魔物狩り大会(10)
「キイイエエエエーーーー!!」
クックーの耳がピクリと動いた。遠くから甲高い鳴き声が聞こえてきたのだ。ハーピーの警戒音だ。あの近くの魔物は全て安全な巣穴に逃げてしまっただろう。
「何か聞こえた?」
「2km先、ハーピーの警戒音だ。」
クックーが一点を見つめながら答えた。
「そうなると地形から考えて、逃げ出す方向はこちらか…。高台で待ち伏せよう。」
トゥワたちは再び駆け出した。木陰に隠れて気配を殺していると、魔物の群れがやってきた。
「コボルトの群れだ。どうする?」
「トゥワはサポートをお願い。クックーは好きに暴れて。」
アミーは即座に指示を出した。
「承知しました。」
「よっしゃ!行くぜ!」
トゥワたちの行く先々で屍の山が積み重なっていった。トゥワはアミーの作戦が完璧であることに改めて感心した。
「1層の魔物狩りで最も気を付けるべき点は何だと思う?」
3人でパーティーを組むことになった時、アミーが真っ先に言った言葉がこれだった。
「魔力切れですか?」
「囲まれることか?弱い奴らは群れるからな。」
トゥワとクックーはあまり考え込ますに答えた。
「確かにそれも怖いけど、僕は『逃げられること』だと思っている。このメンバーなら特にね。」
アミーは答えた。
「1層の魔物は弱い。だからこそ、危険を感じたら巣穴に逃げてしまうし、周囲に警戒音を響かせる魔物も多い。優秀なサーチャーがいたら、隠れた魔物を見つけ出したり、警戒音を出す魔物から仕留めたりすることができるけど、僕たちはそれができない。勿論、トゥワとクックーなら隠れた魔物だって探し出して仕留められると思うけど、そんなことをしていたら時間がなくてスコアが伸びない。」
トゥワは頷いた。6層の魔物を相手にした時には逃げられるかもしれないという発想すらなく、真正面から全力で相手するだけで良かった。
「ではどうしたら…?」
「僕たちの作戦は、『ヒットアンドアウェイ』にしようと思っている。クックーがメイン・アタッカー兼サーチャーで、トゥワがサポーター兼サブ・アタッカー。僕はコマンダーとして指示する。クックーは魔物がいそうな場所を見つけて、そこに全速力で向かって攻撃してほしい。トゥワはクックーに頑張ってついて行って支配魔法や風魔法でクックーをサポートしてくれるとありがたい。魔物を倒したら、次の魔物がいるところへ全力で移動する。強力な魔物を探知して追い詰めていく戦法を取れない代わりに、数で勝負しよう。」
クックーは目をキラキラ輝かせている。面白そうだと感じたのだろう。トゥワもアミーの作戦に異論はなかった。
「ヒーラーやガーディアンはどうする?」
アミーはニヤリと笑った。
「攻撃は全て各自で防ぐか避けるかできるよね?重い装備を整えると、スピードが落ちる。僕たちは攻撃特化型で行こう。」
「アミーさんは大丈夫なのですか?」
「僕は死なないから、気にしなくていいよ。」
アミーは平然と言ってのけた。
「私がガーディアンも兼ねましょう。死ななくても、痛いものは痛いでしょうから。」
「余裕があったらでいいからね。トゥワの魔法は強力過ぎて、すぐ警戒されてしまうだろうから。」




