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逃走と突破

何らかのミスで完結済みとなっていました。


修正したので、恐らく今は直っているかと思います。

地図に乗っ取って俺達は進む。


と言っても、先程のように俺がユリアを

脇に抱えて走っているのだが、彼女は

もう泣いたり叫んだりはしていなかった。


手紙は、『友人の魔族から聞いた魔族領の

中心部はここだから、ここに向かえば良いと

思うわ』とその場所を赤い色で丸く囲っていた。


「ほんと...なんで全部わかるんだろうな...」


そう言いながら視界を手紙に向けていると


「お兄ちゃん! 前に3人いる!!」


抱えていたユリアの声に前を向くと、

魔族が三人どこからともなく躍り出た。


「くっそ! さっきからどんだけ

出てくんだお前ら!?」


先程からどんどんと湧くように出てくる

魔族達は、次々と俺達を襲ってくる。


全部対応していたら時間が無いので、進行の邪魔になる魔族や、遠距離系の武器を持っている

魔族だけを殴り飛ばし、残りの魔族は

放っておいて先を進む。


そのため、恐らくかなりの数の魔族が後ろの

方から追いかけてきているはずだ。


だけど、足で負けるつもりはない。


ようは追い付かれるよりも先に終わらせて

しまえばいい。



のだが...


「今度は4人!」


「またか!!

なんでこんなに俺達を執拗に狙うんだよ!!」


「...操ってる人が居るんじゃないかな?

皆、目が変だもん...」


確かに襲ってくる魔族達は全員虚ろな目をしていた。


でも...


「誰が、何のために...?」


「...わかんない...でも...


なんか――やな予感がする...」

























場所は変わりギルドの一室、先程

ヘレンに倒された魔族は、目覚めると自分が

縛られていることに気がついた。


「ここは...?」


「王都メイギスの冒険家ギルド。

自分が襲撃した場所なのに覚えてないの?」


魔族が前を向くと、そこにはヘレンが

立っていた。


「俺が...ここを...襲ったのか...?」


「ええ、すぐに無力化させてもらったけど」


すると魔族は歯を軋めた。


「くっ...! やはりそうなったか...。

やはりあの方を逃がして正解だった...!

...そうだ! あの方は!?」


「一人で話を進められても困るから、

説明してもらってもいい?」


ヘレンがそう言うと、魔族は口を閉じ


「...申し訳ない。 まずはこの場所を

襲撃した非礼を詫びよう...。 私とて

こんなことをしたかったわけではないのだ。

だが、悪いが説明している時間が惜しい。

無理を言うのは承知だが、一度解放してくれないか?」


その真剣な物言いに、ヘレンは一度考えたが、

すぐには信用してはいけないと判断した。


「理由を聞かせてもらってもいい?」


「...ユリア様だ」


「ユリア...様?」


ヘレンは首をかしげた。


「ユリア・マクベス・フォンゲート様。

我が魔族を統べる魔王様のご息女であり、

次期魔王様だ。 その方をここに飛ばしたんだ。

この王都メイギスにはそれなりに人々に

扮して暮らしている魔族がいる。 それなら

他のところに送るよりかは安心できるからな」


「...何故そんなことを?」


「...魔族領はもう駄目だ...それに...」


魔族の男は悔しそうにギリギリと歯を軋ませ

涙を流しながら


「あんな光景...姫様見せられるわけがない...っ!」


「ちょっと待って!? 何があったの!?」


ヘレンはただ事ではないと思ったのか、

少し強めに問いた。


「それは――」

















俺達は森を抜けた。 だが...


「うっ...」


この状況は酷い。


魔族領の中心領、そこに近付けば近付くほど

魔族の死体が増えていき、中心領に足を踏み入れた

ときには、数多の屍が転がっていた。


俺はあまりの酷さに、ユリアの目を手で覆った。

こんな光景、ユリアに見せられたものではない。


「...お兄ちゃん」


「...なんだ?」


「...隠さないで、ちゃんと私に見せて」


「...え?」


「私は逃げちゃいけない。 どんなに

酷い光景が広がっていたとしても目を背けちゃ

いけない。 皆の死を乗り越えて進まなきゃ

いけないと思うの」


...短い間に随分と成長したもんだ。


「わかった。 じゃな離すぞ。

覚悟しとけ」


そして、俺は手を離した。


「ッ...!?!!」


ユリアは思わず口を両手で押さえた。

だが、視線はそらさなかった。


まるで視界をそらしたらその現実からも

目を背けているような気がしたのだろうか。


しっかりとその光景を目に焼き付けていた。


「お兄ちゃん...」


「ん?」


ユリアは顔を俺に向け


「こんなこと終わらせなきゃね、絶対に」


「...ああ!」


そんなことを話している間に、後ろから

数々の足音が聞こえてきた。


魔族達の追っ手だろう。


「うし! 行くぞ! 」


「うん!」


ユリアを抱えて俺は駆け出す。


視界の遠くに見える、魔王城へと。

思ったんだ。


展開早くね? って...

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