表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/223

熱烈な歓迎

俺達はレヴェナーラへと進んでいた。

いや、進んでいたはずだったのだが...。


「...なぁ?」


「なんだい?」


「俺達の目的地はレヴェナーラなんだよな?」


「その通りだよ、それが何か?」


「...そ、そうだよな」


だが、延々と森の奥まで連れてこられた俺の目の前にあるのは邸宅であった。


影の傀儡の面々は、次々とその邸宅の中へと入っていく。


「ここ、どこだよ?」


俺が邸宅を指差しながら問うと、彼は『わからないのかい?』と言い、さらに続けた。


「数ある拠点のひとつ...そうだね、隠れ家とでも言っておこうか。 大丈夫、魔法的細工は施してあるから見つかることなんて――」


「いや、そうじゃなくて、なんでここに来たんだ? 目的地はレヴェナーラのはずじゃ...」


「そりゃあさっきの話を聞いてすぐに

向かうわけにはいかないよ。 よく考えてごらん? 例えばいきなり戦争を始めると言われても勝てるわけがないよね?」


確かに...いきなりそんなこと言われても準備も無しに勝てるわけがない。


なるほど、つまりこれは準備のために隠れ家に寄るってことか。


「察したようだね、そう...これは休憩のためさ」


なるほど、まったく違うようだ。


「ってか休憩ってなんだよ!?

今休憩なんてしてる場合じゃないだろ!?」


俺がそう言うと、彼は『まあ落ち着いてくれ』と

俺に一言かけてから


「我々だって早くルシカ様の元に向かいたい。


だからこそ休憩するんだ」


「...? それはどういう...?」


「話を聞く限り、緊急性は低いと思う。

けど、作戦を成功させる難易度はかなり高めだ。


そして、この作戦に失敗は許されない。

それならば、疲れを取って万全の状態で挑むべきなんだ。 ルシカ様を信用しているからこそのこの休憩だ。 だから、君もしっかり休んで欲しい」


「...そういうことか...」


そうだよな。 この人たちだって俺の母さんが心配なんだ。 それこそ、すぐに駆けつけたいくらいには。


だけど、その一時の感情に身を任せて作戦を失敗させてしまっては意味がない。


一旦冷静になるという意味も含めた休憩なんだろうな。


「それに、大方準備をするためだと勘違いしたんだろうけど、我々はルシカ様から何があっても良いように準備だけはいつでもしておくようにと言われている。 そこら辺にしては心配しなくてもいいよ」


「そりゃ...頼りがいがあるな」


「我々も君にはとても期待している。

なんたってあのルシカ様の息子なんだからな。

きっと我々の想像を越えるかのようなものを

魅せてくれるに違いない――」


あ...、なんか母さんへのリスペストスイッチ入ったっぽい...。


ってかそんなに期待されても困るんだが...。


俺がそれを訴えるかのような視線を

彼に送ると、彼は笑いながら答えた。


「ははっ、冗談だよ。一割くらいは」


ほとんど本気じゃねぇか。


「...さて、そろそろ入ろうか。 何時までもこんなところで話していたら疲れてしまう。 ささ、どうぞどうぞ」


扉の前で妙に俺を急かすような身振りに、

半ば警戒しながらも俺が扉を開けると――


「「「「「「いらっしゃいませぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」」


「お邪魔しました」


俺は扉を閉めた。


待て、なんか人増えてないか?

さっき一緒に移動してた人よりもかなり多かったぞ?


そしてなんだあの熱烈な歓迎は。

もはや恐怖すら感じたぞおい。


すると、俺の疑問を汲み取ったのか、彼は

説明をしてくれた。


「人数が急に増えたように見えて困惑したのかな? でも今回君にコンタクトを取ったのはあくまで影の傀儡の中から選ばれた一部の者達だけなんだ。 今は君に会えるということでほぼ全員がここの隠れ家に集合しているというわけだ」


「なるほど...」


つまり、この隠れ家に入ったが最後さっきみたいに揉みくちゃにされると...。


「なぁ...?」 


「なんだい?」


「もしこの隠れ家に入ったら...俺、休めるのか?」


「それは――」


彼は扉を開けると俺の背中に手を置き


「君次第...かな!!」


思い切り俺を邸宅の中へと押し込んだ。


「うおっ!?」


そして、俺が顔を前に向けると、そこには黒ローブの面々が――


「おい待て近づくな手をワキワキさせるなそもそも一人に対して集団で囲い込むのは良くな―――」


言い終える前に、彼らは俺に向かって飛びかかってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ