【二五】和解して応援もしてくれて、滑川セラはやっぱいいやつ
中学生編、最終回です。
カンヂの女装は、校内でははやばやと話題になってた。
画像つきでSNSにあげたものがいるらしく、美術準備室にはぞくぞく人があつまった。
「すげーこれ、なんか出そうぜこれ。文化祭で男ミスとか決めたらいんじゃねーかな?」
「キモ。果てしなくキモいっしょそのイベント」
そっちこっちでバカっ話に花がさく。
「バカ、いいかげんやめろよおまえ、俺が女装って思われんじゃん」
シイナには軽口をたたくよゆうがでてきた。
男の制服が気持ちを楽にさせているんだろう。
見物人をおいかえし、二人は服をもとにもどした。
「もうすこし着ていたかったな。家族にも見せてやりたかった」
「おまえ、親父自殺すんぞ、そんな息子みたら」
「しかしスカートってもっとスースーするもんだと思ってたら、意外とぬくいんだな。裸のももがすれて気色わるい」
カンヂは着がえながらシイナをふりむいた。
「お前ブラジャーしてるんだな」
「ばっ、見るんじゃねーよあっちむけヘンタイ!」
細い背中と胸元をかくすしぐさはどう見ても女性のもので、カンヂはうろたえて目をそらした。
着がえをすませて廊下にでると滑川セラがまってた。
三人はいっしょに帰った。
小学校の夏やすみにもどったみたいだと三人で笑った。
わかれ道で、滑川セラはシイナと二人で話がしたいと言った。
カンヂは道の先で二人を見ていた。
どちらもおだやかに話している。
二人の身長差がほとんどないことに、カンヂは気がついた。
そして、シイナが遠目に女生徒にしか見えないことにも。
「お待たせ。帰ろーぜ」
シイナがカンヂにおいつく。
滑川セラは立ちどまってずっと手をふってる。
「どんな話したんだ?」
「うん。ごめんって。好きでいられなかったけど、嫌いになったわけじゃないって」
いろいろ話した。
つきあった時のこと、気持ち、そのうちちゃんと話すけど、やっぱりシイナ君は女の子だと思うって。
「つっかむこーも気にしてたみてーで、すごいあやまられて、こっちもわるかったなって」
「そうか。よかったな」
「ん、そだな」
はなれぎわ、滑川セラはカンヂにそっと目をやって、応援してる、がんばってと言った。
それはカンヂには伝えなかった。
二人がならんで帰る背中を、滑川セラはずっとながめていた。
逆光の夕やけがまぶしい。
「大切にしてくれる人がずっとそばにいるとか、ちょっとホンキうらやましいんだけど」
ほほえんで言葉がポツっとこぼれた。
次回から高校生編となります。
どうにもならない衝動と感情の爆発、そして衝突、二人の関係の変化。
結末まで一気に進みます。
お楽しみに。




