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第4話

俺は自分に与えられた部屋に戻っていた。とはいえ、今日はこんなににも騒がしかったのからなのか、急に一人ぼっちになると、何故かすごく寂しかった。だから、ガチャっとして扉が開いた時には少し期待した。たとえ、執事の人でも、お手伝いの人でも話すことができるから。それに、アリスとかだったら嬉しいなあと思っていた俺の希望は打ち砕かれた。


そこには、黒髪の美少女が立っていた。


「チェンジで。」


黒髪の美少女は軽く腕を回した後に、その拳を振るう。案外、パンチというのは面積の問題的に、当てるのが難しいと話していたことを思い出す。だけど、その拳はそんな問題を乗り越え俺の顔面にクリーンヒットした。そうして、呻いている俺を地面に転がして、彼女は椅子を引き出して、そこに座った。


「私、あなたに具体的な話をしていなかったでしょう?」


髪の毛をかき上げる動作は女性の行う動作の中でも最も、美しいものだと豪語していたのはクラスメイトの井門君だったと思う。その時は、こいつは気持ち悪いなと思っていただけだったが、まあ、その、いや、まあ、案外、悪い気もしなくもない。


「見てくれだけは美少女だからな!」

「あなたは急に、何をほざいているの。頭のおかしいフリをして、ウケを狙いに行くのはもういいわ。見飽きたのよ。」

「そんなことしたことねえだろ。だいたい、お前の方が頭おかしいだろ。人のことを買おうとするなんて。」

「だから、私はその話をしに来たのよ。そんなことも分からないなんて、やっぱり、あなたはクズでノロマで雑魚で勉強ができなくて、鈍感ね。」


俺はそんなに悪くないと思う。むしろ、いくら幼馴染とはいえ、人にここまで毒を吐ける人の方がやばいと思う。それに一つ悪口じゃなかったのが混ざっていた気がする。


「鈍感?」

「そ、そのあんたには関係ないのよ!」

「ええ?」


ゆったりとした黒いワンピースを麗華はパサパサと前後に揺らしながら、彼女は話を続ける。


「話すのが遅くなったけれども、私はあなたのことを8億円で購入したわ。でも、日本にはいらない法律がたくさんあって、その中には人身売買罪というものもあるわ。」

「そういう言い方やめようぜ。日本には素晴らしい法律しかねえから。やべえのはお前だから。」

「でも、私はあなたをどうやっても、支配下において、悔しがる姿を見たかったの。」

「もう、何も言わないからな。」

「だから、近衛家の顧問弁護士に相談したわ。」

「なんでだよ!って、言っちゃったよ。俺。」


その幼馴染は、やたらたくさん文字が書いてあって、それをまとめた書類と明らかに能天気そうな文字で署名がしてある一枚の紙を渡してきた。


「日本の法律って、案外簡単なのよね。抜け道なんてお金と権力があればいくらでも探せるみたいだし。」

「おい、待て。ちょっと時間をくれ。俺は、今どうなっているんだ。」

「あなたは、今、死んだところで責任は私にはないわ。もちろん、その場合はあなたのご両親の所にいくわけなのだけれども、行方をくらましているため追求するのは無理ね。」

「お願いします。俺の臓器は絶対に高く売れないので、俺のことを出荷するのだけはやめてください。」


しかし、麗華は


「そこで私からあなたに提案があるわ」

「提案??」

「あなたには私の婿候補になって欲しいの」

「婿?」

「私は、近衛家の跡取りになるから結婚相手もたくさんいるのよ。だから、あなたにもその婿候補の一人になって欲しいってこと」


突然言われた言葉に困惑する。なぜなら、


「婿候補って、おまえ、俺が婿になるってことか?」

「そうだけど」

「おまえ、俺のこと好きなの?全然知らなかったんだけど」

「ええ、そうよ、私は・・・・って、はあ?あ、あなた何を言っているのよ?」

「婿候補って、いつか結婚するっていうことじゃ」

「そ、そうだけど。私は、他の婿候補が嫌なだけで、べ、別にあなたのことなんて」

「ツンデレ??」

「はあ?何調子のってんのよ?」


そうして、しばらく白い肌を真っ赤にしている幼馴染をからかっていたのだが、


「まあ、だから、その婿候補としての事を少しやってもらいたいの」

「へ?」

「だから、あなたはその婿候補っていう形で他の人に挨拶したりとか、パーティに参加したりとか」

「彼氏になれってことか?」

「はあ?彼氏?バカじゃないの?そ、そんな浮かれないで欲しいんだけど!」

「いや、浮かれてねえよ。一切」


そうして、麗華は


「まあ、とにかく、今まで通りに、普通に学校に通って、部活をしてくれればなんでもいいわ。」

「婿候補のやつは?」

「一応、婿候補という形にはなるけど、別にあなたと結婚する気はないわよ!」

「じゃあ、何が目的なんだよ。」

「別に、目的なんて最初から、一つしかないわ。それも小さい頃から変わってはいないし。」


そうして、彼女は俺に与えられた部屋にあった、数学の教科書を指差した。


「だから、あなたには明日の学校に行く必要があるわ。それの77ページを開きなさい。宿題をするわよ。」

「いや、お前には悪いけど、俺、授業ほとんど聞いてねえから、なんもわかんねえぞ。なんなら文系にするつもりだし。」

「あなた、なんのために私が、来たのかわかってないの?私があなたに教えに来る以外にないでしょ。」

「いや、俺に会いたいのかと思って。」

「冗談は顔だけにして。」

「俺、それ知ってるぞ。略して、JKって言うんだろ?でも、JKがJKってなあ。」

「キモ。早く教科書開けよ。」


俺は黙って、教科書を開いて、問題を解き始めた。そうして、それを見た幼馴染が文句を言う。二人でワイワイと騒ぎながらも、なんやかんやで楽しかったことを俺は黙って噛み締めていた。


皆様にとっては、見飽きたものかとは思いますが、作品にポイントが入ったり、ランキングに載ったりすることは、作者にとっては本当に嬉しいことなので、よろしければ、下の欄から評価よろしくお願いします。

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