マウントをとりたい。どうやったらマウントをとれるのか。
マウンティングという言葉を知っているだろうか?
動物が自身の優位性を示すために相手に対して馬乗りになる行為のことだ。
転じて、人間同士でも『マウントをとる』という行為、言動が日常化している昨今。
私もマウントをとりたいのだ。
残酷な社会の底辺から世間を見上げる生活……
せめて!
虚構でいいからマウントをとった気分を味わいたいのだ!
どうすればマウントをとれるのか、ここに論じていきたいと思う。
なお、私の正体に関しては一切が謎であるものとする。
■ □ □ □ □
私は健康だ。
そう、健康マウントをとろう!
「去年ガンをやりまして……」
「一昨年に大腿骨を折りまして……」
「包茎手術を……」
あれ?
なぜか大きな手術をした方が偉い空気になってしまった……
健康こそ宝ではなかったのか!?
□ ■ □ □ □
そうだ、私は健全だ!
健全マウントをとろう!
「ぷはー、マリ○ァナうめえ」
「やっぱお薬は○○産だぜ」
「コ○インでないとトベないぜ」
あれ?
なぜか危ないお薬をやった方が偉い空気になってしまった……
健全なる魂にこそ健全なる体が宿るのではなかったのか!?
□ □ ■ □ □
そうだ、私は善良だ!
善良マウントをとろう!
「こないだ駅んとこで3人ぶっとばしてよー」
「俺なんかあの裏で5人ぶち殺したぜ?」
「あぁ? 俺ぁ○○会の△△さん知ってんぞぉ? 舐めとったら死ぬぜ?」
あれ?
なぜか危険な行為をした方が偉い空気になってしまった……
真面目に生きてる私が尊敬されないないんておかしいのではないか!?
□ □ □ ■ □
そうだ。年収だ。年収でマウントをとろう。
えーと、私の年収は……にひゃ……
□ □ □ □ ■ □
よし、配偶者だ。配偶者でマウントをとろう。
えーと、私の配偶者は……いな……
しかも……どうて……
□ □ □ □ □ ■ □
うーん、学歴だ! 学歴でマウントをとるんだ!
ふんす! 私の学歴は……ちゅうそ……
□ □ □ □ □ □ ■ □
くそっ! 車だ! 車でマウントをとるんじゃあ!
おお……私の車は……中古のけい……
□ □ □ □ □ □ □ ■ □
ぐぬぉー! 容姿だ! モデル経験のある私の容姿なら!
ああ……もうハゲて……
いかがだったでしょうか。
マウントをとるという行為。
それがいかに無駄で無益で無情なものか。ご納得いただけましたでしょうか。
あ、忘れてました。
血筋マウント!
我が家の裏山にある墓には『安政』との文字があった!
つまり!
その頃から続く尊いお家柄!
勝った!
そこらの石に刻んだ年号……
手の平サイズの石……
つまり先祖代々農民……
それも貧農……
だれか私にマウントのとり方を教えてください……
酔っててごめんなさい。