大は小を兼ねる話
「兄貴、おっぱいって好き?」
健二は妹から放たれた強烈な台詞に口に運んでいた牛乳を思いっきり吹き出した。
「おまっ!いきなり何を…」
「いやぁ、大体男の人っておっぱい大きい方が好きって聞いたから、兄貴はどっちなのかな~って」
吹き出した勢いで牛乳が気管に入り込んだのか、ゲホゲホと噎せかえりつつ、溢した牛乳をだいふきで拭き取っていた。
「…どっちかって言うと、おっぱい…かな?」
「あ、やっぱり?」
知ってた。と言わんばかりの笑顔に、健二は怒気すら覚えた。
「やっぱりそうだよねぇ、おっぱい大きい方が気持ちいいし挟めるし揉めるし大は小を兼ねるって言うからね~」
「…?もしかして由梨はちっぱい派だったか?」
「まぁね。ちょっと考えても見てよ。抱くときなんかさ?『わ、私…胸無いし…』ってばつが悪そうになってるところをそんなこと無いよって胸揉むか吸うかしてあげれば喜ぶし気持ちいいしで一石二鳥じゃない?」
「妹が何を言っているのか分からない件」
だろ?と言わんばかりのどや顔を向ける由梨だったが、生憎健二にはその気持ちは届かなかったようである。
「っと、もうこんな時間じゃないか」
時計に目をやると、健二は身支度を整えるために自分の部屋に向かう。
「あれ?兄貴今日用事あるの?」
「あぁ、ちょっと人と会う約束がな…って言うか、勝手に部屋に入ってくるなよ」
「女?」
「残念。男だ」
「じゃあ彼氏?」
「バカなの?」
「合コンだ。」
「俺がそんなイベントに呼ばれるとでも?」
「だよね、知ってた。」
健二は自分で言い出したことで傷付きつつも玄関を出てすぐ脇に停めてある原付に跨がり、目的地へと向かった。
大切な人と会うために…
ーto be continuedー