適当に作った
「全てに嘘も偽りもない。だからこそ何を信じるか。それを大切にしてくれ四季」
お父さんはそんな意味深な言葉を残し、悲しそうな笑顔を見せて、手汗滲ませ愛情をすり込むかのように撫でてきたときの記憶。
それは、力強く肉の厚みが感じられるほどに温かった、それは今までで一番不快で心強い撫でぷりであった。
そして、お父さんはその後、玄関の夜霧へと消息を絶った。
あれから9年のときが流れ、今はセトバの高校へと通いつつ喫茶店モブで働いている。
「お待たてしましたミヤビさん。今日はルアクコーヒーですよ」
「珍しいなジャコウコーヒーか」
「はいそうです、生物学者ならわかっていると思いますが、ジャコウネコの排出された豆ですが高級品ですので、よく味わってください」
「そんなもん当たり前だ、なにせ素人でも知っている高級品だしな」
先程から、コーヒー好きを丸出ししている男は、宮本 龍尾。通称ミヤビ。170センチで身長の割に胴長で、上着の隙間から筋肉の境目がわかるほどの体格。黒く殺伐としたツリメでをし、髪は黒に少し紫を混ぜた若さとできる男が出るアンティークショートで、ちゃんと手入れをしているのか、髪に艶がある。
服装は、黒い長袖をベースに深紫の袖なしのジャケットを着て、ベージュ色のズボンには、腰付のポーチをしている。
一見ガラの悪そうな感じはするが、兄が通っている大学の首席で、このお店に常連客である。
「う~苦味がないものの甘い香りが良いわ~」
「それは良かった」
感嘆の声を殺し、一定の声で感想を述べ、心で味わう光景は淹れた甲斐と仕入れてくれた、店長の顔も緩む良いものだ。
「そう言えば、今日は合格通知が届く日でしたね。どうでしたか」
心の隙間に、不意打ちうちをかけるように、ミヤビに兄も受けた試験の有無を訊いた。
一瞬悩む顔をしたが、余裕あるしたり顔をして手でチョキを作り、指を揃え肘で振り下ろし。
「当然。余裕で合格したよ」
「そうですか。うちの兄も合格していると思いますのでそのときは」
「あいつも、試験受けていたのかよ」
「いくら仲が悪くても建前でもわかったていうものですよ」
「ま・・たしかにそうだな」
このときは、ただ兄と一緒のところを目指していたことに嫌悪感を抱いていいたと思っていたが、まさかその試験の主催者がかつてマネークラッシュ事件の関係者トワイライト レイアだと知るのは、彼と出会うまで知ることはなかったのであった。