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三話

 教会前の広場。

 あれから少しして宴会が始まった。


「さぁオメー等!オレ様の獲って来た大猪。存分に食ってくれ!」


 神様の食事の挨拶と共に信者の人達も猪肉鍋に手をつけ始める。

 神様の方はさっきあった幼女と何やら話に花を咲かせている。

 猪肉。俺は今まで食べたことはないが美味しいのだろうか?涎を垂らしてはいたものの、あれは想像の中の味だ。

 ゆっくりと箸で鍋の中の猪肉を皿に乗せて冷ました後に口に入れる。


「あ、美味ェ………」


 異世界の食べ物と言うことである程度は覚悟もしていたが結構いけるものだ。


「ほら!兄ちゃんも飲みな!」


 何でも肉を口にしていると隣に座って食べている男が俺に飲み物が入ったグラスを差し出してくる。


「あぁ。ありがとうございます」


 グラスを受け取って飲み物を飲む。


「!?これ………酒!?」

「なんだ、酒は嫌いか?」

「いや、嫌いって言うか俺未成年で………」

「未成年?兄ちゃん歳は?」

「十九です」

「何だよ、成人じゃねーか!この国じゃあ十六で成人だよ!」


 なるほど………。国が違えば成人年齢も違うのは当たり前………なのか?

 だが、確かに成人だと言うなら酒を飲んだって何も悪いことはないだろう。


「ならいいか!」


 俺はグラスいっぱいの酒を一気に飲み干す。


「お!いい飲みっぷりだな!」


 男が勢いよく背中を叩いてくる。


「オメー等盛り上がってるか!」


 教会の正面に設置された台に上った神様の呼びかけに信者達も歓声を上げる。


「今日は一つオメー等に知らせがある!いい知らせだ」

「知らせ?」

「今日は何かの記念日か?」


 それぞれが顔を合わせながら騒めく中、神様が再び喋り出すとまた静まり返る。


「知っての通り今この世界は魔王が誕生した。その混乱の影響であちこちで問題が起きている。街と街の間では狂暴化した魔物達が闊歩し、一部地域では既に支配下に置かれた街もある。一歩街の外に出れば命の危険がある世界。そんな世界を救うために神であるオレ様、ノーサス、ティジェフの三人は神子を別の世界から連れてくることにした」


 神子………。そう言えば転移してすぐに会った店の男も神子とか何とかって言っていたような気がする。


「既にノーサスとティジェフは神子を召喚し、神子の訓練も始めている」


 再び周りが騒然となる。

 耳をすましてみれば、ノーサスと言う神様の神子はパンチで何でも打ち砕く巨漢だとか、一方のティジェフと言う神様の神子は常にストレスを抱えているのかスライム一匹に魔法で山一つ消滅させた、など何やら恐ろしいセリフが聞こえてきた。

 俺をそんなバケモンと同等の扱いしようとしてるのあの痴女神?

 引き受けたからにはやるんだけど大丈夫?ガッカリされない?


「だが!オレ様もようやくオレ様に相応しい神子を見つけた!」


 既に騒然になっている周りが更に湧き立つ。


「おぉ!」

「遂にウチにも神子様が!」

「キャァァァ!神子様ァ!」


 様々な声が上がり神様もうんうんと満足気に頷く。

 あぁ、期待が………期待が辛い………。


「フジサキ・モモ!前に出てこい」


 神様の呼びかけに若干胃をキリキリさせながら、腹を括って俺は立ち上がって神様が立っている台の方へと向かう。


「彼がこの教会の神子………?」

「結構小さいわね………」


 神様の前に到着すると身体を皆がいる方に回されて肩を握られる。


「こいつがフジサキ・モモ、オレ様の神子だ。仲良くしてやってくれ」

「えっと………フジサキ・モモです。よろしくお願いします」


 喝采は聞こえないが拍手は聞こえてくる。

 まぁ、俺あんまりガタイ良くないからガッカリされるのは分かる。

 だって他はさっき聞いただけでは殆どバケモンだから。


「よーし。んじゃあ能力検査やっていくか!」


 神様がガラス玉を机の紙の上にポンと置いて俺を見る。


「さ、これに手を乗せて思いっきり力を込めろ」


 言われた通りにガラス玉に手を乗せて力を込める。

 ビビッと、静電気のような痛みが掌を通ってガラス玉がゆっくり光って行く。

 その光が紙全体に広がっていき、まるで光を集めた虫眼鏡が紙を焦がしていくように文字が紙に刻まれていく。


「もういいぞ。どれどれ………」


 どう言う原理なんだ………?なんて野暮な質問は俺はしない。

 何故ならここは魔法がある異世界………!ガラス玉が光ったり、その光が文字を刻んだとしても何ら不思議ではない。


「………いや、やっぱおかしいよ」

「ギャハハハハハハハハハハハハハ!!!」


 一人でツッコんでいると光で書かれた紙を見ながらゲラゲラと笑う神様。


「あの………どうしました?」

「ヒヒッ………いやー、これこれ!オメー、マジで取り柄とかねーのな」


 神様が手渡して来た紙を俺は受け取って確認する。


《生命力》SSS《筋力》C《魔力》C


 三つの単語と三つのアルファベット。

 こんなのを見せられたところで何なのかを俺がわかるわけもない。

 いや、厳密に言えばこれがステータスだと言うのはゲームやラノベを読み漁るから何となく分かるのだがどう言う判定なのかがよくわからない。


「これ、どう見るんですか?」

「あ?あぁ、そうか。そりゃ教えねーと見れねぇわな。………っと、それは後で教えてやるよ」


 神様は俺から紙を取っていき声を上げる。


「オメー等!結果は後で教会の連絡板に貼っておく!時間がある時に確認してくれ!それじゃあオレ様コイツとちょっと話があるから」


 行くぞ、と神様が教会に入っていき俺も着いていく。

 入ってすぐの並べられた長椅子にドカッと座って俺にも隣に座るように促してくる。

 言う通りに隣に座ると神様が再び紙を俺に手渡してくる。


「さっきの話の続きだけどよ。この単語の方は見ての通りだ。オメーの生命力と筋力、魔力を測れる」

「それ、どう言う原理ですか………?」

「原理ってオメー………もしかしていちいち原理とか聞くタチか?」

「まぁ………数学とかも何でそう言う式になるのか知りたい方でしたけど」


 神様が呆れたようにため息を吐く。


「簡単に言えば元々これは生命力を測る魔道具だったんだよ。でもそれに別の項目を計らせたいなってなったラッセンディルって貴族が魔力を一定量吸い取る構造と加えられた力加減で筋力を測る構造を発明、取り入れた」


 うーむ………、つまりは構造を考えて取り入れることができたラッセンディルって人が凄いって話か………。


「んで、話を戻すけどアルファベットって言うのはまぁ、評価値の話だ。大体はF、E、D、C、B、A、Sの間で評価されてCが平均だ。つまりオメーは一般人くらいの力しかないってことだな!」


 笑顔で言ってのける神様。

 神様はそれで良いのか?他の教会はバケモンみたいな力があるのに俺はそこ等辺の村人Aみたいな力しかない。

 絶対にヤバい問題は解決できないし、下手したら死んでしまう。

 そんな不安を抱える俺に心を読んだのか神様が再び口を開く。


「あぁ、それに関しては大丈夫だ。時折マジで才能があるSSやSSSって奴も出てくるんだけどオレ様の恩恵で生命力をそれにしてやったから」

「ナチュラルに心読んで返事するのやめてもらえます?」

「悪い悪い。だがま、おかげでオメーは不死と言っていい程の生命力になってる。つーか、もう不死だ」

「あんな水晶玉に手を置くだけで不死まで分かることなんですか!?」

「オレ様がやった恩恵だぜ?そんくらいあるに決まってんだろ」


 何じゃそれは………。

 ………しかし、不死と言ってもいい生命力、と言うより不死ならばそれはそれでチートではないだろうか?

 極端に言えば敵を倒すまで突撃すればいいのだから。


「でもそれでも結局攻撃が通らなきゃ意味がないじゃないですか………。明日にはきっと信者の皆もガッカリしますよ。死なないだけでそれ以外は普通の人ですし」


 戦えないスキルとかだったら使えないとかの理由で追い出される。追放系でよく見る展開だ。


「あぁ?」


 何が気に入らなかったのか俺の言葉に神様は青筋を立てながら俺を睨む。


「な、なんスか………?」

「オメーよぉ、オレ様の信者舐めんなよ?」


 長椅子から立ち上がると自身の石像に向かって歩き出す。


「オレ様の信者は大半が街の市民だ。オメーと同じくらいの評価かそれ以下の奴だっている。………だから幾ら平凡そのものでも誰もオメーを笑ったりはしねーよ」

「………………」


 ニカッと笑いながらこちらに振り返る。

 絶対に嘘だ。俺は騙されたりなんてしない。人間は自分より下の奴を見れば馬鹿にするし差別する生き物だ。

 ………でも何故だろうか。目の前のさらしとダメージジーンズと言う如何にも痴女とも言っていい様な姿の神様が、夜だと言うのに後光が差し掛かって見える。

 ………少しは信用してもいいのかな?

 ふと、そう思ってしまう。


「少なくともオレ様はオメーを受け入れる。モモ、オレ様の目的の為に協力してくれるか?」


 俺は石像の前で、石像と同じ様に堂々と佇む神様、ナトス様を長椅子から立ち上がって真正面で膝を突く。


「それがナトス様の願いならば」


 完全に信じることはまだ無いだろう。それでも今は神様………いや、ナトス様とその信者達を信じようと思う。

面白かったらブックマーク、評価お願いします!


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作者のモチベ向上及び承認欲求モンスターの抑制にも繋がります!


してもらえたら泣いて喜びます!


何卒よろしくお願いします!

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