表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/223

平穏の終わり

農作業も一段落付いたので、俺は

久々にテスタと遊んでいた。


イルビアは他の女の子達と遊んでいるようだ。


ちなみに親は王都へ稲の納品に行ったので、

今は村には居ない。


「...さて、次は何をして遊ぼうか?」


俺がそう問うと、テスタは少し考える素振りを見せ


「そうだな、じゃあ森の中の探検とかどうだ?」


「...村の人達は危険だから入るなって

言ってたろ?」


森は比較的安全な場所とは言われているが、

稀にスライムや角兎ホーンラビットなどの魔物が

出ることがあるようだ。


そのため、子供だけでの森への立ち入りは

やめるよう言われている。


「別に大丈夫だろ。 スライムも角兎ホーンラビット

両方俺達だけで対処出来ただろ?」


「...まあ、ね」


俺とテスタは今までに数回、すでに森に足を

踏み入れている。


そのとき、不運にもスライムに遭遇したのだが、

対処が出来た。


角兎ホーンラビットは、基本的にこちらから

危害を加えなければ何もしてこないということ

なので、スライムさえ対処出来るのなら

安全ということになる。


「よし! じゃあ決まりだな! 

今日は前よりも奥の方に行こうぜ!!」


テスタは、パチンッと指を鳴らすと、

そのまま森の方へと駆け出した。


「ちょ! 俺はまだ行くなんて...!

...はぁ、仕方ないな...」


俺は一度溜め息をつくと、テスタを追いかけ

始めた。


村の大人達に気付かれないように

建物の影を利用し、どうにか森まで

近づいていく。


そして、いよいよ森の前にある柵の近くの

民家の裏まで到達した。


「よし、誰にも見られてないな?」


テスタの言葉に俺がコクンと頷くと、

テスタは顔を少し出して周囲を見渡し


「今だ!」


テスタが掛け声をかけたと同時に俺達は

直ぐ様、柵をよじ登ると、それを乗り越えた。


「うし! このまま走るぞ! まだここじゃ

村の人に見えちゃうからな!!」


「わかった!」


しばらく走り続け、村が見えなくなった

ところで俺達は止まった。


「ここまで来れば大丈夫だな。 

んじゃ、奥の方に行こうぜ」


「おう」


いつものように森の奥へ向けて歩きだす。


魔物の気配も無いし、まだ日も高い。

これなら結構進めるのではないだろうか。


順調に歩を進める俺達。


だが、俺は森があまりにも静かすぎると思った。


前に来たときはもう少し虫の鳴き声とかが

聞こえていた気がしたのに、今日の森からは

それが聞こえなかった。


「おいテスタ、何かおかしくないか?」


「んー?」


テスタは俺の言葉を聞いて立ち止まると、

周囲をキョロキョロと見渡したが、

首を傾げると俺の方を向き


「何がおかしいんだよ?」


「...なんつーか、静かすぎるっていうか。

なんというか」


「言われてみればそんな気がしなくも

ないけど、別に気にする必要はねぇだろ」


「...考えすぎってことか?」


「ああ、だってそもそも、ここには

危険なんて――」


テスタが言いかけたそのとき、ゴゴゴゴゴッ!!

という音が響きながら地面が揺れ始めた。


「...なんだよ、これ...」


音の出所を振り向くが、そこには

先程と何も変わらない景色があるだけだ。


そう、ただただ木が生え広がり、

遠くに火山がある光景しか――


「...この音の出所って...まさか...!」


親や村の人からしか聞いたことしかない現象。

それを頭の中に思い浮かべたその瞬間。


視界にある火山から噴煙が上がった。

驚 き の 展 開 の 早 さ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ