魔物狩り大会(7)
トゥワは理事長室を後にすると、そのままの足でアレッタのもとに向かった。アレッタは有名なので、聞き込みをすると簡単に居場所を突き止められた。純白の大きな翼の後ろには、黒髪の女性が控えている。
「どうして私たちの分の申請書を提出したのですか。」
「提出を忘れているようだったからな。」
アレッタは平然と答えた。
「パーティーへのお誘いを断ったことは謝ります。ですが、今後はこのような嫌がらせは止めて頂きたい。」
「では正直に話してもらおうか。どうして断った?」
アレッタの柳のような眉がキッと吊り上がった。
「私などにお声掛け下さることが信じられなかったからです。何か裏があると思いました。」
「そんな…。勘ぐりすぎだ。」
「そうでしたか。申し訳ありませんでした。いずれにせよ、もう手遅れです。私はあのパーティーで貴方たちに勝ってみせますから。それだけお伝えしに参りました。それでは。」
アレッタは何か訴えるような表情をしている。
「エンライト!悪かった。私もつい苛立ってしまったのだ。」
「いえ、私が変に勘ぐった上に嘘を吐いて貴重なお誘いを断ったのがいけなかったのです。それにしても、どうして私のような者を誘って下さったのですか?殿下は私の過去についても少しご存知です。信頼に値しないでしょう。」
トゥワの濃紺の瞳を見つめながら、アレッタは口を開いた。
「君が私より強いからだ。」
想定外のシンプルな答えに、トゥワはクスクス笑った。
「何が可笑しい?」
「いえ、確かに私の考えすぎだったようですね。殿下にそう言って頂けるとは光栄です。」
トゥワは和やかな物腰になって、アレッタのもとを後にした。トゥワはアミーとクックーを呼び集め、ザラがパーティーを別のものに組み替えることを許してくれなかったと告げた。案の定、クックーは怒り狂っている。
「テメー、今度こそ生かしちゃおかねえぞ。」
「まあまあ、このメンバーでも上手く連携すればかなり戦えると思うよ。」
アミーは落ち着いている。どうやら、この事態を想定していたようだ。
「ふざけんな。俺は勝手にゾンと合流するぜ。」
「自信がないの?クックー。」
「安い挑発だなあ、アミー。この茶番に付き合っても俺にメリットがないだろう。全てこのチビの我が儘に付き合ってやるだけで、損しかねえ。俺はあんたのこと、嫌いだしな。」
トゥワは目を伏せた。クックーの言う通りだ。理事長との賭けのことにしても、完全に自分のエゴだ。
「確かにこの事態は私に責任があります。クックーさん、アミーさん。改めてお願いします。私とパーティーを組んで下さい。引き受けて下されば、私にできる限りのお礼は致します。」
トゥワは深々と頭を下げた。
「いいよ、トゥワ。友達だろう?それに、落ちこぼれの僕と実技一位の君がパーティーを組んでくれるなんて、僕の方こそお礼をすべきだ。」
アミーがにこやかに言うので、トゥワは涙ぐみそうになった。




