表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼の羽ばたき  作者: 馬之群
29/83

銀眼に映る悪意(5)

「好きにすればいい。」

「何?」

「お前の好きにしろ。何をしても止めねえよ。」


 小悪魔は眉を吊り上げ、トゥワの首にナイフを強く押し当てた。血が一筋滲む。


「全員武器を捨てて…。」


『黙れ。』


 トゥワが一言呟くと、小悪魔は口をパクパクさせた。驚いたようにナイフを握る力を強めた小悪魔だったが、反撃することはできなかった。トゥワが次の命令をしたためだ。


『動くな。私の質問に対して、速やかに知っていることの全てを答えろ。それ以外の一切の行動を禁止する。』


 小悪魔は彫像のように動かなくなった。アミーとベルも驚いたようにトゥワを見つめている。


『どうして私たちを襲った?目的は?』

「銀眼の吸血鬼から眼球を抉り取るため。」


 小悪魔は見事に口だけを動かして答えた。アミーは嫌悪感を露わにしている。


『眼球を奪ってどうするつもりだった?』

眼球愛好家(アイコレクター)に売るつもりだった。」

『眼球愛好家とは何だ?』

「美しい眼球を買い取ってコレクションにするヒトのことだ。」


 クックーは顔をしかめた。あまり気持ちのいい話ではない。


『つまり、眼球愛好家の誰かから、アミーさんの眼球を持ってくるように依頼されていたのか?』

「違う。」


「売れると思ったのだろう、僕の眼が。」


 アミーは愁いを帯びた銀の瞳で小悪魔を見ている。その眼は魔性の美しさを湛えている。


『そうなのか?』

「そうだ。」


「あ、あの…もう充分ではありませんか。騎士団につ、突き出しましょう。」


 ベルがおずおずと言った。


「そうですね。後は騎士団に任せるとして、他のヒトも拘束しましょう。」

「あ…他のヒトはもう…死んだみたいです。」


 トゥワは胸に手を当てて目を閉じた。


『自他に危害を加える行為は一切行わず、騎士団に出頭し、自分の犯した罪の全てを具に説明せよ。もう動いて構わない。』


 トゥワが言い終わるや否や、小悪魔はナイフを振りかざしたが、トゥワに振り下ろすことはできなかった。小悪魔は地面に膝を付いて泣き出した。


「この悪魔!お前が最初からこうしていれば、オレの仲間は…死なずにすんだのに!わざと力を隠して、安全圏から戦いを眺めて楽しんでいたのか?この悪趣味なヒト殺し!」


 トゥワが動きを止めた。顔から血の気が引いていく。


「違う…。私は殺すつもりなんて…。」


 その途端、小悪魔はナイフをトゥワに向かって再度振りかざした。今度は止まりそうな気配もなく、トゥワの頭を目掛けて加速していく。大きな音が響いたかと思うと、小悪魔の身体は宙を舞っていた。ぐしゃりと嫌な音が響き、クックーが血塗れの拳をハンカチで拭う。


「しっかりしろよ。魔法が解けているぞ。こんな安っぽい挑発で心を乱すな。」


 トゥワが少なからず動揺したのは、小悪魔の発言がある意味核心を突くものだったためだ。トゥワが最初静観していたことには、もっと言えばアミーを尾行することにしたことには理由がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ