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神の力を持ちし勇ましき者

「ルリ!」


俺はすぐさまルリに駆け寄ってヒールをかけた。


幸い、ロキは軽めに攻撃したのか、見た目ほど

酷い怪我ではなかった。


「おや...貴方は回復魔法を使えるのですか。

ということは、貴方から倒してしまえば

回復の手段が無くなるということですね?」


ロキはターゲットを俺に切り替えたようだ。

俺はルリの前に立ち塞がるような位置に出た。


「アル...君、ごめん...僕のせいで...」


怪我は回復したようだが、血を少し

流しすぎたためか、ルリは辛そうだ。


「謝る必要はねぇよ。 今はコイツを

どうにかしないと」


「無理...だよ...! 僕が、まったく...対応

できなかった....のに...」


「大丈夫だ、俺は



――超一流の農民だからな!」


俺は地を蹴ってロキに殴りかかるが、

ロキは軽く体を横にそらして避けると、

俺が殴るために伸ばした腕を掴み、そのまま

投げ飛ばした。


投げ飛ばされた先には木があった。


「やべっ!」


俺はそのとき、昨日の母さんの動きを

思い出し、空中で体を半回転させると、


「らぁっ!」


投げ飛ばされた先にあった木を蹴り、ロキの

元へ飛んだ。


流石に空中は蹴れないが、応用なら出来た。


「ほう、これはこれは」


それを見たロキは拳を構えた。

その拳に黒く全てを闇で染めてしまうような

禍々しい気を纏わせて。


「まずっ...!?」


「アル君!!」


ルリの叫びが聞こえるが、俺は――


「消えてください」


ロキが拳を前に突きだした瞬間、凄まじい

闇の衝撃波が発生した。


俺の居た場所は、草も木も、そして霧も、

無惨に全てが消え去った。


「本当に甘いですね...その素晴らしい

ステータスを持っていながらそれを扱い

きれていない...さながら、一般人が聖剣を

持っているようなものでしたね。


...さて」


ロキはルリの方を向いた。


「アル...君...? 嘘...でしょ?」


「貴女もすぐに同じ所に送ってあげましょう。


さて、では次は貴女の番で――」


刹那、ロキの頬に拳がめり込んだ。

言わずもがな、俺の拳だ。


「ごっ!?」


完全に油断していたのか、ロキには

かなりのダメージが通ったようだ。


「もう一発...!」


俺は殴ったときのそのまま勢いで体を

回転させ、蹴りをロキに食らわせんと足を

ロキに――


「調子に乗らないでください!」


ロキは蹴りを繰り出そうとした俺の足を

掴むと、もう片方の手に闇の力を込め


「先程はどう回避したのか知りませんが、

これなら回避出来ないでしょう?


――死ね」


ゼロ距離での一撃が俺を襲った。


「がぁっ...!?」


そして、そのままの勢いで吹き飛ばされた俺は

木に衝突した。


「ごはっ...!」


俺は大量の血を吐血した。


邪龍の強さの比ではなかった。

それはそうだろう、邪龍は聖龍が内部で

抵抗していたからこそあの強さに収まって

いたのだから。


いつだって本来の実力を出せる目の前の男の

方が強いということは納得がいくことだった。


「ヒー...ル」


俺は自身に回復魔法をかけ、なんとか

動けるレベルには回復した。


「本当に厄介ですね...とはいえ、私に

一撃を入れたのです。 あの世で誇っても

良いことですよ?」


余裕綽々とした様子でこちらを見てくるロキ。


「さあ、もう終わりなんですか?

もっと楽しませてくださいよ?」


まるでこちらを絶望させようとしている

ような表情のロキの目は、先程よりもさらに

赤く輝いていた。


こうなったら...。


「なんで...俺達を狙うんだ...?」


「はい?」


何を唐突に、と言った表情をするロキ。


これはただの時間稼ぎだ。

話を聞いている間に何とか策を練るための。

相手が嵌まってくれなければこれで終わりだ。


「...時間稼ぎだということはわかって

いますが、いいでしょう。 教えて差し上げます」


時間稼ぎだということをわかっていながら

説明してくれるとは、余程余裕があるようだ。


「私は計画の邪魔になりうる要素を排除

しているのです。


私が目星を付けているの貴方達と...あと

邪龍の力を手に入れたあの女ですね。

まあ、他にも数名いますが、ターゲットの

代表格は貴方達です」


「ヘレン、さんも、...狙ってるのか...!?」


だとしたら、ここで負けてしまえば

俺達だけではなくヘレンさんも...


「おやおや? 知り合いでしたか?

なら安心してください。 寂しくないように、

貴方達を始末したらすぐに彼女にも

会わせてあげましょう。 それでは――」


ロキは闇を体に纏わせて――


「待って」


ルリの声にロキが振り向いた。


「まだ何かあるのですか?」


「何故僕を狙ったの? 僕はアル君ほど

強くもないし、君達の脅威にはなりえないと

思うんだけど」


ルリも時間稼ぎだということに気がついたようで、質問を投げ掛けてくれた。


ロキは闇を纏うのをやめ、質問に答え始めた。


「ああ、それはですね。 勇者の家系の

血にはとある力が流れていましてね。


可能性はほぼ0に近いですが、万が一

目覚められたら面倒なんですよ」


「力...?」


「我らが主、邪神アンラ・マンユ様に

仇なすスプンタ・マンユ...




――善神の力が貴女の血に流れているのですよ」

シリアスはまだ続くんじゃ。

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