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再会の約束と実家

んん...?


なんか...心なしか少し寒いな...。


俺は重い目を擦りながら横を向くと――


「すぅ...すぅ...」


目の前でルリが寝ていた。


いや、もっと詳しく言おう。


目の前でルリが″二人分″の掛け布団をかけて寝ていた。


一枚は俺が使ってたやつだ...。

どうりで寒かったはずだ...しかし...


「...寝相悪すぎないか...?」


「んぅ...?」


俺の呟きが聞こえてしまったようで、

ルリが目を覚ました。


「あ、悪い。 起こしちゃったか」


「あー、いーよいーよ。 気にしないで...」


そう言って眠そうに目を擦るルリだったが、

ふと自分の体に乗っている二枚の掛け布団を見て


「何で僕、二枚も布団掛けてるの?」


「おい待て嘘だろ?」


自覚無いの?


いや、寝てるときのことだろうから自覚は

無いか。


「自覚?」


首を傾げて聞いてくるルリに、俺は説明する。


「俺が朝起きたときにはすでに掛け布団が

俺の上には無く、ルリの上にあった。


ここから導き出される結論は?」


「アル君の寝相が悪かった?」


「何故そうなる!?」


「じゃあアル君が掛けてくれたとか?」


「俺が起きたときにはすでにお前が

俺の布団掛けてたって言ったよな!?」


「まさか...寝ながら掛けてくれたの!?」


「おいマジでびっくり仰天みたいな顔をするな」


「まあこれも冗談だよ。 ごめんね。

僕、昔から少し寝相が悪くてね。

寝てるときに近くにあるものは引き寄せちゃう

ことがあるんだ」


「なにそれ怖ぇよ」


「まあ、とりあえずそろそろ起きようか。

布団のお詫びと言っては何だけど、

朝ご飯を少し豪華にするよ」


「それは楽しみだ」


俺達は近くの川で顔を洗った後、少し豪華な

朝ご飯を食べて、ルルグスに向けて出発した。








―――――――――――



歩き続けて数時間が経っただろうか、

少し先に門が見えてきた。


「ようやく...到着ってとこか...?」


「そうだね。 あれ? ひょっとして

ルルグスに来るの初めてなの?」


「そうだな。 俺、最近までほとんど村で

暮らしてたし、王都に来るのも農業や漁業で

得たものを売りに来るくらいだったし」


「えっ? アル君、農民だったの!?」


意外そうな顔をしてこちらを見てきたルリは、

その後ジト目になって


「なんで農民さんなのに護衛付けるとか

馬車に乗るとかしなかったの?


もし私があそこに来なかったら...」


「――ああ」


確かにあそこにルリが来なかったら

俺はオークに―――


「...アル君? 急に俯いちゃってどうしたの?」


「オーク怖いオーク怖いオーク怖い...」


「アル君落ち着いてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


俺の肩を揺さぶりながら言うルリに、俺は

笑顔を向けて


「冗談だ」


「......今のは、本当にタチが悪いと思うよ?」


「ごめんなさい」


ちょっと真似したかったんだよ。


「うん。 でも、次からはちゃんと護衛を

雇ってね? アル君に何かあったら僕は嫌だから」


「了解」


でもオークさえ来なきゃ大丈夫なんだよなぁ...。


そんな会話をしている間に門の前に到着していた

ようで、手続きを終わらせて二人でルルグスに

入った。


「さて、ここからルリはどうするんだ?」


「僕は今日のところは休ませてもらって、

明日は準備を整えたり情報を集めたりして、

明後日には調査に行こうかなって思ってるんだ」


「そっか、気を付けろよ。 それじゃあ――」


「アル君」


「ん?」


俺の言葉を遮るように名前を呼ばれたので、

何かと思ったが、ルリは少し寂しげだが

俺に笑顔を向けると


「僕ね、誰かと旅したことなかったんだ。

いや、今回のは旅なんて言えるようなものでは

なかったけど、でも僕はとっても楽しかったんだ。


だから、もしよかったらまた機会があったら

一緒に――」


「護衛、頼めるか?」


「え?」


きょとんとするルリに俺は続ける。


「俺は数日間はここに滞在するけど、

そのあとは王都に戻るんだ。


ルリも数日間はここら辺に居るんだろ?

だから、帰りの護衛を頼めるか?」


それを聞くと、ルリは満面の笑みを浮かべた。


「うん、......うん! わかった! えっと...じゃあ、

僕の泊まる宿を教えておくから、帰る日にちが

決まったらそこに来て僕に伝えてくれないかな?」


「それがいいな」


ルリはバックの中から紙とペンを取り出すと、

そこに宿の名前や場所などを書き込んでいく。


そして、俺にその紙を手渡した。


「はい! ここだよ。 じゃあよろしくね!」


「わかった。 それじゃ、またな」 


「またね! バイバイ!」


こちらを見て手を振りながら走り去っていく

ルリに、俺は手を振り返して


...あいつ友達少なかったのか?

まあ仮にも勇者の子孫だし、色々あるんだろうな。


さて、俺も両親のとこに向かうか...。


俺は衛兵さんに場所を聞きつつ、なんとか

両親の家であろうところに到着した。


見たところ普通の家でちょっと安心した。


「よし、入ろ――」


玄関のドアノブに手をかけた瞬間


「アルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」


玄関が突然開き、俺は出てきた人物に

名前を叫びながら抱き締められた。














これ、俺の母親なんだぜ...?

活動報告を一読していただけると嬉しいです。

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