで行く様にしていたんだ、高速を長距離走るだけなら車の方がずっと楽だからね」
「あ、敬純さんの動画で見ました、あれそう言う事だったんですね」
5時を過ぎたので、出発、少しだけ渋滞に引っ掛かったが一時間半程で、葉山に到着した。
これで、7泊8日の北海道ツーリングは無事に終了、荷物を下ろして、洗濯物を洗濯機に放り込んで
ツーリングウェアを水拭きして陰干し、グローブやブーツは専用の乾燥機へ、ヘルメットも内装を外して消臭機へ、これで装備品はOKだ、バイクの方は明日にする。
久しぶりに書斎でメールを確認すると、Ducatiの店からPanigale V2Sの試乗車上がりのバイクが入荷するとの事で、これと新車とどちらにしますか?と言うメールが入っていた、陽菜のサーキット練習用なので新車の必要は無いので、試乗車の方でサーキット用にモディファイしてもらう事にして返答した。
そして『ダイネーゼ』の店からは陽菜のサーキット用スーツができましたと言うメールも来ている。
あとは、GT-Rをいつ取りに行けば良いですか?と言う例の役員からのメール位しか大事な物は無い
車は陽菜の車があるので、困らなくなったから、いつでもどうぞと返事。
そして、気がついた、トランスポーターで利用しているキャラバン、バイクリフトは一台しか載せられない。二台載せてサーキットに行くのは無理なのだ、なので、カスタマイズを頼んだ店に、リフトを二台載せにできるかメールで聞いてみる。
「敬純さん、お風呂の準備できました」
と陽菜が呼びに来たので、一緒に入浴。
敬純の家の風呂は元々かなり大きめの物だ、多分ユニットバスとしては最大だと思う、大人が二人で入れる大きさなのだが、それでもホテルの露天風呂と比べると狭いと思うのは仕方が無い。
「明日さ、外のデッキのジャグジー掃除するから手伝ってくれる?」
「はい、それなんですか?」
「寝室の外にデッキがあるでしょ、そこにねジャグジーって言うお風呂みたいなのがあるんだけど。一人だだから、ずっと使っていないんだよね、カバーかけてそのままにしてある、だから掃除して使おうかなと思って」
「え、そんなの有ったんですか、はい頑張ります」
そろそろ、庭のプールも業者を呼んで掃除してもらって、使える様にしないと行けない季節になってきた、庭のBBQグリルも掃除して、LPボンベを交換しないと行けない、この家はある意味維持費はかかるが、実は可愛い彼女と二人で住むなら楽しい家なのだ。
そんな訳で、敬純のやる事リストは順調に増えている。
流石に少し疲れを感じているので、今夜はグラッパを飲んで早めに就寝。
陽菜もおとなしく寝てくれる様だ。
ツーリングに出ていて曜日の感覚が無くなっているが、今日は土曜日になる。
朝起きて、なんか久しぶりに陽菜が作った朝食を食べる。
冷蔵庫の中はほぼ空にしてあったので、冷凍系の食材で作ったみたいだ。
「『貧乏飯』は得意なんです」
と朝から笑わせてくれた。
まずはバイクの洗車と整備から、最初に、トップケースとサイドケース、タンクバックを外して洗車、陽菜は自分のバイクは自分で洗うと言う事なので、敬純は例によって水着で洗車をする陽菜の撮影。
陽菜が拭き取りとワックス掛けをしている間に、敬純も洗車して、ケース類は別途水拭きをして、保護用のPlexusスプレーを拭いて拭き取きとるだけ、そして二台を整備、長距離ツーリングの後なのではブレーキ系やチェーンなど色々と確認しながら、今回は事故もトラブルもなかったので二台とも特に問題は無しだ。敬純が整備をしている間に陽菜にはシートクリーナーでシートの手入れをしてもらう。敬純は自動車用の米国製を使っているが、このレザーワイプは滑らないのでバイクのシートに丁度良いのだ。
バイクの洗車と整備が終わったので、陽菜には水着のままでジャグジーの掃除をしてもらう、要領は風呂を洗うの同じなので、特に問題は無い、その間に敬純はジャグジー用の湯沸器の点検……ずっと使っていないので、最初は茶色い水が出たが問題無くお湯が出る事がわかった……や、ジェット・バス機能用のコンプレッサー等の機械系を点検する。
そしてお湯を張って、洗剤を入れてジェット・バスを15分程動かして、またお湯を入れ替える。
これでOKだ。
「もう入れるんですか? 入っても良いですか?」
と陽菜が言うので、バスタオルを準備して、一緒に入る。
敬純が水着を履いて戻ってきたら、陽菜はすでに水着を脱いでいた。
まぁここは外から見られる心配はないから良いだろう、海が見えて景色は最高なのだ。
「温泉みたいで気持ち良いですね」
「ここで、冷えたシャンパン飲みながら入るのは最高なんだよ」
「良いですね、また夜に入りましょう、食材買いにスーパー行きませんか?」
と言う事で、楽しい入浴タイムは終了。




