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明らかになる2つの真実

家に戻った俺は、早速手紙を読むべく

封筒を開いた。


「うげ...確かにいつもよりも文章量が

多い...愛してるって言葉をなんで一行で

3回も使うんだ母さんは...」


とはいえ、感謝はしているのだが...。


半ば呆れながらも読み進めていくと...



『――最近疲れてたけどアルへの愛情を書いてたら

元気出てきたわ。


じゃあ、元気が出てきたところで本題に

入るわね』


「...本題?」


それを最後まで読み進めると――



「...おいおい母さん...マジで何者なんだよ...!」


俺はその手紙をポケットに突っ込むと、

急いで外へ出た。
















「それで、こんな時間に僕達を呼んで

どうしたの?」


俺は最初にルリの元に行き、彼女を連れて

冒険家ギルドに向かうと、ギルドの個室を

ヘレンさんに借りて、ヘレンさんにも中に

入ってきてもらった。


俺はポケットに突っ込んだ手紙を

取り出して、前に出した。


「まずはこれを読んでもらってもいいか?」


近くにいたルリがそれを受け取り、

ヘレンさんは手紙を覗きこみ、二人で

読み始めた。


「『アル大好き愛して――』」


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!

そこじゃねぇぇぇぇぇぇ!!」


俺は手紙を引ったくると、関係の無い部分だけを

破った。


そして、重要な部分を渡そうとしたのだが...。


「アル...僕たちは君へのそのラブレターを

読むために呼ばれたのかい...?」


「アル君...自慢がしたいからってこれは...」


二人してジト目でこちらを睨みながら

そう言われた。


「違うから! これちょっと親バカな

母さんからの手紙だから! そんなこと

よりここから読んでくれ!」


「いや、それはそれで問題じゃないかな!?」


そう言いながらルリは俺から手紙の

破片を受けとると、再びそれを読み始めた。


「『じゃあ、元気が出てきたところで本題に

入るわね。


最近、野菜の物価が高くなっていたでしょう?


それについて私は思ったの


このまま物価が上昇し続けたらアルの

食費にも影響が出てそのうち可愛い

アルが飢えちゃうわ。 なんとか出来ない

かしらって...』


...随分と息子想いのお母さんみたいだね...」


「そ...そうね...」


ルリとヘレンさんは苦笑いを浮かべたが、

その後、すぐにルリはまた読み始めた。


「『調べてみたら理由はすぐにわかったわ。

それは最近王都を狙っていたのと同じような

魔物の群れが私たちとの代表的な貿易相手の

国を狙ったことによる風評被害だったわ。


まあ、ここまではアルはすでに知ってると

思うけど一応書いておいたわ』


...知ってるの?」


「ああ、その手紙を読む前に丁度知った」


「アル君のお母さんは察しが良すぎね...」


ルリは再び手紙に視線を落とす。



「『それで話を戻すけど、これを知った

母さんは思ったの。


こんなアルを苦労させるような風評被害を

起こす出鱈目な噂の出所はどこかって。

見つけてしばき倒してやろうと思ったの。


私はその風評被害の話を誰から聞いたのか

どんどん調べていったの。


最初はただの商人、その次はちょっと位の

高い商人、そして最終的に辿り着いたのは――








――アンティスブルグ、噂の出所はあそこ

だったわ』


って....、え?」


ルリは目を見開いていた。


「そんな...まさか...」


ヘレンさんも驚いているようで、

驚愕を隠しきれない様子だった。


「続き、読むね。


『ちょっとわかりにくいように工作してた

から少し苦労しちゃったわ。 でも大丈夫。


これでも母さんは元″影の傀儡″の隊長でも

あったらね。


これくらいの調査は朝飯前よ』


か...影の傀儡!?」


「嘘!?」


あれ? アンティスブルグが黒幕の

可能性があるって部分より驚いてない?


俺は別にその影の傀儡ってのを詳しく

知らないから驚かなかったけど。


「影の傀儡って...何?」


その言葉にルリとヘレンは有り得ないと言った

表情でこちらを見た。


「知らないの!? 影の傀儡って言えば

この王都で国の為に暗躍していた諜報団だよ!?

呪術とか陰術とかを駆使してどんな情報も

涼しい顔をして持ってくるっていう噂があって

他国にすら名が響くほどに恐れられてたんだよ!?


でも、17年前に突然隊長が失踪して部下たちも

それに続くように消えていったから

その諜報団は無くなったらしいけど...」


17年前...
















俺が生まれた年だな。

なるほど、親バカ発症したから消えたのか。

どこまでも母さんらしい。


ルリは母さんが影の傀儡だという事実に

手を少し震わせながら読み続ける。


「『アル、アンティスブルグはかなり評判が

良くなっているみたいだけど、あそこは

裏に何かあるわよ。 


私はファル王女様をあんな国に渡したくは

ないけど、私は国一つを相手取ることなんか

出来ない...。



でも...きっとアルは動くんでしょ?

だから、少しだけ手助けしてあげる。

その噂を流したアンティスブルグの人達、

何人かとっ捕まえて監禁してあるわ、全部

終わらせたらそいつらを証人として渡してあげるわ。


自白するように調きょ...教育しておくから

頑張ってね、母さん、応援してるから』



...とっ捕まえたって...随分と規格外な

お母さんだね...、流石、影の傀儡...。


というか調教って書こうとしてなかった?」


「母さん、そんな凄い人だったんだな...」


俺がその事実に呆然としていると、

ヘレンさんが何かに気が付いた。


「あら? まだ手紙が続いてる...」


え? 手紙はそこで終わってたはずだ。


いや、でも下の方に不自然な空白があったし

母さんのことだからそこに何か細工を――







『P.S


はーい、女の子が二人そこにいると

思うんだけど二人とも見てるー?


アルに手を出したら...わかってるかしら?』





「何言ってんだあの人はぁぁぁぁぁぁぁ!!」


俺は手紙をルリの手から奪い取り、

引き裂こうとした。


「落ち着いてアル君! そこには重要な事が

書いてあるから破いたら駄目!!」


「アル! 冷静になろう!?」


二人して俺に静止を呼び掛けながら

体を掴んできて、事なきを得たのは

数分後のことだった。

影の傀儡の隊長で″も″あった。

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