七話
この異世界に来てから私、宇佐美真穂の周りでは不思議なことが次々に起こっていった。ファンタジー小説で読んだ姿のままの魔物やエルフ、ドワーフも居て………。私の頭は現実を受け止めきれなくて、ぐちゃぐちゃでグルグルで………。
それでも、ティジェフ様やフレイアさん、バイモンさんや教会の皆のおかげで私はいっぱいいっぱいながらもやってこられた。………でも、今日の出来事はいつもよりも不思議な事だった。
「どうした、マホ?」
街に向かって歩いてくれている彼女、虎の亜人であるシロコさんが話しかけてくる。名前は村からここに来る途中に話が合って名前を教えてもらえた。
モモさんの方は………きっとまだ教えられていないのだろう。そんなモモさんはと言うと、何やらずっと本を読むのに集中しているようで私達の話も聞こえてはいないようだ。
「いえ、あの………あの扉は何だったのかなって………」
「それを明日調べるんだよ。先ずは本の解読だ。確かここにも図書館があったし多分古代文字の辞書くらいはあるだろ」
楽しそうにそう呟くシロコさんを見ながら、私はさっきの扉での事を思い出す。誰かの悲鳴のような………、怨嗟の声のような………、とにかく聞いていて気分が良くない声が私をあの扉へと呼んだのだ。
私たちが街に入れば、何種類かの亜人が姿を見せる。見た目が殆ど人間の獣族、逆に見た目が殆ど動物の獣族。彼らがほとんどを占めていて、チラホラとリザードマンやエルフの姿も見える。
「………と、着いたぞ。今日の宿だ」
街並みを眺めながら数分、揺れが治まってシロコさんがこちらを向きながら話しかけてくる。
「モモさん、着きましたよ?」
「え?」
私はシロコさんの呼びかけにも反応せずに読書に耽っていたモモさんに近付いて肩を揺らす。モモさんも気付いなかったみたいで本をパタンと閉じて目線を本から私へと向ける。
「何を読んでたんですか?」
「………ん?相対性理論の新書」
「………この世界に相対性理論なんて発見されてないと思いますよ?」
そうか?、とモモさんは私のツッコミを軽く流しながら車を降りる。
「それじゃあ車を止めてくる。チェックインは済ませといてくれ。今度は三部屋で、な」
私もモモさんの後に続いて車を降りると、シロコさんが車を止める為に進んでいく。
「それじゃあチェックインを頼むよ」
「は、はい」
モモさんのお願いに私は宿に入って、受付の牛の見た目をした亜人の男の人に話しかける。
「あ、あ、あ、あ、あの!」
「いらっしゃい」
「さ、三部屋お願いしたいんですけど………」
私とモモさんを一瞥してから受付の男の人は宿帳を取り出しながら、何故かどや顔で口を開く。
「いいのかい?自慢じゃないがウチの宿は防音の魔法陣が部屋の全面に張り巡らせてるから後ろの兄ちゃんと一緒の部屋にしても………」
「………?」
受付の男の人の言ってることがよくわからなくて頭を傾けると、受付の男の人がこれなんだろ?と右手の小指を立てて、左手で作った円の中に小指を出し入れする。それでようやく意味が分かって私は顔を赤くして頭を振って否定する。
「ち、違いますよ!第一私とモモさんはそんな関係じゃありません!それに私は十六ですよ!?そんなことするなんて………ふ、不健全ですよ!」
「十六なら立派な成人だよ。結婚適齢期だって十八から二十後半だし、実際に結婚年齢の平均は二十前半。その歳にもなってそういう事をしない方がオジサンは不健全だと思うけどね」
どうやらこの受付の男の人は相当痴情が好きなようだ。
私が宿帳にサインし終わったのを見て、まぁ、いいか………、とつまらなそうに三つの鍵を取り出して受付台の上に置く。
「部屋は二階の端っこ三つ。一つは反対側だよ。一部屋2000エクセルね。………にしても二人なのに三部屋?あ、やっぱり………!」
「ちゃ、ちゃんと三人居ます!サインもほら!一人は虎の亜人の人で………。すぐに来ますからその人に鍵を一つ渡して欲しいです!」
宿帳を確認した受付の男の人が残念そうにぶー垂れ始める。
「行きますよ!」
お金を払って鍵を手に取り、後ろで私達の会話を聞き流していたのかぼーっと本の最後のページを眺めるモモさんを呼ぶ。
「あれ?部屋取れた?」
「取れましたから行きますよ!」
モモさんが呑気に本を閉じて、先に行く私に近付いてくる。その途中で受付の男の人がモモさんに話しかけていたが、モモさんに何故かぶん殴られていた。きっとあの人のことだからモモさんにセクハラ紛いな発言でもしたんだろう。
ちょっとだけスッキリして、私は自分の部屋にへと向かった。
あれから半日。
私達は自由行動でそれぞれが街を散策していた。
シロコさんは朝言っていたように、古代文字の翻訳の為に図書館に向かって行ったようだ。
この国では何故か昔の言語の辞書など、そう言う重要なことも一般公開されている。普通なら国で厳しく管理するところだけど、この国の王様はそんなことに興味はないのか特にそう言った制限もないとティジェフ様が言っていた。
一方のモモさんは本を片手にモフテリアと言うお店に向かって行ったようだ。どんなお店かは知らないけど、名前から想像してきっとモフモフがモチーフのカフェテリア………。猫カフェなんかに近いお店なんだろう。
そして、二人の動向を思い浮かべている私は絶賛部屋の中でゆっくりとした時間を過ごしている。ここ二日はずっとゆっくりできなかった。できたとしても移動中だけだった。それに比べて部屋の中はいい。密閉された空間で、誰とも顔を合わせることがなくて。
「ここが、私のオアシス………」
外の雑音も聞こえない。カーテンも閉めた。日の光がほとんど当たらない暗室で、私は恍惚とした表情を浮かべながらベッドの布団へと包まる。でも、そんな平和は長くは続かなかった。
ガンガン、と勢いよく扉が叩かれる音が部屋中に響き渡る。
「ひう!?」
「亜人解放戦線や!早よ開けんかい!」
ガン!と更に大きな音が響く。
………亜人解放戦線!?聞いたことない名前だけど………。
ゆっくりと扉に近付いて少しだけ扉を開けるとその隙間から大きな指が入ってきて扉が私を押し除けて開く。
何人もの人が部屋に入ってくる足音が聞こえて来る。
「な、何なんですか………」
尻餅を付いて私は入ってきた人を見ると、そこにいたのは日本の昔のヤクザが来ているような着物を着た白と黒が基調の珍しい動物、パンダの亜人だった。着物を止める帯には何やら棒のような物も挟まっている。
「自分、人間………よな?」
「は、はい………」
じろりと私をにらむ目に私は壊れた人形のように首を振る。
おい、とパンダの亜人が後ろの犬の亜人に話しかけると何やら紙を受け取って私に見せてくる。その紙には人間に対しての店に対する料金について言及されていた。
「………え?」
そこに書かれていた「人間は通常の10倍の料金設定とする」と言う部分に私は目を奪われる。
「店主から聞いたで。自分ら通常料金しか払っとらんのやろ?確か人間は二人やったわな………。残り36000エクセル………耳揃えて払ってもらおか?」
言っていることが無茶苦茶だ。そもそも人間だけ10倍の値段なんてただの差別じゃあないか。
「そ、そんなの無理ですよ!」
「あぁん?」
近くにあった椅子にパンダの亜人がどかっと座って私を一瞥した後に、何かを考えるように天井を眺める。
「えーと、何やっけ?極東の島国にあるあの言葉………。あぁ、郷に入れば郷に従えや。知ってる?」
ゆっくりとこちらを見ると椅子から立ち上がって帯に挟んでいた筒を手に取る。その筒から鈍い銀色の刃物が目に入って私の中に一気に緊張が走った。腰が抜けて逃げることのできない私の手の真横にそれを突き立てると今度は声色を低くして私の耳元で囁いてくる。
「ごちゃごちゃケチ付けるんやったら奴隷商に高値で売っぱらうぞ」
「うっ………」
その言葉と視線から殺気や嫌悪、憎悪がひしひしと感じ取れてしまう。もはや私は言葉を発することができずに股からチョロチョロと液体が流れ出る。
「………汚いなぁ。まぁ、返事せぇへんならそれでええわ。奴隷商行きってことで」
部屋の外にいた亜人の一人が宿の外に走って行き、パンダの亜人の後ろに控えていた犬の亜人が私を背負う。
「あ………いや………」
「俺だって嫌だよ。お前みたいな言葉通りにしょんべん臭いガキ運ぶなんざ………。俺鼻だけは良いんだぞ?」
本当に嫌そうな顔で歩き始める犬の亜人。抵抗すれば何されるか分からないので抵抗する気も起きない。心の中で何度も助けを願っても助けが来るなんてあるはずもない。
………現実なんてそんな物だよね。物語みたいに都合がいい所で正義の味方が助けてくれることなんてない。
「なんで………こんな事を………」
「最初に始めたのはそっち側だろ………」
あきらめるように無意識に出た言葉に犬の亜人が唸りながらブツブツと答える。
「余計なことは言うな。ソイツに言ったって関係あらへんわ」
呆れたようにパンダの亜人が犬の亜人に注意する。犬の亜人も申し訳ないように押し黙ってしまうが、何処か納得のいかなそうな面持ちだ。
宿のエントランスにまで来ると騒ぎを聞きつけたのか野次馬が集まってきて稀有な目でこっちを眺めている。受付の亜人も申し訳なさそうな目でこっちを見ているが、きっとあの人が通報したのだろう。その受付台にはお金が今にもあふれ出そうな袋が見える。
「なんだなんだ?また亜人解放戦線の奴らか?」
「まったく、何回騒ぎを起こせば気が済むんだ?」
「ったく、奴らのおかげでこっちは人間への商売上がったりだよ」
亜人解放戦線と謳ってはいるが、どうやら亜人の人々にはよく思われてはいないらしい。
「うるさいわ野次馬共!お前らは人間が許せるんかい!」
周りでザワザワとパンダの亜人達に文句を言う人達にパンダの亜人が吠える。私に近付いて来たパンダの亜人が帯に挟まっていた刃物を抜くと私の首筋に向ける。
「お前の言いたいことは分かるぜ、レグー」
宿の受付の亜人がレグーと呼んだパンダの亜人に近付いて刃物を持った手を抑える。
「でもよ、全部の人間がお前が思ってるような奴じゃねーだろ?」
「………どうだか。それに、アンタもこいつら売ったんやから言えたことちゃうで」
「………………………」
レグーさんの言葉に受付の亜人は私の方をちらりと見ながら押し黙ってしまう。
それを見て、しらっとした顔で刃物を納めると担いでいた犬の亜人に視線を向けて首をふいっと動かす。それと同時に私を担いでいた犬の亜人が再び動き出す。
「んだぁ?何の騒ぎだよこりゃ………」
「!?」
しかし、大衆のざわめきがあっても聞こえて来る女性の大声にまた犬の亜人の足が止まった。
その聞き覚えのある大声に私が頭を上げてみると、横で信じられない物を見たかのようなレグーさんがしている。彼の視線を追えば、頭を掻きながら幾つかの本を持って人混みをかき分けて来た女の人がそこにいた。私は彼女を知っている。昨日も、今日も、ずっと一緒にいた白髪で少し黒髪の混じった彼女を。
それを見たレグーさんの仲間の取り巻きの一人がメンチを切りながら女の人に近付いていく。明らかに彼女の二回りはあるカバの亜人だ。
「おうおうおう!なんだぁ、テメーは?俺らを亜人解放戦線と知っての狼藉か?」
「亜人解放戦線?」
「お前らやめろ!」
レグーさんが取り巻きを止めようとするが、興奮して聞こえていないのか、止まることは無くメンチを切り続ける。
面倒くさそうな目で私と声を上げているレグーさんを見るといきなり取り巻き胸倉を左手だけで掴んで投げ飛ばし、それに巻き込まれた犬の亜人から私を奪い去る。
「何が亜人解放戦線だくだんねぇ………」
「何だと!?」
投げ飛ばされた取り巻きが起き上がって女の人を睨みつける。私を地面に降ろした女の人はその睨みに嘲笑で返すと、みるみるうちに大きくなっていく全身から白と黒の長い毛が生え揃って四つん這いになり、足と手の爪、そして歯が伸び、白い虎、私の知るシロコさんへと姿を変える。
「亜人はそんなもんに頼るほど弱くはねぇ」
そう言う彼女の威圧に気おされて取り巻きは大人しくなり、そのまま後ずさっていく。
「シロコさん!」
「大丈夫か、マホ?」
「は、はい」
「姐御!よくご無事で!」
私がシロコさんの声掛けに返事をすると、不意にレグーさんが涙ながらにシロコさんに近付いて話しかけてくる。私も目を丸くしてシロコさんに問いかける。
「し、知り合いなんですか?」
「………あぁ。昔のな」
さて、とシロコは話を切り出してレグーさんを睨み付けながら問う。
「まだ、懲りてなかったようだな。半グレのレグー」
「そんな二つ名で呼ばんでください。今の自分は亜人解放戦線総大将のレグーです」
拳を強く握りながらレグーさんが告げる。
「ウチの連中の顔、姐御なら見覚えがあるはずでしょ?」
人間体に戻ったシロコさんがレグーさんの取り巻き達の顔を一瞥して行く。覚えがあるのか、シロコさんはだんだん眉を顰めていった。
「殆どが、姐御達に助けられたモンです」
「……………」
しばらく黙り込んだシロコさんが深い溜息を吐くと、頭をボリボリと掻いて私に向き直る。
「マホ、とりあえず着替えてこい。話はそれからだ」
シロコさんの視線を追ってみれば、そこにあったのはアンモニアの匂いが漂ってくる私の服だった。私は急いで宿にある部屋に駆け込んで着替えを取り出す。
さっきまでは黒を基調としたドレスとローブだったけど、今度は少しだけ紫がかったドレスとローブだ。
『おーい!誰も居ねーのか!』
シャワーを浴びて着替えも終わって、ようやく部屋を出ると何処からか声が聞こえてくる。声が聞こえるのはどうやら開きっぱなしになったモモさんの部屋かららしい。
きっとさっきの亜人達が開けっぱなしにしたのだろう、と考えながらモモさんの部屋を覗いてみる。
「?」
しかし、モモさんの部屋には人の姿どころかその気配すらない。
『なぁ、本当はいるんだろ?オレ様を揶揄ってるだけだよな?』
でも声は確かにこの部屋から聞こえてくる。もう一度辺りを見渡して、ようやく私はその正体に気付く。棚の上でキラリと丸く光る伝魔水晶からその声が出ていたのだ。
『あぁ、そうかい!そんなにオレ様と話したくないならもういい!せっかく国立図書館で遺跡の情報見つけてきてやったのによ!』
「わわ!」
伝魔水晶が切れそうな感じだったので、私は急いでそれを手に取って声を出す。
この伝魔水晶はシロコさん曰く、二対で一個だと言う。簡単に言えば、糸電話みたいな物で、お互いが細い見えない魔力の糸のようなもので繋がっていて、そこに自身の魔力を流して会話を成立させるらしい。
「あ、あの!」
『あ?何だ居るじゃねーかよ。で、オメーは誰?』
「えっと………その………」
『ちゃっちゃと答えろ!』
「ひぃ!ウサミ・マホです!」
伝魔水晶の向こうの声にどやされて私は慌てて名乗る。
『あ〜?なんだ、ティジェフのとこの神子か。怒鳴って悪かったな』
「い、いえ………」
怒鳴ったり謝ったり忙しい人だなぁ………。そんなことを思っていると伝魔水晶から更に声が聞こえて来る。
『オレ様は生死の神ナトス。よろしくって言いたいとこだが今はちょっとだけ急を要する』
「な、何かあったんですか?」
『あったっつーか、何つーか………。とにかく、モモに伝えてくれ。絶対に遺跡の奥の部屋には入るなってな』
何か焦ったようなナトス様の言葉に私は疑問を持ちながらも頭を縦に振る。
「分かりました。でも………、あの遺跡に何があるんですか?」
『………ガキに教えるような内容じゃねーのは確かだ。オメーも絶対に奥の部屋には入るなよ』
それだけ言うと返事をする間もなく伝魔水晶から声が聞こえなくなって、光もなくなってしまった。
………奥の部屋。きっと私が見つけた大きな扉の奥のことだろう。
「あそこに何があるんだろ………」
そんなことを呟きながら、私は再び宿の外にいるであろうシロコさんの所へと向かう。宿を出てみると何やら慌てたように亜陣解放戦線の人達が走り回っている。
「目撃証言を集めろ!何でもいい!似た奴を見つけたならふんじばって連れてこい!」
「救急班は急いでモフテリアに行け!怪我人が最優先だ!」
声色や口調からして、それがただならないことなのは私も理解できた。
「シロコさん。何かあったんですか?」
何とか人混みからシロコさんを見つけ出して話しかける。シロコさんも私に気付いたのか、私に振り向いてちょっとだけ眉に皺を寄せながら答える。
「あぁ、マホか。モモの奴、モフテリアでコイツらに捕まってたんだが、酔っ払って暴れやがったらしい。そのまま店を飛び出して行方不明だとよ。ったく、問題しか起こさねーヤローだぜ」
モフテリアでお酒………?名前的には動物カフェのような物を想像したけど、どうやら違ったらしい。
「とにかく、今コイツらを使って街中探し回ってはいるんだが………。この調子じゃ街には居ないかもな」
この街に居ない………。そうなると、彼の行き先なんて一つしかない。
私は頭を上げてシロコさんを見る。シロコさんも私と同じ事を考えたのか、私が目星を付けた建物がある方向に視線を向ける。
つい昼頃、私達が調査の為に立ち寄ったあの遺跡がある方角に………。
「ついさっき、レグーにこんな物を渡されたんだ」
「それは………!」
シロコさんがそう言って見せてきた古そうなそれに私は見覚えがあった。それは、あの遺跡から帰ってきてからモモさんがずっと読んでいた本だ。内容については、相対性理論の新書などと誤魔化されてしまったけど、そんなわけがあるはずがない。
「これを呼んでからアイツの様子が可笑しくなった」
「!?」
いったい何が書かれているのだろう?
私はシロコさんの手からその本を手に取り、ペラペラとページをめくっていく。本の内容を目で追う内に全身の血の気が引いていくのを感じた。
「うっ」
吐き気がして手で口を塞ぎながら、私はシロコさんに本を返す。
本当に、モモさんはあんな物をずっと読んでいたの?あんな物、一度見たら読みたいとも思えないのに、顔に出さずにそれをずっと読んでいたモモさんが私には信じられなかった。
「………読めるんだな?」
私の様子を見ていたシロコさんが本を捲りながら私に尋ねてくる。
「読めます」
「内容、教えてくれるか?」
真剣に私を射抜く彼女の視線に目を逸らしながら、私は未だに残っている吐き気を抑える。正直に言って、きっとこの本はシロコさんに限らず亜人、いいや、誰も読んではいけない物なんだろう。こんな物が世に発表されてしまえば、人と亜人で大きな戦争になってしまう。その引き金を引く勇気は私には、無い。
「どんな内容だって受け入れる。だから、頼む」
きっと、古代文字を調べていた彼女もある程度は予想がついているのだろう。だというのに、私に聞くということは、きっと信じたくないのだ。読める私に自身の予想を否定してほしいのだ。
頭を下げる彼女を見て、私はポツリポツリと本の内容を話し始めた。
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