魔物狩り大会(15)
トゥワは動こうとしなかった。目はゴーレムに向けられたままだ。
「時間切れです。御機嫌よう。」
「待て!儂と一対一で戦え。勝てばそなただけでなく、全てのヒトがこのダンジョンから無事に帰れることを保障しよう。ただし、負けたら全員死んでもらう。どうだ?」
トゥワは内心ほくそ笑んだ。
「流石に半神と直接戦うことはできません。シルト様は7層から出ず遠隔で戦うこと、この戦いに外部の者が介入することのないように、半径500mほどを土壁で隔離して魔物やヒトの侵入を完全に防いで下さること、勝敗がつくまで他のヒトが傷付くことのないよう、魔物は勿論、地盤の崩壊まで完全に制御して下さることを条件に戦って頂けるなら、先程提示して頂いた条件を呑みましょう。ただし、その場合には土神に誓って不正を行わないと言って頂けませんと、信用できません。」
ゴーレムは頷いた。
「誓おう。土神テッラ様の名に懸けて、公正な勝負を行う。」
トゥワはホッとして地上に降り立った。土神の名前を挙げた以上、不正を働くことはあり得ない。
「感謝します。あと、私の勝利条件はどうしましょうか。」
真っ黒な身体をした、凄まじいオーラのゴーレムが現れた。床に着きそうな長髪が自在に動き、口の中、目なども含め、体中の隅々まで漆黒である他は普通のヒトのようだが、対峙しただけで冷や汗を掻くほどの威圧感だ。
「この身体を破壊して、中にある赤い魔石を手にしたらそなたの勝ち、その前に戦闘不能になったらそなたの負けだ。どうだ?」
「良いでしょう。」
トゥワは宙に飛び上がった。周囲に巨大な土のドームが生成されていくのを見ながら、トゥワは防魔マスクをしたまま深呼吸していた。そのまま、背中から漆黒の翼を出現させた。魔素の多い環境で、いつもより大きく美しく見える魔素の結晶は、トゥワの魔力を確実に上げている。完全に辺りが覆われると同時に、足元の魔光茸が淡い光を放つ。僅かな静寂と、大いなる緊張感を経て、その時は不意に訪れた。
「タイフーン!」
トゥワの一言で、地が根こそぎ吹き飛ばされるのではないかと思うほどの暴風が、その場に生成された無数のゴーレムをドームに叩きつけ、それでも足りないとばかりに容赦なく表面を削り取っていった。それは無数の猛獣が残忍に命を貪り喰らうかのような、純然たる暴力の化身だった。
「メテオ!」
ゴーレムが叫ぶと、トゥワの頭上から巨大な岩が降り注いだ。その一つ一つが意思を持っているかのように、軌道を変えながらトゥワに迫りくる。トゥワは高速移動を駆使して、全て躱さなければならなかった。土神の力を継いでいるシルトが生成したゴーレムは硬く、その攻撃は致命的だ。それに対して、トゥワは速度こそシルトを上回っているものの、決定打に欠ける。
『止まれ!』
ゴーレムからの攻撃が止んだ。トゥワはその隙に魔法を使った。
「ブラストブレード!」
「アースシールド!」




