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健康・メンタルの鍛練編

水道水も危険!? 身近に潜むPFASの問題について

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回はPFASピーファスの健康問題についていよいよ国が動き始めたそうだということについて、「こうあるべきだ」という個人的提言を行っていこうと思います。



質問者:

 PFASってそもそもあまり聞き慣れないのですが……。



筆者:

 PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称です。


 PFASに含まれる有機フッ素化合物は多くの化学的性質を持つことから、あらゆる製品の高性能化・高機能化に役立てられてきました。


 熱に強い、水や油を弾く、燃えにくい、汚れを防止する等の特徴があり、一部の絆創膏、マスク、焦げ付きにくいフライパンの表面処理剤、自動車のコーティング剤、消火器に含まれている消火剤などに使用されていました。


 ところが、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高いことが分かっていき、

 2004年にストックホルム条約が批准されることで世界各国で使用が禁止されるようになっていきました。



※PFASにはPFOA,PFOS, PFNA, PFHxSなどと詳しく分類すれば何種類もありますが、ややこしいので総称であるPFASを使わせてもらいます。



質問者:

 20年も前に禁止されているのであれば問題が無いのではありませんか?



筆者:

 ところがそうもいかないのです。


 有機フッ素化合物は化学構造上、炭素とフッ素が非常に強い力で結びついています。


 そのため自然界では分解されず、海や土壌に堆積することで、循環系に長期間残存し続けます。

 実際に日本国内でも、東京・多摩地域や沖縄県、岡山県、三重県などで、水道水に使用している井戸水から基準以上のPFASが検出された事例もあるなど、私たちの飲み水にまで影響が及んでいるのです。


 PFASは産業利用に適している反面、一部の種類で自然界に放出されるとほとんど分解されないまま残り、生物に取り込まれると体内に蓄積しやすいことから


「永遠の化学物質=フォーエバーケミカル」


 とまで呼ばれているのです。



質問者:

 なるほど、長期的に影響が及ぶことから20年という期間ですら取り除くことに足りないという事ですか……。


 かつて便利だったもので健康被害が報告されたものですとアスベストがありますけどあんな感じですか……。



筆者:

 アスベストより悲惨だと思いますよ。粉塵は舞っていることで危険性が分かりますけど、

 見た目や味でPFASの濃度が高いことは分からないみたいですからね。



質問者:

 だからこそ国が力を挙げて検査や対策をしていく必要があるという事ですか……。



筆者:

 簡単に申し上げればそういう事になります。



◇日本と世界のPFAS対策



質問者:

 具体的に今PFASへの日本国内での対策はどうなっているんですか?


 

筆者:

 WHOが2022年に提案した暫定的ガイドライン値は、PFAS合計で500ng/L(水1リットル当たり500ng)となっています。


 それに対して日本の2020年の厚生労働省や環境省での基準では、PFAS合計で50ng/Lと10倍厳しい基準になっています。


 

質問者:

 それだけ厳しいなら安心ですね。



筆者:

 いや、WHOが極端に緩すぎるだけみたいなんです。


 各国ではWHOを無視してさらなる厳しい数値基準を定めています


 デンマークは2021年7月にPFASの合計で、2ng/Lという基準値を設定しています。


 アメリカでは2023年3月、米環境保護局は飲料水におけるPFASの生涯健康勧告値(生涯飲用し続けても健康に影響がないとされる値)を70ng/Lから4ng/Lへ大幅に厳格化しています。



質問者:

 え……50ng/Lが凄く緩く見えてしまいます……。



筆者:

 そうなんですよ。アメリカが厳格化した理由としては


 2022年、アメリカの学術機関・全米アカデミーズの委員会は連邦政府からの要請を受けて、5000本以上の論文を分析したものがあります。


 この論文の中で、


「関連性を示す十分なエビデンスがある」としたのは


・動脈硬化などの原因となる脂質異常症 

・腎臓癌

・抗体反応の低下(ワクチン接種による抗体ができにくいなど)

・乳児・胎児 の成長・発達への影響 



「限定的または示唆的なエビデンスがある」としたのが、


・乳癌

・肝機能障害

・妊娠高血圧症

・精巣癌

・甲状腺疾患または機能障害

・潰瘍性大腸炎


 と数多くの症状が報告されているのです。


 しかも体から排出することは難しく「生涯的に蓄積していく」ことから基準をより厳しくしようとしているのです。



質問者:

 なるほど、飲んだ瞬間すぐに倒れるような事態にならなくても、徐々に体を蝕んでいくんですね……。



筆者:

 このアメリカの報告では1ミリリットルあたり20ng/Lを超える状態が続くと健康へのリスクが高く、2ng/L未満だとリスクは低いとしています。


 子どもや妊婦はその間の値であっても健康影響の可能性があるとされています。


 そのための基準の厳格化という事なのでしょう。



質問者:

 日本全体での調査はどうなっているんでしょうか……?



筆者:

 NHKの『あなたのまちの水道水は?全国PFAS検出状況マップ』という12月3日の記事には2020年以降の過去5年間での最大PFAS検出値を地図化しているので是非ご覧ください。


 特に注目したいのは2020年の東京都のほとんどが50ng/L越え、

 2020年~22年の三重県桑名市は100ng/L越え、

 2020年~23年までは岡山県吉備中央町はなんと1000ng/L越えをしています。


 これらの地域にお住いの方々はPFASが蓄積している可能性がありますね。



質問者:

 ただ、2024年を見ると1745か所調査したところ安全基準だということのようですね。

 


筆者:

 しかし、これは「50ng/Lという基準における合格」なので「アメリカの4ng/L」から見るとまだまだ超えているでしょう。

 検出されなかったのは富山県のみのようですからね。


 また、検査未実施の「グレーの地域」があります。


3755事業のうち1368事業が「検査実績なし」とのことのようです。


 これらの地域のうち4割は「法的義務が無いから」という理由で検査を実施していないようなので、法的義務化が望まれます。


 「実は1000ng/L越えだった」みたいなこともあり得ますからね。



質問者:

 確かに「富山の天然水」みたいなのがありますよね……。


 検査していないところは逆に怖いですよね……。


 それで具体的にどのようなことがPFASについて前進しそうなんですか?



筆者:

 今回の石破総理大臣の参院での答弁ですと、この基準についての見直し、全国の水質調査を義務化をするそうなんですね。


 僕としては追加するとするなら基準はアメリカ並み、

 東京都や三重県、岡山県などの「レッドゾーン」にお住まいで不安のある方に対しては検査の無料化をする必要もあると思いますね。


 また清涼飲料水のPFAS検査を義務化した方が良いでしょうね(現在は企業努力のみですが、大手飲料水メーカーは自主検査をし、50ng/L以下だと公表しています)。



◇国民が自主的にできること


 

質問者:

 国の対応は昨今の状況を見るとあまりアテにならないような気もします。


 PFASについて国民が出来ることって何かないんですか?


 例えば煮沸消毒をすることでPFASが減るとか……。



筆者:

 京都大学の原田准教授の話では煮沸消毒をしてもPFAS濃度を減らすことは出来ないとしています。


 また、身体からPFASを一気に排出する方法についてはあまり解明されていないようです。


 「PFASを取らないこと」に尽きるようで、一度体に取り込まれてから半分になる(半減期)のにも5,6年かかると言われています。

 しかも新たに摂取してしまうと排出するのが難しくなるようです。


 そのために、国民側で出来る最大の対策は「浄水器を蛇口に取り付ける」ことです。


 特に粒状活性炭入りの浄水器のカートリッジを定期的に入れ替えることでPFASを90%以上カットされることが分かっています。

 現在の環境省基準でも安全性が高いアメリカ基準並みに濃度を下げることが出来るのです。



質問者:

 でも何だか浄水器ってピンキリがあって詐欺商品もあって怖いんですけど……。



筆者:

 詐欺が不安なら安いのでもそれなりにカットしてくれると思いますよ。


 僕の家では普通の値段の浄水器を何年も付けています。


 効果があるのかないのか正直よく分からないですけど、つけていないところと比べると味が良い気もします。

 また、半年ぐらい時間が経つと真っ黒になって「コイツはこれだけ守ってくれたんだ」と思いながら交換しているという感じですね(笑)。



質問者:

 民間で検査機を購入するのもどうかと思いますしね……。


 でも浄水器を付けられるご家庭ばかりではないでしょうし……。

 だから国側が動かなくてはいけないんでしょうけど……。


 調査していない地域にお住まいを検討されている方もおられると思うんですけど、

 そういった方は水質を考慮すればどういう基準で選んだ方が良いんでしょうか?



筆者:

 2020年に全域が50ng/L越えだった東京都環境局の調査結果では過去にPFASを製造・使用した工場や米軍基地、空港の周辺などが発生源の可能性が高いことが示唆されています。


 特にこれらの地域の下流に位置していますと、PFAS根源物質が過去に排出されていた可能性が否定できませんので、あまり住まない方が良いのではないかと個人的には思います。



質問者:

 しかし、住まいを探すのも大変ですよね。

 日本は地震をはじめ災害大国なのでハザードマップを確認しないといけませんし……。



筆者:

 住居はまさしく「一生で最大の買い物」だと思いますので、それぐらい慎重に考えても良いと思いますよ。


 色々なところに住んでみたくてずっと賃貸で良いと言う方は別だと思いますけどね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は、


・PFASは「永遠の化学物質」と呼ばれるために国側の対策が必要。


・アメリカの基準は4ng/Lと日本の10分の1以下で日本もこれにする必要がある。


・粒状活性炭入りの浄水器のカートリッジを定期的に入れ替えることが民間でできる最大の対策である。


 という事をお伝えしました。


 今後も政治の動向についてや健康に関わることについて個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。

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そもそもで、人間いつか必ず死ぬから気にしたってしょうがない、それこそ酒のんでるやつらがこれ気にしてたら本末転倒だからな
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