表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/223

次なる支配者

どうにか二人の誤解を解いたあと、俺は

気になっていたことを質問した。


「そういえば、どうしてここに居るんだ?」


俺は走ってきたからいいが、この三人は

走ってはこれ...なくもないとは思うが、

俺達がここに居ることに驚いていない

ところを見ると、それを知っていて

ここに来たのだろう。


でも、俺はこのことを誰にも言ってないし、

どうやって知ったのだろうか。


「この魔族の人は操られていたらしいん

だけど、自分が操られる前にその子...

ユリアちゃんをメイギスに逃がしたらしいの。

まあ、メイギスのどこに逃げることが

出来たのかは不明らしいけど」


俺の質問に答えてくれたのはヘレンさん

だった。


「それで、私が魔族領の現状を聞いたあと、

じゃあその子を探しましょうってことになって、

そのときにルリと偶然会ったの。 ね?」


ヘレンの言葉にルリは頷いた。


「そうそう! それでその子を探してたら

茶髪の少年と一緒にいるのを見たとかいう

目撃証言が出て、それを辿っていったら

図書館に着いたんだよ。 


そこで魔族領にでも行ったんじゃないかって

おばさんが言ってたんだよ」


あ...、なるほど、情報提供者は受付の

おばさんか...。 それなら納得だ。


「それで、僕たちは転移してここに来たんだ」


「転移...?」


そんなこと出来る奴居たっけか?


「誰が転移なんて使ったんだ?」


そう考えていると、ユリアばかり見ていた

魔族の男が俺の方を向き


「私だ」


お前だったのか。


「我々魔族には共鳴転移石シンクロストーンというものが

渡されているんだ」


そう言って彼は自分の共鳴転移石を見せた。


「これは母体の石と共鳴し、その母体がある

場所に転移出来る優れモノだ。

この魔王城の下には母体が埋め込まれている」


なるほど、それで転移したのか。


「ちなみに和平したときにメイギスにも

こっそり我々は母体を埋め込んでおいた」


勝手に何してんだコイツら。


「だから、ユリア様をメイギスに強制的に

転移させたのだ。


私のように世話係に任命されれば、緊急時に

ユリア様を強制転移させることが出来る

権限が与えられるからな」


なるほど、それで転移が...。


ん? 世話係・・・


「ああ...! 思えば世話係になるまで

長かった...とても長かった!! 全ての

世話係試験を一位で突破出来るように血のにじむ

ような努力をして、魔王さまに私は危険だからと

拒否されないように外堀も埋めた...!!

そして私はようやく...ようやく...!!」


やっぱり駄目だコイツ。


「お父さんが一番優秀で一番変態で

一番手のかかるって言ってたよ?」


「そりゃあ、まあ...うん...」


わからなくもない。


ユリアの今の言葉を聞いてとても喜んでいる

あたりかなりヤバイ。


「そういえば、お前、名前は何て言うんだ? 

名前を知らないと不便だしな。

俺はアル・ウェインだ。 そっちは?」


魔族の男は急にキリッとした顔になると


「私の名はペド。 名字などとうに捨てた!

この二文字だけで私の名前は完成している!!」


やっぱゴミ箱に捨ててこようかコイツ。


「名は体を表すという! 故に私はこの名に

恥じぬ生き方を貫く!! それこそが私の信条だ!!」


お前が恥ずかしくなくても周りから見たら

恥ずかしいからね?


「ペド...、悪いんだけど半径3m以内に入らないで

貰ってもいいかな?」


「何を言うのですか!? そしたら

貴方の世話は...!?」


「そろそろ一人でなんとかするよ。

もし無理そうならお兄ちゃんに力を貸して

もらおうかな」


「アル・ウェイィィィィィィィィィン!!

貴様ァァァァァァァァァァァァァァァ!!

絶対に許さぬぞォォォォォォォォォォ!!」


やめろ唾が飛ぶ。


というか、そんなことより重要な事を思い出した。


「こんなことしてる間にも魔族の群れが

こっちに来てるんじゃ...」


「それなら多分大丈夫だよ」


俺の呟きにユリアが反応した。


「あそこを見てみて」


ユリアが指差すところには、先程イルビアが

穴を開けた壁があった。


そこからは魔族の群れが見えたが、先程までの

ような恐ろしい雰囲気は無く、むしろ混乱

しているような雰囲気が包み込んでいた。


「...幻覚が解けて皆混乱してんな...」


「まずは皆をどうにかしてあげなきゃね!」


ユリアがそう意気込むと、後ろでペドが

感動していた。


「おぉ...なんとお優しい!! 先程まで

幻覚に捕らわれていたとはいえ自らを

襲ってきた配下達を助けてくださるとは...!!

それこそ次期魔王としての器に相応しい...!!

もちろん見た目的な意味でも!!

幼女(ユリア)様には皆が一生崇拝して仕えることでしょう!」


誰もがお前みたいな趣味だと思うなよ。


でも、まあ。


きっと、お前みたいなやつなら魔王に

ふさわしいんだろうな。 


辛いだろうけど、頑張れよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ