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カクヨムにて同時に投稿中。そちらの方が数話先行投稿しています。


→https://kakuyomu.jp/works/16816927860273874320


こちらはコピペになりますので,ルビや傍点など崩れてしまっています。

読みやすさや先の話が気になる方は,カクヨムがオススメです

ベイルードによる爆弾発言をしつこく追求してくる公爵ちちを『もう寝る時間ですよ』と寝室に押し込み逃げながら,あとのことを公爵付きの執事に頼んで,わたしも自分の寝室に引っ込む。


着替えを手伝うメイドは,いつものおしゃべりはなりを顰ひそめ

口元がソワソワと動くけれど,キツく言い含められているのか聞いてはこない。


普段はもっとおしゃべりな彼女だけれど,こう言う時はちゃんと弁わきまえるだけの教育はされている。

…まぁ,好奇心は隠しきれていないけれどね。


それでも,興味のままに主人の許しなくその領域に踏み込まない。

でなくば,公爵家,それも宰相の家門の家で働けない。

『好奇心は猫を殺す』に,似たような慣用句もこちらゲームの世界にもちゃんとある。


柔らかく肌触りの良い寝巻きに着替え,慣れた寝台に横になると知らずに深く深〜く息を吐き出していた。無意識に息を詰めてしまっていたらしい。


部屋のカーテンも寝台の天蓋のカーテンも閉められて,やっと一息つける。

自室も十分にプラウベートな空間だけれど,父や執事が管理しているマスターキーで開閉可能だ。

その点,寝台の天蓋は完全なるプライベート空間であり最後の防衛砦。

カーテンが閉じられると同時に外部と完全に遮断され,物理も魔術も無効化する術式が組み込まれている。


まさに無敵のイージス盾となるコレは,その強度に伴ともない高度な術式は展開範囲が限定されることにより可能であり

シングルベッドサイズでも並の貴族では手も足も出ない値段になっている。

もちろん,これは術式そのものの値段であって,付与に伴う物質への負荷に耐えられる素材のベッドの準備や

術式を発動させ定着させる人間の確保(いわゆる人件費)も必要になる。

それらも当然,とてもお高い。


大きな家門や古くからの名家旧家なら当代当主に伝わる寝具として引き継がれる代物を,公爵ちちは妻と子供たち2人のために揃える溺愛ぶりだ。


妻や子供の分まで用意するなんて『王』ぐらいしかしていなかったし,

その王だって新たに作るのではなく,宝物庫に保管されている物を修繕し使っているのだ。


それを知った時は公爵ちちの娘LOVEぶりに呆れもしたが,今はその恩恵を胸いっぱいに享受しようと思う。

何せ,完全に防音なのだ。内外の音を全て遮断してくれるのだ。

使う人間の魔力を登録するので使用者以外の魔力があればすぐ気が付く。

この中に盗聴の術式や魔道具の類がないのを確認済みだ。


詰めていた息を深く吐いたのとは逆…胸にも腹にもいっぱいに空気を吸い込み


「なんで!!何一つ!!計画通りに…行かないのっっっ!!!!!!」


久々に張り上げた大声で,もう喉がヒリつく。

かつてはオールでカラオケ〜とか一晩中はしゃいでいたと言うのに。

すっかり軟弱になってしまった喉はもうカレている気がするが,それでも怒鳴りたい気分は治らないし,なんなら暴れたい気分も湧いてきた。


お行儀よく掛けていた上掛け布団…と同じ使い方をする布を足で行儀悪く跳ね飛ばし,キツく握った両の拳こぶしをマットレスに叩き込む。

スプリングではなく,圧縮された空気の詰まったマットレスは,叩き込んだ衝撃がそのまま反動で帰ってきて,大きく仰反のけぞるがそのまま持ち直す。

前世だったらそのままひっくり返っていただろう。しかし,今世には『身体強化魔術』があるのだ。


マットレスの反動に,何故か『反撃された』気がして,

…ニヤニヤと笑う顔が見えた気がして,とにかく怒りのままに殴り続けた。


暖かい家庭が欲しかった。迎えてくれる家族が欲しかった。

努力に見合った成果が欲しかった。それをきちんと評価して欲しかった。

余暇が楽しめる生活がしたかった。心も体もキチンと休める時間が欲しかった。

人生を通して楽しめる趣味が欲しかった…。


ただ,それだけを望んでいた人生だった。


やっと手に入るかもしれないと思って,ひたすらに努力してきた。

思い出せないことに歯噛はがみしながら,できることを精一杯やっていたのに!!


いざ思い出した途端に,全てがうまく行かなくなっている気がする。


様子見しようと思っていたら手遅れ一歩手前。

良かれとやった行動が裏目に出て,ヤバいやつに目をつけられ


その『ヤバいやつ』の想い人設定にされて…。

こんな噂が,学園在学中に流れてしまったら…第2王子が唾つけた女とレッテル貼られてしまったら…。


「終わった…」


気が付けば枕も巻き込んでいたらしく,天蓋内に白い羽が舞っている。

上掛けは隅っこでくしゃくしゃになっていて,もう直す気にもならなかった。


仕方なく広いベッドの真ん中で丸まって眠る。

明日も学園に追試に行かなければならないのだ。

興奮して眠れないと思ったけれど,ベイルードとダスティンに相対し疲れていたらしく,あっと言う間に眠ることができた。


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