【二二】錯綜するから迷走する
「シイナ。またコンビニの弁当か」
「うっせー、俺はこれが好きなの。セブンの普通にうめーし」
シイナがブツブツという。
あまりカンヂが世話をやくので最近は開きなおりだした。
新年度に入り、シイナは実にビミョーな位置にいた。
男子からも女子からも仲間と見てはもらえなかった。
相手するのはマイペースなカンヂのみ。
「あれだけチヤホヤされてたんだから、女子の引きあいがあってもよさそうなのにな」
「いーじゃん、もうほっとけって。唐揚げとシャケ交換してくれよ」
「あ、勝手にとるな」
「ん、いい塩加減だ。カスミは腕をあげたな」
「これ焼いたの母さんだよ。ていうかカスミの料理食ったことないだろう」
カンヂにくっついて、シイナも部活にはひんぱんに顔をだした。
そこでもやはり、周囲があつかいあぐねている感じはぬけなかった。
ときどき男子と帰る滑川セラを見かけた。
今はサッカー部のキャプテンとつきあってるという。
それを見るたび、シイナはつらそうな顔をした。
「お前ら仲いーなー」
「カンヂがさびしがるから、しかたなくなー」
クラスにはハセもいた。
大体は別のグループにいたが、たまに話しかけてきた。
「なあ、進路どうする?」
ハセの話題は、そんなのが多かった。
「公立」
「俺も公立だ」
「お前らかしこいもんなー。俺バカだからどっか工業か商業しか選択肢ねーよ」
予備校にかよっているというのに、ハセの成績は伸びなやんでいた。
いってるだけで授業を聞いていなければそんなもんだ。
「にしても、シイナがオンナの服きてるのやっぱ笑える。普通にオンナでウケる」
「うるっせオンナ言うな」
シイナが席にすわったままハセをける。
カンヂたちの中学三年生は実にあわただしくすぎた。
一学期のおわりごろ、シイナが男子から告白されるというイベントがあった。
よりにもよって相手は、ついこの間まで滑川セラとつきあっていたサッカー部のキャプテンだった。
「俺、どうしよ。なんつえばいーんだよ」
「つきあうのか?」
「ことわるよ」
「相手はハンサムで女子に人気があるって言ってたじゃないか」
「そりゃあ言ったけど、オトコに告られてもなあ」
「ダメか?」
「……ダメに決まってんじゃん。なに食いさがってんのばか。なんでお前がだよ」
「そうか」
あまりこの話をするとシイナが不機嫌になるので、カンヂもほどほどに切りあげた。
一学期がおわってカンヂの部活動もおわりがきざす。
担任のつとめで、エッシャー風の自作絵を一枚仕上げ、それを文化祭の展示用にして、カンヂの中学クラブ活動はひとまず終了した。
夏休みに入って夏期講習やサイコのお下がりの過去問を解き、カンヂの受験勉強は順調にすすんだ。
二学期が始まるころには公立の進学クラスをねらえるレベルの偏差値を達成して、僅差で負けたシイナをくやしがらせた。
そんなときだった。
シイナがまたも男子から告白を受けた。
相手は例の、サッカー部キャプテンだった。




