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親子の再会

なんだこのネタ回...

俺の母親は料理、洗濯などの家事は

もちろん、その優しく元気な性格のおかげか

人付き合いも上手く、さらに息子の俺が

言うのもあれだが美人である。


が、欠点がひとつ、それが――



「アル! アル! お母さんずっと

会いたかったわ! アルゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


親 バ カ であることだ。


「母さん...苦しいから離してくれると

嬉しいんだけど...」


抱き締める力が強すぎてヤバイ。


なんか骨がミシミシいってる気がする。


おい待て俺の防御力貫通してんじゃねぇか。


「駄目、まだアル成分が溜まってないもの!」


そのアル成分が何だが知らんがそれが

溜まる前に俺が死にそうなんですが。


あ、ヤバ――


「テメェェェェェェェ! 人様の妻に

何してやがる!!」


「ごっぺぇあ!?」


突然誰かに頬を殴られた。

その衝撃で俺は母さんの抱擁こうそくを抜け出す

ことに成功したが、地面をゴロゴロと転がった。


殴られた頬が地味に痛い。 

さっきからステータスが仕事してねぇぞ。


それにしてもさっきの光景は明らかに俺が

抱擁こうそくされてたってのにまるで俺が

手を出したかのような言い草だったような――


「誰だか知らんが俺の妻に――」


「――貴方?」


「え?」


母さんの後ろに修羅が見えた。


ヤバイ、これはヤバイ。


逆らったら死ぬ。


殴り込んできた男も顔が汗だくになって

青白くなっていた。


あ、これ俺の父さんだわ。


「今、貴方は何をしたのかわかってるの?」


顔は笑っているけど目が笑っていない母さんに

父さんの顔はさらに恐怖に染まった。


「え...えと、ルシカに手を出す男が居たから

ぶん殴――」


「へぇ? 貴方は私に息子との抱擁すら

許さないと言うの?」


「息、子? え?」


父さんは俺を見て


「あ、アル?」


「その通りだよ父さん、じゃあ頑張って」


母さんの親バカっぷりは父さんもよく

知っている。


つまり―――


「アル、殴って悪かった。



――生きていたら再会を喜ぼう」


死地に向かうような顔でそう言った父さんは、

母さんに家の中に連れていかれた。


数分後、家の中から父さんの悲鳴が聞こえた

気がした。


南無三...。










しばらくして母さんが家から出てきた。


「アル、待たせちゃってごめんね?

ささ、どうぞ入って?」


ねぇ母さん、服が血まみれなのは

ツッコんだら負けなの?


「? どうかしたの?」


「いや、なんでもない」


言いたくても...言えない...!


「こっちの部屋が居間よ」


そう言って案内してくれる母さんに

着いて行く途中に、一つの部屋の扉が

空いていたので見てみると――


「............」


その部屋には血が飛び散っていた。


そして、父さんが燃え尽きたかのような様子で

壁の近くにある椅子にもたれ掛かって座っていた。


...ウチの両親はいつから猟奇性のある

性格になったんだろうか。


だが思い返せば、両親が村に居た頃は

これくらい普通だったことを思い出して

安心した。



とりあえず居間に入って椅子に座ると、

母さんはお茶を出して俺の隣に座った。


「それで? いつまでここにいるの?

ずっと居てくれてもいいんだけど」


うーん、確かルリが調査をするのが

三日目で、その次の日は休みたいだろうから



「5日目に帰ろうかな」


「...アル?」


「何? 母さ――」


俺は母さんの方を見ると、母さんの笑みが

黒いことに気がついた。


「アル...今女の子のこと考えてた?」


え?


「まさか付き合ってるんじゃないわよね?」


え?


「母さん、認めませんよ。


アルにはまだ早いですから」


俺が母さんの親バカっぷりに恐怖していると、

ようやく復帰した父さんが居間に入ってきて


「それ、ルシカがただアルを取られたくない

だけじゃ――んごぺっ!?」


父さんがぶっ飛んだ。


もう一度言おう。


父さんがぶっ飛んだ(大事なことなので二回)。


「またお仕置きが必要かしら...?」


やめてあげて!!


「母さん! 心配しなくても俺は付き合って

いなければ好きな人もいないから!」


そう言うと、母さんの不機嫌そうな顔が一気に

満面の笑みに戻った。


「あら? そうなの? よかった」


うん、俺も母さんが元に戻ってよかった。


「お腹減ったでしょう? そろそろ

お昼ご飯にしましょうか」


そう言って母さんは台所へ向かった。


俺はそれを確認すると、ぶっ飛んで

虫の息だった父さんに目を向けた。


「...アル、お前のフォローが無ければ

今頃父さんは死んでいただろう...ありがとな」


「...あの親バカっぷり、前よりむしろ悪化してないか?」


「ああ、ただでさえお前と離れて暮らす

ことになったときも説得が大変だったからな。


結局こっちに着いた後もしばらくは

念仏のようにお前の名前を唱えていた」


なにそれ怖いんだが。


「だから、大変だと思うが母さんを

満足させてやってくれ...頼、んだ、ぞ...」


「父さん...? おい! 起きろよ! 父さん!?」


茶番終了。


父さんはただ気絶しただけである。


「アル! 悪いんだけどちょっと手伝って

もらってもいいかしらー?」


「わかった、今行く!」


俺は気絶した父さんを置いて台所に向かった。











お昼ご飯を作り終えるときには、すでに

父さんは意識を取り戻していて、三人で

一緒にお昼ご飯を食べた。


ちなみに何故か父さんの分の肉だけ

焦げていたが気にしない。


ツッコんだら負けなのだ。


父さんもそれがわかっているようで、

その肉を平然と食べ――


「んごぺっ!?」


さっきと同じような悲鳴をあげながら

父さんは椅子ごと倒れた。


「......」


ツッコんだら負けなのである。

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