【三九】法的と同義的な罪と罰
やっとシイナに会えたのは、それからさらに五日たった夜だった。
なかばあきらめ気分で浅木宅を訪問すると、窓に明かりが見えた。
カンヂはいきおいこんでインターホンを押す。
「ああ。お前か」
シイナはげっそりと疲れはてていた。
滑らかだった髪や肌つやは、くたびれて見るかげもない。
「ずっと学校にもこなかったろ。なにがあったんだ?」
「ちょっと」
シイナはうっとうしそうに言う。
「母親が事故にあったって聞いた」
シイナはぐったりと息をもらし、
「事故にあったんじゃない、事故を起こしたんだよ」
「大変じゃないか! 被害は?」
「電柱一本。と同乗の男が重傷。男がそのとき酒飲んでて、今二人とも拘置所にいる」
「どうなるんだ?」
「知るかよ。裁判で有罪になったらなんか交通刑務所ってのに入って、服役するみたい。半年ぐらい」
「お前、どうする気だ?」
「しらねえ。学校やめるかも。なんか色々言われんのにも、つかれた」
「そういうのに屈するな。せっかく今までやってきたんじゃないか。俺がついててやるからがんばろう」
シイナはだまりこみ、けわしい視線をカンヂにむけた。
「おまえのそういうのって、一番ムカつく」
きつい態度にカンヂが唖然とする。
「もう、そういうのいい。いらない。どうせ俺の事見くだしてんだろ。妹とか弟あつかいで、俺の気持ちなんてかまいもしない。そういうの、疲れんだよ。だからもういい、いらない。おまえいらない」
「まてよ、俺がいつお前を見くだした!」
シイナはカンヂの言葉には答えず荒々しく扉を閉じ、
「明日学校にいく。それでいいだろ? もう俺にかまうなよ。うぜーよ」
重たい金属音をたてて鍵がかけられた。
カンヂはしばらくそこに立ちつくし、そのうちあきらめて家に帰った。




