表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/223

寸前の横槍(物理)

翌朝、私は連れてきた部下の一人が

部屋の扉をノックして声をかけたことにより

目覚め、寝惚けた顔をして起き上がった。


頭が重く、気分が冴えない。


昨日はほとんど眠れなかった。 何せ、

今日はあのネディルスとの結婚の日なの

だから。


「姫様!? このお閉めになられた鍵を

あけてください!」


「あっ! ごめんね...」


ネディルスに襲われないように寝る前に

鍵を閉めた私だったが、ようやく

眠れそうになったところに、無言で扉を

開けようとする者が現れ、鍵が閉まっているのが

わかると、舌打ちをして去っていった。


それは間違いなくネディルスだった。


私はその恐怖でせっかく眠れそうだったのにも

関わらず、目が覚めて眠れなくなってしまった。


さらに、もう時間は遅い。

寝てしまったら、次に目覚めたら明日だ。

明日といえば結婚式だ。


私は明日が来ることすら恐れていた。

故に、寝ることすら私にとっては

怖いものになっていた。


だが、もう後には引けない、

腹をくくらなければならない。


「...はい、今開けます」





















「いやぁ! 素晴らしいですファル王女!

とてもお美しい!」


ウェディングドレス姿になった私を見て、

ネディルスはその下心を隠すつもりが無いかの

ようにジロジロと舐め回すかのように見る。


もう私が自分のものだと思っているのだろう。


「お、お褒め頂き光栄です...。

ネディルス王子も大変お似合いですよ」


「そうですか? ふふっ...それでしたら

私達二人はお似合いの新郎新婦ということに

なりますね」


そう言って笑うネディルスには、嫌悪感しか

抱けなかった。


「招待した各国の方々も徐々にお集まりに

なってきましたね...。


では、私達もそろそろ行きましょうか」


「...はい」


ついに...始まってしまうのだ...結婚式が。


















会場には、すでに参加者が全員集っており、

私とネディルスは扉の前で待機していた。


「新郎新婦、入場」


その声を合図に扉が開かれ、私達は二人で

入場した。


各国の方々は祝福するような表情で

迎えてくれたが、自国の部下、そしてお父さんは、むしろ苦虫を噛み潰したかのような顔をしていた。


そんな顔させてごめんね。


私だってこんなことはしたくはなかったよ。


でも、私が国の為に出来ることは、これしか

ないから。


そう、これしか...


私達は前に出ると、誓いの言葉を紡いだ。


「私達は、この先どんな困難があろうとも、

二人で手と手を取り合って乗り越え」


私の言葉にネディルスが続ける。


「そして、いつまでも幸せな家庭を作り、

民の手本となることをここに誓います」


それを聞いた神父は頷くと


「では、誓いのキスを」


神父がそう言うと、ネディルスはゆっくりと

私の両肩に手を置いた。


「これで名実ともに君は私のものです...。

ふふっ...、国の汚名払拭は約束しましょう」


そう言ってネディルスはその醜悪さに

染まった顔を近付けてくる。




思えば、私は小さい頃から父にこう言われていた。


「好きになって結婚したくなった人が

出来たのなら、身分など関係なくその人と

結婚しなさい。 ファルの幸せが一番じゃからな」


別に夢がお嫁さんとかそんなわけではなかった

けど、私は貴族に有りがちな政略結婚などと

しなくても良いということで、

結婚が...好きな人と家庭が作れることが

楽しみだった。



だが、実際に結婚することになってしまったのは

このネディルスという男だ。


『国の為...国の為だ』と、自分に言い聞かせては

きたが、正直、もうすでに限界だ。


私は壊れてしまうのだろうか。


もう二度と笑顔を浮かべられる自信がない。


自然と、涙が出てきた。


自分から決めたことでも、やっぱり、

こんなの――


「――嫌...だよぉっ...!」


キスしようと夢中になっているネディルスにすら

聞こえない呟きはどこかへと消えた。


そして...


「ぶごぶらべっ!?」


キスされる直前、ネディルスは飛来してきた

何かにぶつかって、共にぶっ飛んだ。


「...え?」


飛んできたのは扉であった。


会場も騒然となる。


扉があった位置を見てみると...





「おわぁぁぁぁぁ!?!! マジかよ!!

つい力んじゃってノックしたと思ったら

扉飛んでっちゃったよ!!」


「まずどうしてこのタイミングでノック

しようとしたのかなぁ!?」


「何か邪魔しちゃ悪いかなって...」


「ぶち壊しに来たようなもんなのに

それどういうこと!?」


ローブを被った二人組が何か言い争っていた。


片方からは男の声、もう片方からは女の声が

聞こえた。


女の声の方は知らないが、男の声の方なら

あのローブに見覚えがある。


「...なんで...」


どうして? 


いつもは自分からは来てくれないのに


むしろ権力から逃げるかのような素振りを

しているのに


それなのに







「...どうしてこういうときだけ来てくれちゃうの...?」


ただただ溢れる涙が止まらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 早く国王変わった方がいいよ トップが無能すぎなんだから姫にそのまま譲ればいいのに 主人公がやる気出したのでこの先楽しみです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ