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件の全貌

「で、僕たちは結構重要な事を知っちゃった

わけだけど、これからどうするの?」


「そうだな...現時点でこの話をしても信じて

くれる人は居ないだろうからあんまり協力は

扇げないだろうし...」


「確かに、今となっては名高いアンティスブルグが

悪評を広めただなんて信じる人は少ないでしょうね」


俺は信用している二人ならこの話を

信じてくれると踏んでこのことを打ち明けたが、

実際、この事を信じてくれるのは少数だろう。


その程度の人数の言葉ならアンティスブルグの

国の力で無理矢理揉み消せてしまう。


むしろ、アンティスブルグが揉み消そうと

しなくても、急激に国の名が上がった

アンティスブルグに嫉妬した情けない

戯れ言としか受け取って貰えないかもしれない。


しかも、まだ情報が少なさ過ぎる。


魔物の群れ、あれを戦いもせずに聖なる剣だか

なんかで退けるというものの仕組み。


あれが本物なら(・・・・)、襲ってきた

魔物の群れが偶然うちと関係のあるところだけ

だっだので、うちの国の悪評を広めて、国の名を

回復したければ婚姻を結べと言い寄ることが

出来る。


だけど、こんな偶然なんてあるのか?


「なあ? 魔物の群れを意図的に呼び寄せる

ことって可能なのか?」


俺の質問にルリは少し考える素振りを見せると


「うーん...そんなこと出来るのは魔族しか

いないだろうけど...」


「でも、魔族が襲ってきているのだとしたら

この国の関係のあるところだけが狙われる

理由が説明できるのよ?


ここは勇者出身の地、前みたいに恨みを

持った魔族が襲ってきてもおかしくないもの」


ヘレンさんがそう言うが、それを認めた場合


「じゃあ、その聖なる剣だかなんだかが

本物ってことになるのか...?」


これに答えたのはルリだった。


「まあ、あそこは宗教を重んじてる国でも

あるから、悪しき者を払うための道具を

作ってるとか聞いたことあるし...。


もしかしたらそれが完成したのかもね...」


それに続けヘレンさんも話し始めた。


「しかもその剣、複数あるらしいのよ。

作る費用が高いからまだ量産には至ってなくて

他の国には渡せないって言ってたらしいけど」


「だったら作り方だけでも教えてくれれば

良くないですか?」


俺がそう言うと、ルリが『それはありえないよ』と

一言おいてから


「今アンティスブルグがこの地位まで

登り詰めたのはその剣のおかげなんだから、

おいそれとその作り方を流すわけがないよ。


それは他の国もわかってるはずだし」


「そうか...」


でもなんか胡散臭いんだよなぁ...。


はぁ、他にもこれを信じてくれそうで情報に

長けた人が居ればまた何か変わるかもしれないが、そんな人物はここには――


「――いたな」


「え?」


「アル君?」


俺の突然の呟きに二人はどうしたのかと

声をかけてきたが


「説明してる暇が無いから

ここで待っててくれ! もしかしたら

まだアイツが王都にいるかもしれない!」


「え!? ちょ!? アル!?」


呼び止めるような声が聞こえたが、俺は

悪いとは思ったものの、それを無視して

とある人物を探しに行った。























「――で、自分がここに連れてこられた

ってことッスか...」


俺が連れてきた人物――郵便屋は王都の

門の前に居て、あと少しで出ていくという

ギリギリのところで運良く見つけることが

出来た。


ヘレンさんは突然俺が連れてきた郵便屋を見ながら


「アル君? その人は?」


「この人は郵便屋だ」


「ゆ...郵便屋さん...? アル、なんで

郵便屋さんを連れてきたの?」


ルリの疑問も最もだ。


だけど、今日話したときに、彼もまた

この現状になんだか納得していなさそうだったし、

情報にもそれなりに長けている。


助っ人としては十分な人材だと思う。


その旨を二人に伝えると納得してくれた。


「しっかし、アンティスブルグが悪評を広めてる

ってことは実は自分も薄々そうなんじゃないか

って勘繰ってたんスけど、まさか本当だとは

思わなかったッスよ」


そう言う割りにはあまり驚いていないようだ。


「で、今は魔物の群れについての話を

してたとこだったんだが、ぶっちゃけ

お前、何か隠してることがないか?」


俺はいきなり核心をついた。


「え!? い、いきなりどうしたんスか!?」


わかりやすく動揺する郵便屋に俺は続ける。


「魔物の群れが俺達とは関係のない国は

絶対に狙わないって言ってた。


どうして断言出来たんだ?」


「そ、それは魔物の動きが活発になってるのが

この国の周辺だからって言ったはずッスよ!」


「そのあと関係の無い国を襲うのは望み薄って

言っただろ?


断定したあとにも関わらず曖昧な表現を

使ったってことは、


自分が知っている情報からして関係のない国を

絶対に狙わないのを知っていて、ついそれを

口にしてしまったから適当な言い訳をしたと

推察したんだが...どうだ?」


間違ってたらかなり恥ずかしいが...


「...はぁ、わかったッスよ。

自分の負けッス」


郵便屋は両腕を上げて降参の意を示した。


「何か知っていることがあるのね?」


ヘレンさんがそう聞くと、郵便屋は頷いた。


「じゃあ教えてくれる?」


「いいっスよ、でも...」


郵便屋は言い淀み、少し俯いた。


「でも?」


郵便屋は顔を上げると


「これは止められなかった自分の責任でも

あるッス。 だから、この件で何かするつもり

なら自分にも手伝わせてほしいッス」


「そんなことかよ...人数は多い方が良い

だろうし、構わないぞ?」


その言葉に郵便屋は笑顔になった。


「本当ッスか!? それなら話すッスよ...」


そして、郵便屋は語り始める。


彼の知っている情報、いや、この件の真実を。






話を聞き終わると、話していた郵便屋以外の

俺達三人は顔を見合わせた。


「...これはまた面倒だね...、どうする?」


「このことを表に出すにも証拠がいるし...、

アル君は何か案はある?」


「......」


つまりこれを解決するには魔物の群れの

仕組みを判明させたあとにその証拠を出し、

なおかつ母が監禁して調きょ...教育してる

やつらを表の場に引っ張り出してくれば良い。


「...なあ郵便屋、お前も同じことが出来るか?」


「出来るっスよ、まあ自分はアレよりは

少々心もとない出来にはなるッスけど。


それがどうかしたんスか?」


「それなら話は簡単だな...」


俺の呟きに前の三人の表情が驚愕に染まる。


「ア...アル君?」


「い、今...」


「簡単って言ったッスよね?」


三人の質問に、俺はさらりと言葉を返す。


「三人で役割分担すれば簡単だぞ?」


俺は今即席で思い付いた作戦を話した。

少々欠陥があるかもしれないが、多分大丈夫だ。


「...おっそろしい事思い付くッスね...。

アンティスブルグの評判が地に落ちるッスよ?」


「それくらいやらないと仕返しにならないだろ。

それに、この作戦のメインは郵便屋、お前だ。

出来るか?」


「うー...あんましこういうのはやりたく

ないんスけどね...、でも、これがこの国の

為になるんだったらやるッスよ!!」


意気込みは十分なようだ。


「僕はとりあえずスパッとやっつけちゃえば

いいんだよね?」


そう言ってルリは剣を振るような動きを

見せたが、


「ルリ、その言葉だと余裕で殺しちゃってる。

気絶で済ませてくれ...」


「大丈夫、手加減も出来るから!」


胸を張って言うルリ。

本当に大丈夫なんだろうか。


「それで、ヘレンさんにはここを

お願いしますね。 多分危険になりますから」


「任せて」


でも、流石にヘレンさん一人に任させると

辛いし大変だから...。




「ルリ、ヘレンさん。


二人ともさ、ちょーっと嫌な仕事なんだけど

引き受けてくれるか?」

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