ここまで来たらむしろ年齢制限つけないとまずいのでは?
さて前回。由梨と青葉がリビングから出ていった後。由梨の部屋ではさっそくピンク色空間に———ということはなく、二人肩を並べて座っているだけである。だけなのだが、由梨はそれだけでもうれしそうだ。そんな彼女の微笑ましい姿を見て青葉もおのずと笑顔になる。
ベッドに背中を預けて座り、指を絡めて手をつなぐ。ただそれだけ。たったそれだけなのにとてつもない幸福感に包まれる。これほどの幸福があるだろうか。聞くところによると人生におけるもっとも大きな幸福は危ないお薬によるものらしいが、そんなこと知ったことではない。今二人で過ごしているこの幸福感こそ人生における最大の幸福だ。
「いやぁ、流石に2ヶ月近く音信不通だとビビるよねぇ…。撮影の後文句言わなきゃ」
幸福を感じているとはいえ沈黙に耐えきれなかったのか由梨が口を開く。しかし口をついて出たのはまさかの作者への愚痴だった。それを聞いた青葉はつないでいない方の手で由梨の頬をつねる。いきなり頬をつねられた由梨は突然の出来事に開いた口がふさがらなくなっていた。
「え、えぇっと、私何かした?」
思い当たることがないといった風に頭を掻く由梨に、青葉は頬を膨らませ少しだけ立ち上がる。そして由梨の体にすっぽりと収まるようにうずくまる。
「もっと話題考えてよ———せっかく二人きりなんだから」
そういって膝を抱えて小さくなる。そのしぐさに思わず抱えるように抱き締める。二人とも薄着なので触れ合った肌から互いの体温を直に感じる。それから、少し早くなった鼓動も。
冷房が効いている室内は快適だが、そうではない屋外は温暖化の影響で初夏だというのにかなりの猛暑になっている。そんな環境で掻いたものだろうか、ふわりと汗のにおいが漂う。不快、というわけではなく、むしろそれがいい。自身よりも少しばかり小さい女の子を抱え込むように抱きかかえ様々な感覚を楽しむ。これもかなりの幸福だった。
「ごめんごめん。ほら、機嫌治して?」
そういって頬に口づけし微笑みかける。予想外の反撃に青葉は面食らって顔を赤く染める。そんな反応を楽しんでいるのか由梨はさらに笑顔になる。すると青葉は撮影用のマイクはおろかかなり接近している由梨にもはっきり聞こえないような声で何かをつぶやく。よく聞き取れなかった由梨はもちろん聞き返す。するとその瞬間、その隙。一瞬の隙を突いて唇を重ねる。
「ほ———頬っぺただけじゃ足りない…です」
やはり突然の出来事に目を丸くする。しかしその一言で胸を打たれ先ほどよりも強く抱きしめる。そして少し考えてから先ほどから背中を預けていたベッドに腰かけ太ももをポンポンと叩く。その意味を少し考えてから由梨に背を向けるように膝の上に腰かけようとする。だがそれを制止する。
「あぁ、逆だよ。逆」
再びその意味を少し考えてからおずおずと向き合うように膝に座る。まぁ、いわゆる対面座位と言えば伝わるだろうか。兎角そういう体制になっていた。そして包み込むように抱き締める。それに呼応するように抱き締め返す。そして少し顔を話したかと思うと再び唇を重ねる。しかしそれだけではない。ゆっくりと青葉の口内に舌を滑り込ませる。それに驚いた青葉はびくりと体をこわばらせるがすぐに受け入れたようで、粘膜を刺激するように舌を絡める。体に回していた掌どうしを合わせ指を絡ませる。
しばらくキスしていた二人だが、青葉は息を止めていたようで苦しくなったのか口を放し息を整える。話した口からはやや粘性のある透明な滴が糸を引いて垂れていた。二人は少し気まずくなったのか目線を合わせる。息を切らしているからか、恥ずかしさによるものなのか青葉の頬は真っ赤になっていた。かくいう由梨も真っ赤になっているかもしれないが…。
しばらく見つめあった後、由梨は青葉を抱きかかえて後ろに倒れ込む。青葉は慌てて両手をついて姿勢を保つ。しかしはたから見たら青葉が由梨を押し倒しているように見えるだろう。そして青葉の首に腕を絡ませ微笑みかける。
「おいで?」
途端、青葉の中で抑えていた何かがはじけん飛んだのだろうか、押し付けるように唇を重ねる。そして貪るように舌を絡ませ、唾液を交換し、粘膜を刺激する。
しばらく貪るようなキスをした後、乱れた呼吸を整えるために青葉も倒れ込むようにベッドに身体を預ける。しかし、だ。
「はへぇ…。青葉ちゃんってエッグいキスするね~」
暴走機関のように暴れる心臓によって発生した熱を飛ばすように顔を扇ぐ。青葉もその一言によって一気に赤面し暑さを感じるくらいに発熱する。
「だ、だって…。由梨ちゃんが誘ってくれること、なかったから…」
自分のしたことを思い出したのか口を押えている。それでももう片方の手は由梨の手とつながれていた。
「いやぁ~、あついねぇ~」
*****
「…カットです。お疲れ様です」
今日の分の撮影が終了し、片づけを始める。
「いやはっは、まさかディープキスの撮影をするとは思わなかったや」
「う、うん。ちょっと恥ずかしかった…」
撮影用の舞台から降りた由梨と青葉は出演者用に用意されたパイプ椅子に向かう。しかしそこにはすでに二人の人影があった。人影は膝に肘をつき手を組んでいる。そして顎を両親指で支えるようにして座っている。そしてその双眸は虚ろを向いていた。
「…ちょいちょい。兄貴に作者よ、どうしたそんな新世紀なんとかゲリヲンみたいな格好して」
二人の人影とはお察しの方もいるだろうが健二と作者の二人だ。しかもきっちり同じ方向を向いているのでシュールさが増されている。
「いやなに、今回はいつにも増して出番が少ないっていうか…むしろ出番がないっていうか…」
「いやなに、今回はいつにも増してレズ要素が多いと言いますか、むしろエロいと言いますか」
健二の感想はまだしも、作者の感想はストレートだったので青葉は思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「あ、そうだ作者よ。今回はなんでこんなに遅れたん?」
「そうですね、いつもなら1カ月くらいで投稿するのに…。今回に限っては2ヶ月とちょっとですよね。何かあったんですか?」
「あ、それは俺も気になる。やっぱりあれか?“アレ”の準備でもしてたのか?」
出演陣に詰め寄られ苦虫を一気に10匹ほど頬張ったかのような顔になる。
「まぁ、別段何かがあったわけではありませんよ。ただ単にリアルのお仕事が忙し過ぎて、ですね?あと単純にアイデアが浮かばなかったというのもありますね。あ、あと連載再開の剣ですが、あれは破棄の方向になりました。主な理由としましてはアイデアが浮かばない。書く時間がないというのが挙げられます」
理由というか言い訳というか…。兎角そういったものを聞かされた出演陣はむしろ「コイツなら仕方ないか」というような域に達していた。
「そういえば、俺の出番は何時になったら増えるん?これでも一応主人公ぞ?」
「あ、それに関しては安心してください。次回は健二さんの回ですので。むしろ由梨さんと青葉さんはお休み回ですね」
「なお、書くとは言っていない」
「な、なるべく早く上げますので…。許してください」
といったところで今回はここまで、次回に続きます。
-to be continue-




