魔物狩り大会(8)
「俺はしっかりお礼してもらうからな。」
クックーは不機嫌そうに言った。少し考え込む素振りを見せたかと思うと、口を開いた。
「そうだな、全てが終わった後で、三人で飲みに行こうぜ。」
「え…そんなことでいいのですか?」
トゥワは拍子抜けした。
「あんた、そういうの苦手だろう?何も酒を呑めとは言わねえが、一緒に外で食事くらいはしてくれねえか。」
クックーは目を細めた。トゥワは満面の笑みを浮かべた。
「はい!」
「よし!じゃあ決まりだね。僕がこのパーティーの司令塔になることは異論ないかな?」
「ええ。三人で優勝を目指しましょう。」
その日から、三人の特訓が始まった。最初はちぐはぐだった連携も、次第に形になっていった。クックーもトゥワも、大きな力を持っているが、共闘は苦手だった。アミーはコマンダーとして優秀だったが、本人が魔法を使えない。それでも練習を重ね、徐々に息が合い始めてきた。
そして、ダンジョンに行く日が訪れた。馬車に揺られながら、トゥワは珍しく緊張していた。今まで戦いに行くときは、軍と協力すると言っても、トゥワは単独行動をして自由に暴れることが多かった。今回は全く状況が異なる。
「着きましたよ。」
学生たちは外に出た。カヴァーン国は海に面しており、トゥワにとっては懐かしい、磯の香りが漂っている。辺りの木々は背が低く、葉は分厚く見えた。地面の一カ所に大きな深い穴が開いており、不気味な雰囲気を放っている。ダンジョンの入口だ。フーフがつかつかと歩み出た。後ろで先生方が縄梯子をいくつも降ろしている。
「最終確認だ。制限時間は3時間、途中で帰ってきても構わない。魔物から魔石を取り出して、持ち帰ってくること。魔石の純度と質量をもとに順位を決める。一層までしか行ってはならない。暗視ゴーグルと防魔マスクは全員持ったな。パーティーのリーダーにはファイア・アームスを渡してある。緊急事態が起こったら、頭上の地面をぶち抜いて上がってこい。当然失格にはするが、命は助かる。全員が死なず、大きな怪我をせず帰ってくることだけが望みだ。何か質問は?」
誰も質問しなかった。
「では、始め!」
トゥワたち3人はフーフの合図を聞くや否や、真っ先に暗闇に飛び込んだ。ダンジョンの一層は地下10~20kmに存在する。当然、降り立つまでには相当な速度になっているが、トゥワの風魔法で安全に着地した。
トゥワは辺りを見渡した。暗視ゴーグル越しの緑色の景色であることを差し引いても、その景色は地上とは全く異なるものだった。地盤は固いが、草が一面に生えている。また、所々円周数メートルの柱のようなものが見えるのは、地上に葉を出す種類の樹であることをトゥワは知っていた。その周囲には暗い水が溜まっている。視認できる限りにおいて魔物はいないようだ。




