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今回は無双回です。


俺は急いで村長から貰ったローブを着ると、

家を出た。


南方向から魔物の群れが攻めてきたらしく、

南門に向かうと、すでに大勢の騎士と

冒険家達が居て、この中にはルリとヘレンさんの姿もあった。


「あ!」


ルリがこちらに気がつき、一緒に居たヘレンさんもルリの声で俺に気が付いたようで、二人とも

こちらに走ってきた。


「まったく...嫌になっちゃうよね...、

もう何回目なのかな...?」


げんなりとした表情のルリの発言に、ヘレンは

少し考えるそぶりをすると


「えーっと...合計7回ね」


「来すぎだよ!!」


その言葉にヘレンは苦笑いを浮かべた。


「それを私に言われても...」


「まあ来ちゃったもんはしょうがない。

とにかく、今は群れを倒すことに集中しないとな」


「そうなんだけどさ...なーんかひっかかるん

だよね...」


うーん、とルリが顎に指先を当てて考えて

いると、前にいる騎士隊長から号令がかかった。


「此度、またもや憎き魔物の群れが攻めて来た!


だが、我々は自分のためにも、愛する人のためにも、

何より国ためにも、負けるわけにはいかない!


そうだろう!?」


その問いかけに オオーーッ!! という

同調の叫びが周囲から発せられた。


「ならば、全力を持って魔物を屠るのだ!


一匹たりとも奴等を国に入れさせんぞ!!


者共! 我らに続け!!」



「「「ウオォォォォォォォォ!!!!」」」


掛け声と共に騎士団が先行して群れに向かって

突撃していき、それに続いて冒険家達が

魔物の群れに向かっていく。


「僕たちも行こう」


ルリは剣を鞘から引き抜いて構えた。


「...本当なら...今頃お店でケーキを食べてたのに...」


...ルリさん? 目が笑ってないよ?


「至福の時間を邪魔するなんて許さないよ!!」


風を切るような音と共に、ルリはその場から

消えた。


そして前を見ると、すでに一体の魔物を

一刀両断していた。


「...実は私も久しぶりにウォンさんとお茶会する

予定でね...?


ウォンさんの淹れてくれる紅茶と

作ってくれるお菓子が美味しいから楽しみに

してたんだけど...。


その予定を潰されちゃったら...ね?」


うふふ と笑う彼女の目もやはり笑って

いなかった。


「ヘ、ヘレン...さん?」


「――全力を持って殲滅してあげる」


いつもより数段、声が低かった。


えっ? ってか全力? え?


俺が狼狽えている間にも、彼女は

両腕と両足を龍化させ...



背中からバサッと翼が生やした。


「え...あの...ヘレンさん、俺そんなの

出来るなんて聞いてな――」


そのままヘレンさんは空高く舞うと、

空中で遠くに居る魔物に向けて両腕を出した。


すると、特大の炎の球体が両手の前に出現し、

さらにそれを邪龍の闇魔法を利用して

闇でコーティングして...


「――爆ぜなさい」


超高速で発射された闇と炎の合成球体は、

着弾した瞬間に大爆発を発生させ、

多くの魔物の命を一瞬にして奪い去った。


その凄まじい威力に味方からは驚愕と

賞賛の声が溢れた。




...何あの技...よく一緒に依頼に行くけど

あんなの知らない...。


あまりの威力に『今の魔法は誰がやったのか』

という声がちらほら聞こえてくる。


ヘレンさんは自分がやったことをバレない

ように、すぐさま地面に降りると、

両腕両足と翼の龍化を解除した。


「ふぅ...龍化これはあんまり見られないようにしないと」


そう言った彼女の顔は先程よりスッキリと

したような表情になっていた。


彼女は俺の方を向くと


「あとは龍化無しでやってくるね」


そう言って魔物の群れに突撃して行った。

ヘレンさんが加勢してきた事に気がついた

人々は士気が上昇し、より一層魔物を

倒す手が激しくなる。


「...これ、俺必要なくね?」


他の冒険家だってかなり頑張っている。


だが、ルリとヘレンが頭一つ、いや二つ程

抜きん出ているのだ。


ルリは勇者の子孫に恥じない剣技で魔物を

切り裂き、ヘレンさんはナイフや体術で

魔物を翻弄し、ときにはバレないように

体の一部を龍化させて、一撃で魔物を粉砕している。


その二人の戦い振りに、騎士団の方から

女騎士にならないかとスカウトが来たらしい。


二人ともお断りしたそうだが、騎士団は今でも

諦めずに、たまに勧誘しているらしい。


一方俺は殴る蹴るというだけの戦い方。

ルリやヘレンさんのように見た目が良いわけ

でも無ければ、戦いかたが綺麗なわけでもない。


まあローブ着てるから見た目は関係無いんだけど。


俺がこうやって考えている間にも、

どんどんと魔物の数を減らしていくルリと

ヘレンさんを見て、周りの士気もさらに

上昇して、勢いがつく。


そして、魔物側が押されていき、魔物は全滅に近い状態に――




もう一度言う。 俺、必要無くね?

い つ 主 人 公 の 無 双 と 

言 っ た ?

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