魔物狩り大会(9)
「怪我はないね。クックー、魔物の居場所は?」
「こっちから臭いがする。」
「行こう!」
アミーは四足歩行のクックーの背に飛び乗り、身体強化したクックーと風魔法で移動速度を上げたトゥワは魔物のいる方へ風のように向かっていった。クックーの方が速いようで、トゥワは少しずつ引き離されていく。間もなく魔物が見えてきた。巨大なミミズのような魔物が醜悪な身体をくねらせている。
「デスワームだ!巣穴に潜るぞ!」
『止まれ!』
デスワームが動きを止めると、クックーが一気に加速して、その身体を裂いた。黄色い体液がぶしゅっと噴き出す。それと同時にデスワームは動き始め、再び地中に潜ろうとした。
『動くな!』
クックーは叫んだ。クックーは爪を振りかざした。デスワームはクックーに切り裂かれ、かなり弱った様子になった。何やらどす黒い液体を吐いている。
「それ以上攻撃するな、クックー。デスワームには毒腺がある。」
アミーはクックーの背で言った。アミーは暗視ゴーグルどころか、いつもの眼鏡すら掛けていない目をトゥワに向け、自分の眉間を指した。
「トゥワ!」
「エアブレット!」
トゥワがデスワームに向かって叫ぶと、空気の弾丸がデスワームの頭を貫いた。デスワームはどすんと大きな地響きを立てて倒れた。
「魔石は第5節辺りにあるはずだ。毒腺はもっと上だろうから、解体して良いよ。」
アミーがクックーに言いながら降りると、クックーはデスワームの身体に喰らいつき、体内から魔石を取り出した。アミーはそれを仕舞い、再びクックーの背に乗った。
「警戒を出される前に、急いで次の場所に向かおう。クックー、魔物の場所は?」
「周囲にヒトが多すぎる。魔物かヒトか分からねえ。」
クックーは唸った。
「なら近くの水辺へ。」
「分かった。」
クックーが走り始めたので、トゥワも必死に追い駆けた。クックーが止まったのは暗い水辺だ。そこにはスライムが何十体も群れていた。
『止まれ!』
スライムは動きを止めなかった。粘菌の一種であるスライムは、知性が低すぎて支配できなかったのだ。クックーは構わず咬み付いた。スライムの身体は簡単に砕け散り、クックーは易々と魔石を手にした。そのまま後ろに魔石を投げ、別のスライムに咬み付いた。アミーは放り投げられた魔石を空中でキャッチして、リュックに仕舞った。何体かスライムを倒すと、残りは液状になって隙間から地下へと染み込んで姿を消してしまった。
「もういい。次だ。クックー、近くに魔物やヒトの気配はする?」
クックーは首を横に振った。
「魔物の血の臭いと魔法の音で、辺りの様子はもう分かりそうにねえな。」
「了解。これからはアタッカーとしての役目に専念して良いよ。そろそろ一度目のアレが来る頃合いだ。」
クックーは目を閉じた。トゥワは辺りを警戒しながらアミーの指示を待った。




