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カクヨムにて同時に投稿中。そちらの方が数話先行投稿しています。
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こちらはコピペになりますので,ルビや傍点など崩れてしまっています。
読みやすさや先の話が気になる方は,カクヨムがオススメです
あれから色々ありました…と、モノローグで語りたいところだけれど
本当に!!結構アレコレ手を尽くして頑張ってきた2学期だった。
語り始めたら1日が終わってしまいそうなので割愛。
今は期末のテスト対策の真っ最中で、ヒロインの寮に第3王子エヴァンと側近ニコラエス、オマケで護衛騎士ダスティンも一緒にテスト対策の勉強会中だ。
ここまで彼女と彼らの関係を深められたわたしを、めちゃくちゃに褒めて欲しい!!
とにかく、頑張った。自分の恋愛でもこんなに頑張ったことないのに…と、時々、真顔になりそうになる中とにかく頑張った。
ヒロインサラの恋愛応援キャンペーンを2学期に入って早速始めようとしたけれど…
よくよく考えたら、わたしには恋愛スキルがない。
『応援してね』と言われてるならともかく、なんとも思っていない男女の間に恋心の前段階である『なんか彼(彼女)良いな』すら芽生えていないのだ。
分かっていたことだけど、泣きたくなった…ここからか!?と…。
そもそも恋愛スキルがあったら、年間のカップルイベントをス◯ロングゼロで1人寂しく押し流す前世じゃなかったはず。
乙女ゲームはしていたけれど、ストーリーを追いたくて、声優のボイスが聞きたくて、美麗な1枚絵スチルが見たくてプレイしていたので
選択肢は全部セーブ&ロードでやり直し、攻略を頼りに脳死周回。
『ここでなんて選択したら好感度上がるかな?彼好みかな?ウケが良いかな?』とか、自分自身で深く考えたこともなかった。
リアルの恋愛スキルはもう壊滅。
さっきも言ったけど、あったら、おひとり様限界社畜のアラサーしてなかった。
…それだけ言っておく。
そんな恋愛偏差値ド底辺の女にできる男女の出会い演出なんて、ひたすらに小さい出会いエンカウントを重ねるしかなかった。
不自然でない程度に…と言っても、公爵令嬢が平民出身のヒロインサラを友人に選ぶ時点でだいぶ無理がある。
その上で『グループ作れ』と言われるたびに、今まで全く関わろうともしなかった第3王子エヴァンに声をかけるのは…不自然の極みだ。
最初から穴だらけで欠陥まみれの計画だったけれど、開始早々暗礁に乗り上げてお手上げ状態だったところに…まさかの追い風が発生した!!
ベイルードとの婚約話が、いよいよ大っぴらに人の口に登るようになったのだ。
国王と公爵との間で婚約の話が正式になされ始め、その情報が各派閥や貴族家に流れ、いわゆる『公然の秘密』となった。
そのおかげで、わたしが第3王子エヴァンと親しくなろうと動いても不自然ではなくなったのだ。
婿に取るとはいえ、義弟となる第3王子エヴァンと親しくなろうとしている。…と、言う一般的な結婚観において、不自然ではない動機ができ
第1王子オリゲルドの腰巾着と言われている第2王子ベイルードと、公爵令嬢わたしの結婚により、王国随一の貴族家であるゲイルバード公爵家が第1側室派に与くみすると噂も流れている。
あくまで中立派のゲイルバード家としては、第3王子エヴァンとも友人関係を結び派閥間のバランス調整をしようとしている…と、政治的に深読みできるような
まさに、わたしにとって都合の良い状況になったのだ。女神さまありがとう!!
その後の地道な努力の結果、最近ではこの5人グループで行動することが増えた。
幸い、貴族社会でもあるが実力を認めないほど閉鎖的でもない…この辺りも都合の良いゆる〜い世界観のおかげ。
ヒロインの成績は、特に実技系は護衛騎士のダスティンと双璧をなすほどに良く、実力も認められ『いずれは令嬢に抜擢され女性騎士か?』と目もくされている程だ。
安心したのは、一緒に行動していてもやっかみの対象にはらなかったこと。
その辺り、陰湿で残酷な現代社会を知っているだけに、庇うか静観するか悩みどころだったので、もう本当に乙女ゲームのご都合世界観バンザイ!!
それと、訂正したいのは…ヒロインサラが公爵令嬢わたしの付属になるんじゃないんだよ。
ヒロインサラこそが世界を救う英雄として次期王妃として崇め奉られ、公爵令嬢わたしこそただの友人として、付属品になるんだよ。
あの、英雄の生まれ変わりのご友人ですか!!って、羨ましがられる立場になるのが目標なんだよ。
テスト勉強対策の問題を解いているフリをして、自分の努力を振り返っていたわたしは、フッと視線を上げ、目の前の光景を眺める。
ヒロインサラを真ん中に、両サイドに第3王子エヴァンと側近ニコラエス。
実技に比べ、筆記の苦手なヒロインサラを手助けする彼らの瞳に、熱っぽいものを感じる。
これはきっと、若い男女間の恋愛に違いない!!心なしか座る距離も近い!!
目の前で繰り広げられる、若人わこうどの青春劇に思わず笑みが溢れる。
微笑ましいな〜青春だな〜頑張ったな〜わたし。
ちなみにダスティンはわたしの隣に座っている。
まぁ、仕方ない。どうしてもヒロインの隣に座りたい2名がいるのだ。片一辺が3人並びになるなら、残る2人はもう一辺に座るのが当然だ。
最初は勘弁して欲しかったが、この男、存在感が消えるのであまり気にならなくなった。
気配が消えるわけではないのだけれど、意識が向かなくなるのだ。きっと何かしらの術式を展開し、認識されないようにしているのだろう。
普段からこうだから、フッとした隙に好き勝手動き回って第2王子に報告とかしにいってるんだろうな。