魔物狩り大会(17)
「エアブレード!」
アミーの顔をした無数のゴーレムは断末魔の悲鳴を上げ、苦悶の表情を浮かべながら破壊された。ご丁寧に赤い液体まで流し、トゥワに手を伸ばしてくる。トゥワはこれがゴーレムと分かりながらも、罪悪感を覚えた。
ゴーレムは倒した傍から生成される。アミーの顔をしたもの、クックーに似た狼姿のものと様々だったが、どれもリアルだった。外観に気を配りすぎて、攻撃力としてはお粗末だったが、トゥワの攻撃は徐々に鈍くなっていった。
「面白いだろう。ヒトと同じ質感に作ったのだ。そなたには手応えがなさすぎて退屈か?」
『黙れ!』
五月蠅かった断末魔まで止み、血が噴き出す音と、骨が折れる音だけが響いた。
「ブラストブレード!」
ゴーレムは全て、音もなく消滅した。ただ一体、黒い目でトゥワをニヤリと見つめているゴーレムを除いては。トゥワは荒い息をしながら、その場に立ち尽くしている。周囲の惨状が嫌でも目に入る。
「お見事。そなたはやはり半神の類だな。どうして地上に出ても神罰を受けない?」
「私は、ヒトです。」
トゥワは黒いゴーレムに狙いを定めた。シルトは余力がないのか、魔法を使う素振りさえ見せない。
「止めろ、この化物!」
黒いゴーレムが叫んだ時には、その顔は既に見知ったものに変わっていた。酷く怯えた表情で震えているその姿は、アレッタそのものだった。トゥワの目から一筋の涙が零れ落ちる。
「馬鹿め。」
黒いアレッタは顔を歪めて笑った。その髪はいつの間にかトゥワの背後に回っている。シュッと一振りされたかと思うと、トゥワの両翼がボキッと折れ、背中から血が流れだした。黒いゴーレムは髪を使ってトゥワの両翼を回収して、丸呑みにした。
「あくまでヒトだと言うなら、半神を侮辱した報いを受けるがよい。」
トゥワは負けるわけにはいかないと思いながら、翼を失ったことで絶望的な状況に陥ったということも分かっていた。それでも今の自分にできる最大の魔法を放とうと、黒いアレッタを睨みつけた。
「メテオ!」
土のドームの天井から岩の塊が降ってくるのと、ドームに穴が開いてクックーとアミーが入ってくるのは、ほとんど同時だった。黒いアレッタもトゥワも予想外の事態に驚いたが、トゥワはすぐに動いた。
「エアシールド!」
凄まじい衝撃で地面が揺れた。土煙が収まってみると、アミーとクックーを庇うようにして覆い被さっていたトゥワが、降り注ぐ岩で全身を強く打って朦朧としていた。風の盾では防ぎきれなかったのだ。
「勝負はついたな。」
「ええ。残念ながら…貴方の負けです…。」
トゥワは囁くような声で言った。黒いアレッタは眉根を寄せた。




