遅くなって申し訳ございませんでしたぁぁぁうわぁぁぁん
「兄貴知ってた?もう年越してるんだぜ?」
「うん。俺もそれ知ってる。なのに新しい話投稿されてないとか…」
「まぁ、作者さんにも何か事情があるんじゃないですか?」
スタジオの隅、出演者の3人がポテチを摘まみながら話している。そう、ここ最近『俺の妹が《レズビアン》な件』の最新話が更新されていないどころか構想すら練れていないことに憤りを感じているのだった。
「事情ねぇ…。あいつのことだからyou〇ubeで配信とかしてるんじゃない?」
「まぁありうるな。ちょっと確認してみるか」
そういってポチポチとスマホをいじる。
「あ、そういえば最近の配信で『俺、2月に入ったら引っ越しするんだ…』とか言ってましたね」
「「何その死亡フラグ」」
「すみませーん、撮影始まりまーす」
「「「はーい」」」
*****
由梨と青葉のデートの翌日。由梨はその余韻に浸っていた。幸い休日のなので思う存分トリップできる。
「…お前なぁ、ちょっとは家事手伝えよ」
「う~ん、後でね~」
ソファに寝ころんだまま健二に向かって返事をする。
「それ1時間前も聞いたぞ!休みの日くらいは手伝えよ!」
「だって昨日楽しかったんだもんさ~。ちょっとは余韻に浸らせてよ~」
怒鳴られたので「私彼女おるんやで?ええやろ?」みたいな顔を見せて煽る。そんな顔を見せられ怒りを通り越して呆れてしまう。
「はぁ、もういいよ。それで?大学はどうだ?」
「ん~?まぁ楽しいよ?ていうか明日から青葉ちゃんと会えるって考えたらテンション上がるんだけど」
「ふ~ん…。そういうもんなのか?」
今まで彼女がいたことのないのでよくわからん…。でも好きな人がいるってそんな感じじゃ無いかな?
「まぁそうだよね~兄貴にはわっかんないよねぇ~。あ~私の彼女めっちゃかわいいわ~」
もう反応するのも億劫になったのかはいはいと流す。面白い反応を示さなくなった兄にむくれながらソファから起き上がる。そしてふらふらと自室へと向かっていった。
自室に入るとパソコンを起動して机に向かう。そして今朝届いていたメールを開く。
『由梨ちゃんへ
昨日はとても楽しかったです。それでその、お願いがあるのですが…。
私と、本格的にお付き合いしてはいただけないでしょうか?お返事待ってます』
開いたメールを見てにやにやする。届いていたのが午前3時なので恐らく家に帰ってから考えて考えて考えあぐねて送ってきたのだろう。そんな彼女のことを考えるとなお愛らしく思える。
まだ午前中なので恐らく家にいるのだろう。だがメールで返事を返すというのも味気ない。というわけで、だ。
パソコンをシャットダウンさせ出かける準備をする。向かうのはもちろん———。
*****
某都某区某大学。森下 青葉は午後からの講義のためにバスに揺られながら大学へと向かう。寝不足なのか薄く隈を作りながら窓に寄り掛かっていた。
(由梨ちゃん…。メール見てくれたかな…)
昨日は帰宅した後、本当はすぐにでも告白のためのメールを送ろうと思っていた。しかし実際に文面に起こしてみると気恥ずかしさや文脈はおかしくないかなんかが気になってお送るに送れなかった。そして紆余曲折したのち、うっかり送信ボタンを押してしまい告白メールを送ってしまったのだ。送信ボックスに残っていたプレビューを見てみると、何とも味気ない文面になっていた。思い出しただけで顔から火が出そうだ。
そんなことを考えていると大学前の駅に着く。運賃を払い下車すると見知った顔が一つ。
「あ、青葉ちゃん。やっほ」
「ゆ、由梨ちゃん?今日講義無かったんじゃ?」
「えへへ、青葉ちゃんに会いたくって」
そういうと青葉の顔が赤くなる。しかし新入生の美人が居るという事もありやや人だかりができていた。
「とりあえず、講義が始まるまで付き合ってよ」
青葉の手を取って引いて行く。やはり緊張しているのか鼓動がやや早くなっている。
そうしてやってきたのは大学内にある食堂。お昼時なのでかなり生徒がいるが、まだ春先で寒いということもありテラス席は人がまばらだ。
「え…と、何か用?」
「ん~?ちょっとね。青葉ちゃんと話がしたくって」
頬杖をついて微笑みかける。メールのことを気にしている青葉にとってこういうことを言われるとかなり気まずい。
「今朝さ、メール送ってきてくれてたよね?」
突然———といっても自分が蒔いた種なので仕方がないのだが———話題に出されびくりと体を震わせる。
「青葉ちゃんさ、あのメール送るのにかなり悩んだでしょ?ありがと。うれしいな」
心臓がうなりを上げて鼓動している。頭の中が真っ白だ。もうほとんど何を言っているのか理解できない。
「でさ?あのメールの返事なんだけど…」
由梨はそういうとやや腰を浮かし青葉の顎に手を添えて逃げられないようにする。そして唇を重ねた。
「これが返事…じゃダメ?」
突然キスされたことによってものすごく驚いている。はたから見たら変な顔になっているだろう。
「これからもよろしくね?青葉ちゃん」
*****
「はーい、カットでーす。お疲れさまでしたー」
撮影が終わってスタッフたちも撮影機器の片づけに入っている。
「お疲れーす。なんか今回短くなかったか?特に俺の出番」
「まぁ、仕方ないんじゃないんですか?大体私と由梨ちゃんのお話になってきてますし」
健二は納得いかないのか腕を組んで仏頂面になる。
「あれだよ。ヤローは必要ないってことさ」
「皆お疲れ~。差し入れ持ってきたよ~」
ここで大袋を両手に持った作者が撮影現場に入ってくる。袋の中身は大量のお菓子だった。
「お、いいじゃん。サンキュー作者」
「嶺上さんもシナリオ作成お疲れ様です」
「なぁ作者よ。俺の出番少なくねぇ?どういうことだよ」
健二の訴えに作者は何を今さらといった顔になる。まぁ第シーズン始まってからちょっとで半減ったもんね。
「そりゃそうでしょうよ。だって第2シーズンの主人公って由梨なんだもん」
製作者の一言にがっくりと膝をつく。
「あ、そうだ次回こういうのを計画してるから事前にチェックしておいてね~」
渡されたコピー用紙に書かれた内容に目を通して二人は驚愕する。
「えっと、これ、私たちがやるんですか?」
「大丈夫なの?主に年齢制限的な意味で」
「大丈夫だ…問題ない」
さて、次回どうなってしまうのか。果たして健二の出番は増えるのか。
-to be continue-




