モルヴィッツの戦い
4月10日のモルヴィッツの戦いではオーストリア軍はプロイセンのシュヴェリーン将軍の奮戦で惜しくも敗れてしまった。
田舎の北国が名門ハプスブルクに勝ったのだから、フリードリヒ2世は大勝利だと全世界へ吹聴した。
後にミュンヘン郊外の美しいニュンフェンブルク城で、フランス、バイエルン、ザクセン、プロイセンが改めて同盟を結んだ。
プロイセンは奪ったシュレージェンを統治する。
バイエルン公はボヘミア王とともに、神聖ローマ皇帝に選ばれる。
ザクセンはメーレンを領有する。
フランスはオーストリア領ネーデルラントを得る。
またスペインにはイタリアのロンバルディアを与えるとする。
4国はオーストリア包囲網を制定した。
オーストリア継承戦争でオーストリア側についたのは英国であった。
一方、マリア・テレジアは二人の女友達と乗馬の練習に励んでいた。
「こんな時に何やっているんだよ!」
フランツの反対にテレーゼは一笑した。
「女性だって男性みたいに乗馬ができたほうがいいでしょう? 一体どうしていけないの? 動き回ったり涼しい風が吹いてきたりすると気持ちがいいし、骨の折れる仕事をたくさん片付けたあとには気晴らしが必要だわ」
宮廷人はテレーゼを咎めたりする。タロウカも猫をかぶった様子で異義を申し上げた。
「話したいならどんどんお話しなさい。今すぐには従わなくても、後日ならおっしゃることが心に思い浮かぶこともあるでしょう」