二人の男は恋い焦がれる。
「実は魔物の群れが現れまして...!
群れの規模が大変大きなものでございまして
我々が賜ったレプリカを全て使いましたが追い払う
ことが不可能でございました!
つきましては唯一原点をご使用
することが出来るネディルス王子様にその力を
使って頂けたらと...!」
その言葉にネディルスの顔は青ざめた。
アイツはこのことを誰にも言っていないみたいだ。
国民からも外の国の人達からも良い目で
見られたかったのだろう。
故に協力者をあの魔族だけに絞った。
そして、それが自分の首を絞める結果となった。
さあ、どうする?
「な、ならば、私が向かいま――」
「――その必要はねぇぜ?」
突如、何者かが侵入してきた。
「ガ...ゼル?」
「おいアデル、そいつがお前を苦しめてた
奴なんだろ?」
そう言ってガゼルと呼ばれた男はネディルスを
指差した。
「どうして...?」
「友人を助けに来るのは当然ッスからね!」
もう一人、そう言いながら入ってきたのはリークスだった。
「リークス...!! お前...!」
「聞きたいことは山程あるが、まずは
あいつをぶっ飛ばすのが先だぜ?」
ガゼルが指差すさきには、原点を
構えたネディルスの姿があった。
ネディルスはその剣を上に掲げたあと、
その剣先を魔族達に向け
「あ、悪しき者共よ...! こ、ここから
立ち去れ!!」
ネディルスがそう言うと、剣は輝きと共に
凄まじい光を発した。
リークスやアデルは、効果があったのか、
守るように腕を顔の前に出した、
「や、やった...効いてる...!?」
ネディルス自身も驚いているようだが、
その呟きは会場のほとんどの者に聞こえた。
が、一人だけ、動いた者がいた。
その者は、光輝く剣を掴むとベキッと
へし折った。
「な...、なぁっ!?」
「あー、なんだよそれ、ただ眩しいだけ
じゃねぇかよ。 大方、昔の式典か何かで
使うようなただのお飾りみたいなもんだろ。
こんなもんで俺達魔の者を払えると
思ってんなら馬鹿にしてるとしか思えねぇな...」
ガゼル。 彼だけは怒りをあらわにさせて
ネディルスの前に立っていた。
ガゼルはネディルスの首もとを掴むと、
そのままグイッと上に持ち上げて
「さて、覚悟は良いか?」
「い...いいんですか?
こんなことしたらアデルの彼女は大変な
ことになってしまいますよ...?」
「ああ? んなもん今さらどうでもいいんだよ」
その言葉を聞いたアデルは反論する。
「ガゼル!? どうでも良いってのは...!」
「アデル、俺だって流石に外道じゃねぇ。
既になんとかなってるからこんなこといってんだよ」
「何を――」
アデルがそう言いかけると、もう一人の女の魔族が式場に入ってきた。
彼女は、一人の女性を抱えていた。
「はーい、アデルのお探しの女性は
この人かしら?」
抱えられていた女性は、言わずもがな
アデルの彼女であった。
「あ...あ...ああ!」
ネディルスはそれを見て、まるでこの世の
終わりのような顔をしていた。
「つーわけで、お前は終わりだ。
さあ、大人しくこの俺に殴られ――」
「――あは」
「あん?」
「あはははははははははははははは!!」
ネディルスは突如狂ったかのように笑いだした。
「何がおかしい?」
「向こうが終わるならこちらも終わるという
ことですか...!!
あはははははははははははは!!
なるほどなるほど!! あはははははははははははは!!」
「...どういうことだ?」
ガゼルが首を捻る。
「ファル王女の居ないメイギスなど必要が
無いと思ったのでいつもの数倍の規模の
魔物の群れを送ったのですよ...!
なんでも、結婚式が終わるまでは数多くの
護衛の騎士が駐屯しているそうじゃないですか?
それならいつもより王都は手薄...それならこの
結婚式の日こそ記念にも残る絶好の襲撃日じゃないですか!!」
「なっ!!」
ファルが口を押さえて顔を青ざめさせた。
「テメェ...この外道が!!
そもそもどうやってそんなことしてんだよ!
アデルはもうそんなことしねぇはずだ!」
「教えるとでも思いますか?
...そうだ、もしも直ぐ様ファル王女と私を
どこか遠いところに逃げさせてくれると
言うのであればやめさせても良いですよ?」
ニヤニヤと笑うネディルスの表情が
とても勘に障った俺は、ネディルスの前に
歩いていくと、ガゼルの手を離させた。
「おま...」
ガゼルが何をするんだと言った表情で
見てくるが、俺の真意がわかったのか
黙ってくれた。
「どうやら貴方は話がお分かりになる人の
ようですね?
それでは私は――」
そう言って立ち上がったネディルスの顔面を、
鼻をへし折る程度の強さでぶん殴った。
ネディルスはだらしない体勢と表情で
床にドシャァッっとダイブした。
「ごっぼぁぁぁぁぁぁあ!?!!!
あ...貴方はメイギスがどうなっても良いのですか!?」
「上等だよ...こっちだって向こうには
三人も戦力残してきてんだ」
それを聞いたネディルスは口元を歪ませた。
「三人! たったの三人!?
そんなもので魔物の群れが退けられるとでも!?」
「ああ、それなら――」
王都、その目前には、いつものものとは
比べ物にならないほどの大規模な魔物の群れが
侵攻してきていた。
「アル君の言うとおり...やっぱり来たのね...」
ヘレンや冒険家、そして残っていた騎士達が
その群れに突撃しようとしたとき、
二人の騎士が人の群れを掻き分けて
凄まじい速さで群れに向かっていく。
「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
二人の騎士は群れに到達するやいなや
ばっさばっさと魔物を叩き斬っていく。
二人のうち、一人は赤髪の騎士であった。
「これを頑張れば俺はヘレンの手料理を
食えるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
だから――」
そう自分を奮わせながらどんどんの目の前の
獲物を討伐していく、
もう片方の騎士はもはや見るからにナルシストであることがわかる容姿をしていた。
が、魔物を素早く切り刻んでいく
彼のその姿は、とても美しいものだった。
「これを無事乗り越えれば...!
愛しのマイハニーと騎士団への入団をかけた
決闘が出来るんだ!!
だから――」
二人の前には5mほどある巨大な魔物が居た。
ここら辺には現れない種族で、二人の騎士は
その魔物の力量がまったくわからない。
だが、怯む必要はなかった。
彼らにはアルの策略により約束させられた
甘美なご褒美があるのだから。
「「――邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
一刀両断。
その言葉がピッタリと当てはまるような攻撃を
二人同時に繰り出した。
5mもの巨体があった魔物は、すぐさま
地に伏せることとなった。
「...皆!! アイツらに続けぇぇぇぇぇ!!」
「「「「「オオオオオオオオオオオ!!」」」」」
場にいる者達の士気が格段に上昇する。
最早、負けるなど考えられなかった。
このためだけにこの二人の男出しました(白目)。




