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黒翼の羽ばたき  作者: 馬之群
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魔物狩り大会(4)

 授業後は、学生たちがパーティーの相談に明け暮れているようだった。片っ端から学生に声を掛けているもの、魔法を披露しているもの、『アタッカー志望』といったプラカードを下げているものなど様々だ。


「ねえ、君、僕は遠距離魔法が得意なんだけど、パーティーを組まない?」

「既に誘われているので…。」


 トゥワは断った。明らかにトゥワと組むには実力が足りていないが、本人は自覚がないようだ。トゥワはヒトを避けながら寮の自室に戻った。アミーは眠そうにしている。


「あの、アミーさん、ご相談があるのですが…。」

「なあに?」

「例えばの話ですが…。」


 トゥワは匿名化してアレッタたちのことを話し、このパーティーに風魔法を使うヒトがアタッカーとして誘われているが、受けるべきかと尋ねた。


「ふふ。面白いね。これは4層あたりに出掛けるメンバーかな?だとしたら、優秀なアタッカーがいれば心強いだろうね。1、2層くらいなら、現在ガーディアンを担っているヒトがアタッカーに転向すれば十分だと思うよ。」


 トゥワは違和感の正体が分かった。アミーは眠そうに瞼を擦る。


「ごめん。もう眠いや。続きはまた明日の夜じゃダメかな?」

「お休み前にすみません。ありがとうございました。お休みなさい、アミーさん。」

「お休み、トゥワ。」


 トゥワは課題に取り掛かった。夜が明け、朝になった。アミーはぐっすりと眠っている。トゥワは授業を受け、昼に食堂に向かった。アレッタたちがトゥワを待っている。


「答えは?」

「ありがたい提案ですが、お断りさせて下さい。」


 アレッタは信じられないというような表情を見せた。


「どうして?」


 アレッタが食い下がったので、トゥワは困った。特に気の利いた言い訳を考えていなかったのだ。


「先約がありまして…。3人しかいないので抜けられそうにありませんでした。申し訳ありません。」

「そのパーティーのメンバーは誰だ?」


 トゥワは頭を捻ろうとしたが、アレッタのプレッシャーが酷くて何も考えられない。


「どうした?まさか嘘か?」

「アミー・コートさんとクックー・ディフォンスさんです。」


 トゥワは思い付いた名前を口にした。今は適当に断って、後日別なパーティーを組んだと言えばいい。


「そうか。残念だ。では、お互いにベストを尽くそう。」


 アレッタは案外すんなりと引き下がった。トゥワはホッとした。今度はパーティーメンバーを探さなければならない。それもアレッタに気付かれないように。


 その日の夜更けに誰かがトゥワとアミーの部屋を訪れた。それはクックーだった。かなり怒っているようだ。


「どうしたの?」

「どうしたもこうしたもない。どうしてあんな勝手なことをしやがった!?」


 クックーは狼になっている。トゥワとアミーは顔を見合わせた。


「何の話です?」

「とぼけるな。あんたたちのどちらかだろう。他人の名前を使ってパーティーの申請書を書きやがったな。」

「落ち着けよ、クックー。僕らがそんなことするはずが…。」


 トゥワの顔がサッと蒼ざめた。アミーは続きを呑み込んだ。

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