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幕間 第2王子 ベイルード2−3

カクヨムにて同時に投稿中。そちらの方が数話先行投稿しています。


→https://kakuyomu.jp/works/16816927860273874320


こちらはコピペになりますので,ルビや傍点など崩れてしまっています。

読みやすさや先の話が気になる方は,カクヨムがオススメです

改良した『夢渡り』ので2度目の侵入を果たしたが、今回は、なぜか入り口で締め出され深くまで入る事ができなかった。


最後の砦のつもりなのか、王族でも一部の者しか使えない最上級の防御術式を施した寝台。それによほどの信頼を置いているのだろう。

深層意識の『己』を守る防壁にそれを使っていた令嬢。


前回の『夢渡り』ではその中まで入り、深層意識の彼女と接触する事ができたが今回は侵入できなかった。


「やってくれたな公爵令嬢…」


思わず恨言うらみごとを吐き出すと、侵入者の存在に防護壁の向こうで令嬢が気がついた気配がする。


侵入はできなくとも、問答ができれば…その可能性に防護壁越しに話を続ける。

返事はくるが…防壁越しなので真実なのかいまいち確証がない。


何度も侵入が可能な代わりに、深層意識を守る防壁の内側には入れなくなったのか…検証が必要だが、『夢渡り』は人の記憶に残る可能性がある。

人が、夢の内容を覚えていたりいなかったりするのと同じ様に。


あるいは、令嬢の精神力が上がった可能性もある。

俺が夢を渡ると知って警戒し、父親に与えられた絶対に破られない強固な守りを想像の起点にして、精神を守る壁を構築した可能性だ。

おそらく、俺が婿イビリにあっているのも後押ししているだろう。

父に与えられた防護術式のベッドを深層意識の防壁にしているあたり、相当、父親を信頼しているのだろう。


まぁ、まだ若い娘ならばそれも当たり前か。


並の貴族なら王族に逆らえはしないが、この国の宰相にして国王ですら依存に近い友情を示す公爵。これ以上に頼りになる存在はいない。

頼みにするのも当然と言えば当然だが…目の前に築かれたベッドと天蓋を模した精神の防護壁には、令嬢ではない何か別の気配を感じる。


彼女と会話しながら軽く天蓋のレースに触れる。

柔らかく細こまかいレースととふわりと揺れる頼りない手触りのはずなのに、開けようと横に薙いでも波打って揺れるだけ。

何度も繰り返しているのに、カーテン越しの令嬢は気にしてる風でもなく会話をしている。

自分の深層意識を守る壁に触れられているにも関わらず気にならないのは、やはり、この壁は彼女が作り出したのではないからか?


だが、彼女はこの防護壁に疑問を感じていない。


少し、様子を見てみよう。

託宣を騙かたっているのではないことは、令嬢が生きていることで明らかだ。それなら、彼女が望む通りに様子を見てみるのも間違いではないだろう。


「せいぜい、今はその盾に縋り付いておくんだな」


令嬢を隠れ蓑に、何事かを画策している者がいる事も視野に入れておこう。

むしろ、女神を騙っているのは古いにしえに封印されし廃神はいしんの可能性もある。




望み通りに放置して幾月か経過した。

令嬢は平民の女生徒の面倒を甲斐甲斐かいがいしく見ているらしい。

ダスティンからもたらされる公爵令嬢の報告は、そのまま仲の良い友人同士の行動履歴だ。

ふとした瞬間に、女性同士の友情の悪趣味なのぞき行為に気が滅入ることもあった。冷静に己を客観視すると、婚約者の周りの人間関係を把握したくて、こそこそ嗅ぎ回っている様に見え、本気で自分が何をしてるのか自問しとうしたくなる。

それくらい、令嬢は毎日を平々凡々と過ごしていた。


まさか、夏休み明けても王城の一室で引き続き俺が『公爵領の歴史講座婿イビリ』を受けてるなど…想像もしていないのだろうな!!


そんな日々の報告に変化が訪れたのは、残暑も緩み秋の涼しさを風で感じる頃。

女生徒2名の微笑ましい生活風景の中に、エヴァンだとかニコラエスだとか…聞き覚えのある男の名前がチラつき始める。


今までさして興味もなかった、同年代で同じクラスの王子、エヴァン。

あくまでクラスメイトとしての関係しかなく、たまにある会話もあくまで授業の一環や事務的な会話ばかりだった。

それが、ここに来て急に距離が縮まっているらしい。


「初恋を引きずる少年に、憧れの少女の急接近はかなりの毒ですね」


などと冗談めかして笑って報告するダスティンだったが、対外的に『婚約者』となっているこちらは気が気ではない。

これでは王子としての面目が潰れる可能性がある。

しかし、エヴァンに近づく事が何かしらの意図からくる行動だとしたら『放っておけ、見守れ』と言われたのを反故にすることになってしまう。


最初は驚き戸惑っていたらしいエヴァンや周囲の生徒クラスメイトも、2週間も過ぎればそれが当たり前になる。


当たり前に…『第2王子と公爵令嬢の道ならぬ恋』の噂となって広がる。


公爵家の令嬢で、貴族教育を施されたであろう彼女がこれに気が付かぬはずはないと思いたいが…報告で上がってくる様子では思い至っていなさそうだ。


ここで問い詰めに行くのは論外だし噂の火消しに走り出すのも、噂を肯定したことになる。

結局は風化するまで待つしかない。『第2側室の威光をかさに来た第2王子が無理を通し、公爵令嬢を第3王子から横取りした』と言う…侮辱以外の何者でもない噂話を!!

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