魔物狩り大会(5)
「あんたの仕業か。もう理事長に承認されちまってるぞ!」
「でも、申請書は書いていません。一度アレッタ皇女に確認しなければ…。」
「取り敢えず、何があったか話してくれないかな。」
トゥワはアレッタからパーティーに誘われたが断ったことを話した。
「そう言えば、今朝寝る前に何か言っていたね。報復とは、皇女も幼稚なことをする。」
「どうすんだよ。アタッカー、アタッカー、無能のパーティーでダンジョンなんてごめんだからな。」
クックーは自分、トゥワ、アミーの順に指しながら言った。
「誰が無能だって?まあ、第三者が申請したのだから取り消せるだろうさ。理事長に掛け合ってみよう。」
「そもそも何で断ったんだ?実技2位のヒーラーと組めるなんてラッキーじゃねえか。」
クックーはドカッと椅子に腰を下ろして言った。幾分冷静になってきたようだ。
「だからこそですよ。メンバーを選び放題の殿下が、私なんかと組むはずがないでしょう。メンバーになったが最後、ダンジョンで不慮の事故に遭う未来が目に見えています。」
「疑り深すぎだろ。アレッタがトワを不慮の事故に遭わせて何のメリットがあるんだ?」
トゥワは詳しく説明しようとは思わなかった。地竜を倒したトゥワは、地上で目撃されたら軍の討伐対象になる魔物よりも強いということを知っているのは、アレッタを含むごく一部のヒトだけだ。まともな神経を持ったヒトならそのことを知っていて関わろうとするはずがない。立場上仕方ないものを除いては、自分の力を利用しようとするもの、暗殺の隙を窺うものしか近付いては来ない。
「帝国の皇女が田舎者に入試の実技で負けたなど、屈辱的でしょう。殺意が湧いてもおかしくない。」
「聖教徒の教えは、ヒトを徹底的に疑うことか?」
「私はあまり熱心に信仰していないので。それに、自衛することは禁じられていません。殺される前に殺してしまおうとか言い始めたら話は別ですが。」
トゥワは淡々と答えた。
「決闘した時にも思ったが、あんたは虫も殺さないように見えて、案外物騒なやつだな。少しネジが外れているっつうか…。こっち側のヒトの臭いを感じるぜ。」
「…それはどうも。」
トゥワは少しむくれているようだ。アミーはクスクス笑った。
「僕も皇女は純粋な好意でパーティーに誘ったのだと思うよ。ダンジョン内だとトゥワも警戒している。トゥワのような強者を倒そうと思ったら、油断している時に毒殺する方がスマートだ。」
アミーは冗談めかした口調で言った。クックーは耳を寝かせた。
「よく分かった。トワが急死したらあんたを容疑者として挙げておくぜ。」
「勝手に殺さないで下さいよ。兎に角、私が理事長に掛け合って申請を取り下げますから。お騒がせして申し訳ありませんでした。」
「嗚呼、絶対に取り下げろ。俺はゾンとパーティーを組むんだからな。」
クックーは再び凄んだ。
「ゾン?」
アミーは呟いた。
「クックーさんの親友のルー・ガルーですよ。私と同じ錬成の授業を取っています。」
「へえ。ルー・ガルーにしては珍しい。まあ、魔法を使う有翼ほどじゃないか。」
アミーは呟いた。
「じゃあな。」
クックーは部屋から出て行った。




