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カクヨムにて同時に投稿中。そちらの方が数話先行投稿しています。


→https://kakuyomu.jp/works/16816927860273874320


こちらはコピペになりますので,ルビや傍点など崩れてしまっています。

読みやすさや先の話が気になる方は,カクヨムがオススメです

思えば,3歳でアラフォーわたしは目覚めたが

実の親である公爵夫妻ですら疑わず今日まで生きてきた。


それを,ほぼほぼ初対面のこの男に疑われているとは考えにくい。

ならば,いったい何を持ってわたしが『誰』か問うてくるのか!?


相変わらず掴まれたままの髪が,プチプチと切れる音がするし

視界は涙で滲にじんだままだ。


何か言え,と言いながら,何を言えば良いか考える間も与えてくれない相手に

『いったい,何を答えて欲しいのか』と,心の中で悪態をつく。


答えないわたしに業を煮やしたのか,

掴んでいた手を離し解放と同時に足を振り上げてきた。


そのままでは靴裏が顔面にめり込む流れだったけれど,

ここでわたしの防御アイテムが発動する。


どう考えても害意も悪意もある行動だからだ。


片足を上げている不安定な格好で,反射の効果が発動され

第2王子は無様にすっ転び,床を滑って壁に激突してようやく止まった。


転ぶ瞬間と壁に激突する瞬間の間抜けな声。

転がるのではなく,氷上を滑るように弾かれ

一応,後頭部は咄嗟に庇っていたが,背中から思いっきり激突し

そのままピクリとも動かなくなってしまった第2王子。


この一連の出来事に,背後で盛大に吹き出す音が聞こえる。


え?護衛騎士だよね??

現在は,確かに第3王子の騎士だけど…実際は第2王子に仕えてるはず。


ご主人様,すっ転んで吹き飛ばされてんだけど…いや,自業自得だけどさ。


どんなに爵位が低い貴族でも,

実践訓練もあるこの学園で自衛のアイテムを付けない貴族はいない。

物理・魔術に限らず,反射や無効化のアイテムは必ず身につけている。


ただ,恐ろしく高価なアイテムなので平民でも富豪はともかく

学者系や奨学金組の生徒は持っていないけれど。


わたしも,王族に次ぐ高位の家門であるゲイルバード公爵家の令嬢なので

なかなかに強力な効果を発揮するソレを持っているし身につけている。


だから,これは不可抗力であるし,

こっちとしては意味もなく振るわれた暴力に対し発動されたものなので

王族に対する不敬には当たらない。


無力無抵抗な婦女子に対し乱暴狼藉を働こうとしていた事実を棚にあげ

不敬罪だなんだと詰められたら,そう言い返そうと思っていたのに


…え,笑っちゃうの??


ついには痙攣し始め,

必死に声を殺そうと口と腹を押さえて噛み締めてはいるが

あまり成功しているとは言えそうもない。


息も絶え絶えについには蹲うずくまってしまった。


第2王子もそうだけど,

この護衛騎士も…ブレてるどころじゃない。崩壊している。


前世知識のゲーム設定では,この護衛騎士は『クール天然』で

喋ると威厳がないから隠せ,と側近ニコラエスに言われ

寡黙で無愛想を装いバレるのを防いでいるキャラだったはずだ。


現在の主人である第3王子にも,

実際に自分を雇った第2王子にも忠義を感じている義理堅い性格で

例え,令嬢に不当に暴力を奮ふるった結果だとしても,目の前で吹っ飛んだら

助けに行くか,吹き飛ばした令嬢を抑えにくるかするはずだ。


どちらもせずに,呼吸もままならぬほど爆笑しているのは

もしかしたらバグかもしれない。


それとも,これもゲーム世界が現実になった為に起こる差異??


ヒロインの人生難易度が自動的にエクストラハードになっていたように

第2王子の設定は,現実になると心も体も病むようなものだった??

それに呼応して,雇われた護衛騎士も笑い上戸になる????


いや,ならんやろ!!


確かに,第1側室母も第1王子兄もやりたい放題で

その息子,その弟と一括ひとくくりでまとめられて評価されてはいるけれど

第2王子の性格上,そこらへんの折り合いはつけるし上手く利用できるだろう。


そりゃ,生きている以上はイラつくこともあるから

誰かに当たることもあるとしても

ほぼ初対面の公爵令嬢の髪を引っ掴んでストレス発散はおかしい。


ましてや,現国王の右腕の宰相公爵の愛娘。

その髪を掴み,暴言を吐き,踏みつけようとするのは…。


いくら王子…王族といえど許されない行為だ。


内面は傲慢不遜であっても,口八丁の策士として振る舞っている彼が

それをかなぐり捨てて暴力に訴えてでも詰問するなどありえない。


そんな,らしくない行動をしてでもわたしが『誰』なのか問い,口を割らせる。


ある種の決意でもって呼び出したのだろう。


だがしかし!!こっちはそんなものに,心当たりはない。


髪を掴まれ,血走った目で『お前は誰だ』と問われるような不審な行動は

何一つしてこなかった。


何せ,今後の平穏な生活の全てが掛かっていたのだ。

『量産型令嬢モブ計画』には,優等生で真面目な令嬢,の意味もある。

怪しまれるような行動は何一つしていない。


いないけれども…

中身がアラフォーで,リリーシアではない。

そういう意味での後ろめたさはあるために,詰問されれば動揺するし

その動揺が不審に思われしまったのか…。


とりあえず,解放されたこの瞬間が逃げ出すチャンスでもある。


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